ダイビング用ドライスーツはなぜ必要?
ダイビングをする人のなかには、快適にダイビングをしているはずだったのに、途中から次第に寒くなってきて、最後は体の震えが止まらなくなってしまった…という経験のある人もいるのではないでしょうか。
実はそれもそのはず、水は空気の約25倍もの速さで体の熱を奪っていくため、少しくらい寒くても大丈夫と思っていると、あっという間に体温が奪われてしまうのです。
ダイバーが水中で快適に過ごすには、水温が27℃以上あることが理想とされており、人間が保温スーツなしで海に入った場合、水温4~5℃の水中では約30分、水温15~16℃でもわずか2時間で危険な状態になってしまいます。
もし、体の震えを無視してダイビングを続けていると、体の深層部の体温が下がり、判断力の低下やハイポサーミア(低体温症)などの危険な状態に陥り、ダイビングどころではなくなってしまいます。
個人差はありますが、もっともポピュラーな5mmワンピースのウエットスーツで潜れるのは、水温20℃までがひとつの目安といわれています。
それ以下の水温で快適にダイビングを楽しむためには、体が濡れないドライスーツや、保温力の高いセミドライスーツなどの保温スーツが不可欠になってくるのです。
ダイビング用ドライスーツの種類
ドライスーツは水の侵入をシャットダウンすることで、体が冷たい水に濡れることなく、体温が奪われることを防ぐ保温スーツです。
ドライスーツは大きく分けて、生地に保温力のあるネオプレンタイプと、インナーで温度調整をするシェルタイプ(ファブリック)の2つがあります。
いずれもスーツ内部が密閉空間となるため、スーツ内のエアーを調整するための吸気バルブと排気バルブが付いているのが大きな特徴です。
また、できる限り水の侵入を抑えたセミドライと呼ばれる保温スーツもあります。
ダイビング用おすすめのドライスーツを徹底比較
ドライスーツを購入する際は、各スーツの特徴をしっかり比較することが大切です。
目的や用途に合わせて、最適な種類の保温スーツを選ぶことが、快適なダイビングのためには必須となるのです。
それでは、おすすめのドライスーツを見ていきましょう。
水の侵入を最小限に抑えたセミドライスーツ
セミドライスーツは、スーツ内への水の浸入を最小限に抑えた保温スーツです。
体がまったく濡れないドライスーツとは異なりますが、スーツ内に侵入した水の出入りを最小限にすることで保温性を維持します。
そのためドライスーツと呼ばれてはいますが、厳密にはウエットスーツに分類されます。
セミドライスーツは、完全防水のドライスーツほどの保温力はありませんが、給排気バルブがついていないため、ウエットスーツと同じように使用することができるのが特徴です。
もっともポピュラーなネオプレン製のドライスーツ
ネオプレン製ドライスーツは、ウエットスーツと同じ素材の表面にジャージ生地が貼ってある、もっとも一般的なドライスーツです。
生地に保温力があるため大量のインナーを着る必要がなく、初心者でも扱いやすいのが特徴です。
水温によってインナーを変える必要があるため、インナーが着られるぐらい余裕のあるサイズを選ぶのが良いでしょう。
3.5mm厚のセミオーダータイプが多く、手首囲、首囲、ブーツサイズの変更ができます。
ラジアルコーティングした耐水性が高いドライスーツ
ネオプレン生地に特殊な非吸水性素材をコーティング(ラジアルコート)した、耐水性と耐久性を兼ね備えたドライスーツもあります。
速乾性に優れ、気化熱による体温の低下も防いでくれるため、1日に何本も潜るガイドやインストラクターに愛用者が多くいます。
ネオプレンタイプ同様に、セミオーダータイプが多く、手首囲、首囲、ブーツサイズの変更ができ、ひとりで着脱できるフロントファスナーのタイプも人気があります。
水切れが良く耐久性のあるシェルタイプ
シェルタイプのドライスーツは、水切れがとてもよく耐久性が高いのが特徴です。
生地自体に保温性がなく、体温保持はインナーで調節するため、専用のインナーウエアが必須です。
ダイビング用ドライスーツのアクセサリー類
ドライスーツでダイビングをする時は、スーツ本体のほかにもいくつかの必需品があります。
快適にドライスーツを使うためのアクセサリー類を見てみましょう。
ドライスーツで快適に潜るにはインナーがポイント
寒さを感じずにダイビングをするには、水温に合わせた適切なインナーを選ぶことがとても重要です。
ネオプレンタイプのドライスーツなら、市販のスウェットやフリース、保温性機能下着などをインナーとしても使えますが、汗の成分がスーツ内に残らない吸汗機能と保温力の高いドライスーツ専用インナーがおすすめです。
また、スーツ本体に保温力のないシェルタイプでは、専用インナーを使うのが一般的です。
体温の損失を防ぐフードも必需品
人間の体温の約75%は頭や首周りから失われるといわれています。
そのためドライスーツやインナーをしっかり揃えても、保温フードを被らないと体温がどんどん奪われていきます。
生地の厚さや目や口だけが出ているタイプなど、寒さに合わせてドライスーツと一緒に最適なフードを使いましょう。
手の寒さ対策ならウインターグローブ
ドライスーツを着ていても、手はむき出しになっているので、ウインターグローブは必須アイテムです。
写真派ダイバーのなかには、カメラ操作の邪魔になるという理由でグローブをしない人がいますが、水温が低いと手がかじかんで動かなくなってくるため、寒さ対策のためにも5本指タイプの冬用グローブを着用することをおすすめします。
足元からの冷えに防寒ソックス
水温が低いとスーツ内の空気が冷えて、足先の冷えてくるという人も少なくありません。
保温性に優れたドライスーツ専用の防寒ソックスを使えば、ダイビング中の足元からの冷えを予防してくれます。
首や手首からの水の侵入を防ぐシールバンド
首や手首のシールサイズが合わない時は、ネックバンドやリストバンドを使用して水の侵入を防ぎましょう。
バンドをつけると苦しく感じることもあるので、ボートに乗り込む直前や器材装着のときなどに忘れずにつけましょう。
ウエイトベストを使ってウエイトを分散する
ドライスーツ着用時は通常より多くのウエイト量が必要になるため、ウエイトベルトによる腰への負担を減らすために、ウエイトベストを使ってウエイトを分散するのがおすすめです。
また、ウエイト分散用のポケットを備えたBCDもあるので、必要に応じて使用するようにしましょう。
ドライスーツとウエットスーツでフィンを使い分ける
ドライスーツのブーツは厚みがあるため、ウエットスーツ着用時に使用しているフィンが使えない場合があります。
そのため、ドライスーツとウエットスーツでフィンを使い分けているダイバーも多く、ドライスーツと一緒に専用のフィンを揃えておくほうが良いでしょう。
足が浮くときはアンクルウェイトで調節
ダイビング中にブーツ部分に空気が入ると、足が浮いて泳ぎづらくなることがあります。
それを解決してくれるのがアンクルウェイトで、それぞれ用途に合わせて500g、750g、1kgのサイズが用意されています。
また、重さのあるドライスーツ専用フィンなら、アンクウエイトは必要ない場合もあるので、状況に合わせて使用しましょう。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。