ステージ優勝したベテランも驚く高速レース
マドリードの北に位置するグアダラハラがゴールとなった第17ステージ。
この日の距離は220㎞。
登りらしい登りはレースの前半にある3級山岳が1カ所だけというスプリンター向けのコース設定のはずでした。
しかし、レースが終わってみると、このステージでの選手たちの平均時速は約51㎞/h。
特にスタートして最初の1時間では、時速70㎞/hを記録したほどのスーパー・ハイペースのレースとなりました。
その原因は、風。
レース中、選手たちは終始強烈な追い風を受けて走っていたため、ブエルタ史上まれに見るハイスピードレースとなりました。
この日のハイペースには、ステージ優勝したベテランのジルベール選手も驚くほど。
レース後のインタビューでは、
「僕もプロになっていろんなレースを走ったけど、ここまでハイペースのレースは経験したことがなかった。たぶん、僕自身、今日のレースは一生忘れられないと思う。」
とコメントしました。
このハイペースなレースのあおりをまともに受けてしまったのが、通称「グルペット」と呼ばれる選手の集団です。
ブエルタ・エスパ―ニャは3週間に渡るレースです。
そのため、途中で体調を崩してしまう選手がいることも少なくありません。
そのような選手は、レース中「グルペット」という集団をほかのサイクリストと共に作り、制限時間内の完走を目指して、若干ゆっくりめのペースでステージを乗り切ることになります。
しかし、この日のレースのように先頭集団のペースが速いと、この「グルペット」のペースも上がらざるを得ません。
この日、グルペットも終始ハイスピードでのレースを強いられました。
そんなグルペットにいた選手のひとりは、
「優勝したジルベール選手のペースがあまりに早いので、もしかしたら制限時間内にゴールにたどり着けないんじゃないかと心配になった。ものすごく怖かった。」
とレース後に話をしていたほど。
3週間のレースの恐ろしさを垣間見ることができたステージとなりました。
トレドの登りと石畳が勝敗を分ける
第19ステージは、城壁の町アビラからスペインの古都トレドへと向かう165.2kmのコース。
共に石畳の道が街を代表する風景となっている2都市の間を選手たちは走ることになりました。
特にトレドのゴール前には約500mにわたる石畳の登りが選手たちを待ち受けます。
この日のレースを制したのは、今年のブエルタが生涯2度目の3週間のレースとなったレミー・カバ―ニャ選手(デセウニック・クイック・ステップ)。
途中でチームメイトのジェームス・ノックス選手の落車の影響を免れた彼が、この日のトレドの登りを一番最初に駆け上りました。
このステージまで来ると、選手たちの体力・気力は限界にまで達します。
そのためか、この日のレース後には水分やプロティンと同時に、甘いお菓子を食べてエネルギー補給している選手の姿が少なからず見受けられました。
例えば、スイス・チャンピオンの経験もあるシルバン・ディリェ選手の左手には、スペインのキオスコなどで普通に販売されている、イチゴ味のソフトキャンディが握られています。
選手がエネルギーを摂取するためには、甘い物の力を借りることが、やはり有効なのでしょうか。
意外な選手たちの一面を見ることができた、トレドでのゴールとなりました。
マドリードのスプリントを制したオランダ人サイクリスト
最終第21ステージはマドリードの南のフエンラブラダからマドリードの中心街のサーキットコースへと向かう約100㎞のコース。
例年どおり、リーダージャージを着たプリモッシュ・ログリッジ選手擁するジュンボ・ビズマが先頭で、マドリードのサーキットコースに入ってきます。
その後、地元マドリード出身のゴンザロ・セラーノ選手(カハ・ルラル・セグロスRGA)が集団から飛び出します。
しばらく彼の逃げは続きましたが、最後の1周を前に、スピードアップしたメイン集団に飲みこまれてしまいます。
その後は最後のスプリントをものにしたいチームがレースを順調にコントロール。
今年好調のデセウニック・クイック・ステップ所属のオランダ人サイクリストのファビオ・ヤコブセン選手が、この日のステージ優勝者となりました。
一方、リーダージャージを着たプリモッシュ・ログリッジ選手はメイン集団の中盤で、何の問題もなくゴール。
2019年のブエルタ・エスパ―ニャの総合優勝者に輝きました。
初日のチーム・タイムトライアルでの落車というアクシデントにも関わらず、優勝したログリッジ選手。
チームメートやスタッフから、大変な祝福を受けていました。
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ライター
Greenfield編集部
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