寒い季節でも屋外で体を動かしたい。そんな人におすすめなのが“シクロクロス”です。芝生や土、砂利などの未舗装路(オフロード)を走るこの競技は、雪や泥といった冬ならではの環境を楽しめるアウトドアスポーツ。低速・短距離から始められるため、自転車初心者やアウトドア好きな人にもぴったり。観戦者としてレースに参加すれば自然の中で一体感が味わえますよ。今回は冬の新しい外遊びとして、シクロクロスの魅力と楽しみ方をお伝えします。

冬でも楽しめる“シクロクロス”の魅力とは

“シクロクロス”は、芝生や土、砂利などの未舗装路を舞台に行われる自転車競技です。秋から冬にかけてシーズンを迎えるため、“寒い季節でも屋外で楽しめる自転車遊び”として注目されています。

一般的に舗装されている道路をオンロード、未舗装路はオフロードと呼ばれます。シクロクロスならではの最大の魅力は、ロードバイクでは難しいオフロードを走れる点。オンロードでは味わえない地面の感触やタイヤの挙動をダイレクトに感じながら走ることで、自然との距離がぐっと近づきます。

とくに、雪や泥、水たまりといった路面コンディションは醍醐味のひとつ。思い通り進まない路面と向き合うからこそ、純粋に“走ること”に集中できる時間が生まれます。

また、ロードバイクが乗りづらくなる冬のオフシーズンにでも楽しめる点は大きな魅力です。凍結や寒さでロングライドを控えがちな時期でも、短時間・短距離で完結するシクロクロスなら無理なく外に出るきっかけになります。

初心者でも挑戦しやすい理由

シクロクロスは、スピードや距離を競うだけのスポーツではありません。低スピードでも成立し、短い距離から始められるため、経験が浅い人でも気負わずチャレンジできます。

思い通りに走れない路面では、無理に乗らず降りて押してもOK。“うまく走れなくても楽しめる”という懐の深さが、シクロクロスが多くの人に親しまれている理由のひとつです。

シクロクロスレースは未就学児や小学生のクラスなど参加クラスが豊富で、親子で参加している人もいます。子連れで観戦やレースに参加してみたい人は、以下の記事も参考にしてみてください。

子連れでレースも参加!ロードバイク夫婦の家族で楽しむサイクルライフとは?
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観るだけでも楽しい、冬の自転車イベント

スタート地点とゴール地点が全く異なるロードレースやヒルクライムレースとは異なり、シクロクロスのレースは会場がコンパクトです。大きく移動しながら観戦する必要がないため、子連れでも観戦が容易なのもうれしいポイント。

また、1周数分の周回コースで行われることが多く、観る側にも非常にわかりやすいのが特徴です。選手が何度も目の前を通過し、泥や雪を跳ね上げながら走る姿は迫力満点。

“冬のアウトドアイベント”として、観るだけでも気軽にレースの雰囲気が楽しめます。

シクロクロス自転車の特徴

シクロクロスを楽しむために使われるのが“シクロクロスバイク”です。見た目はロードバイクに近いものの、冬の未舗装路を走るために、さまざまな工夫が随所に施されています。

未舗装でも安定の太めなタイヤ

シクロクロスバイクの最大の特徴は、太めのタイヤです。主流は幅32mmや33mmで、一般的なロードバイクタイヤの25mmや28mmに比べて幅があり、土や芝生、砂利の上でも安定感があります。空気圧をやや低めに設定できるため、路面の凹凸を吸収しやすく、滑りやすい泥や雨、雪などで濡れた道でもタイヤが路面を捉えやすいので、スピードを出さずともコントロールできるのもポイントです。

また、泥や雪が付着しても走り続けられるようにフレームやフォークとの間に十分なタイヤクリアランスが確保されているのも特徴的で、隙間に異物が詰まりにくい構造は、冬のアウトドアシーンでは大きな安心材料になります。

なお、UCI規定が適応されるレースでは、タイヤ幅が33mmまでと決められています。マウンテンバイクのように50mm以上のタイヤでは出場できない場合があるので注意しましょう。

乗り降りしやすいフレーム

シクロクロスでは、自転車で走るだけではなく、降りて押す・担いで走るといった動作が頻繁にあります。そのため、乗り降りのしやすさを重視したフレーム設計が特徴です。

トップチューブは肩に担ぎやすく、手で持ちやすい形状になっており、階段や障害物がある区間でもスムーズに対応できます。自転車を“走る道具”であると同時に、“持ち運ぶギア”として考えられている点は、シクロクロスならではといえるでしょう。

また、急停止や再スタートが多い競技性から、ハンドリングの安定感や直進性にも配慮されています。扱いやすさを重視したバランスのよさが、初心者でも安心して乗れる理由のひとつです。

初めての人向け装備を紹介

シクロクロスを始める際に大切なのは、安全に、寒さや路面に対応できること。特別な装備をすべてそろえる必要はありません。必要最低限から始めてみましょう。

ヘルメット

ヘルメットは必ず着用しましょう。未舗装路では転倒のリスクが高いため、しっかり頭を守れることが第一です。

理想は保護範囲がやや広く、通気孔が少なめのタイプですが、フィット感が合っていればロードバイク用ヘルメットの併用でも問題ありません。手持ちの装備で始められる点も、気軽さのひとつです。

グローブ

シクロクロスのシーズンは寒さがつきもの。防寒性に優れた指先まで覆える(フルフィンガータイプ)グローブを用意しましょう。

また、雨や泥で手が滑りやすいため、グリップ力のあるものが望ましいです。

シューズ・ペダル

シューズとペダルには歩きやすさが求められます。主流は着脱がしやすいSPD対応ペダル。泥や砂が詰まりにくく、頻繁な乗り降りにも対応しやすいのが特徴です。

シューズは漕ぐだけでなく歩く動作を想定し、滑りにくく歩行しやすいソールを採用したモデルがおすすめです。

ウェア

ウェアは「防寒しすぎず」を意識しましょう。走り出すと体温が一気に上がるため、重ね着で調整できるスタイルがおすすめです。ロードバイクのサイクルジャージと兼用している人も多くみられます。泥汚れは避けられないので、汚れる前提で選ぶと気持ちが楽ですよ。

とくに寒い日にはインナーで調整するのがおすすめです。以下の記事では寒い時期におすすめの防風インナーを紹介しています。

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走り方のテクニックポイント

シクロクロスで大切なのは、うまく走ることよりも雰囲気を楽しむこと。最初から完璧を目指す必要はなく、思い通りにいかない感じも楽しむのが魅力です。

ここでは、シクロクロス感をより味わうための基本的なポイントを紹介します。

コーナリング

未舗装路でのコーナリングは、ロードバイクとは感覚が異なります。無理にスピードは出さず、バイクを立て気味にして曲がるのが基本です。

初めは滑りそうになったら迷わず減速し、地面の感覚をつかむように心がけてみてください。

乗降車

シクロクロスらしさを感じやすいのが、乗り降りの動作です。

障害物や急な坂、ぬかるんだ区間では、自転車を降りて押す場面が多く、スムーズに乗り降りできると走りにリズムが生まれます。ペダルの着脱を練習して、徐々に慣れていきましょう。

自転車の担ぎ上げ

階段や障害物を越えるために、自転車を担いで進む動作も珍しくありません。悪天候で路面状況が悪い日には自転車に乗っている時間より押している時間の方が長ながいことも。

最初はぎこちなくても問題ありません。“走れないところは運ぶ”という割り切りが、シクロクロスを楽しむコツです。

まずは観て楽しむのもおすすめ

いきなり走らなくても楽しめるのがシクロクロスの魅力。レース会場はコンパクトで選手との距離が近く、臨場感があります。冬の澄んだ空気のなか、泥だらけで走るサイクリストの姿を眺めるだけでも、アウトドア気分を味わえますよ。

自分にできるかな?と不安な人は、観戦からはじめましょう。まずは雰囲気に触れることで、自然に「ちょっとやってみたい」という気持ちが湧いてくるかもしれません。筆者も夫のレースを子どもと観戦しながら楽しんでいると「ぼくもやってみたい」とうれしい言葉が聞けました。

シクロクロスは、冬でも自然のなかで自転車を楽しめるアウトドアスポーツ。走るだけでなく、観る・触れるといった関わり方もでき、経験が浅くてもハードルは高くありません。ロードバイクのオフシーズンを前向きに楽しむ選択肢として、気軽にシクロクロスの世界をのぞいてみてはいかがでしょうか。

yomec(よめしー)

ライター

yomec(よめしー)

自然豊かな新潟県在住、夫婦でロードバイクを楽しんでいる自転車ライター。子育てしながらトレーニングする方法を日々模索中です。今ではヒルクライムを中心としたレースが家族旅行に。愛車はSPECIALIZEDとBROMPTON。夫婦での所有スポーツバイクはなんと8台。ファミリーでも楽しめる自転車の魅力を発信します。