朝晩の空気がヒンヤリと冷たくなった秋に、冬に向けて栽培を開始するのがエンドウ豆。芽を出した小さな株が、寒さに耐えて根を張り、春になるとぐんと伸びて実をたくさんつけてくれます。採れたての甘い実をすぐに茹でてマヨネーズでパクリ!…最高です。エンドウ豆は冬をうまく乗り越えれば、手間がかからない野菜のひとつ。今回は、家庭菜園初心者でも手軽にできるエンドウ豆の冬越しと栽培のコツについて紹介します。
エンドウが家庭菜園初心者にぴったりの理由

エンドウは筆者が家庭菜園を始めたころ、「これは育てやすい」と実感した野菜です。春になると草丈が一気に伸びて、うれしくなるほど実をつけてくれます。ここでは、体験をもとにエンドウが初心者におすすめな理由を紹介していきます。
冬栽培は虫が苦手に人におすすめ
エンドウは秋に種をまき、冬に成長します。冬は虫の発生が少ないのでお世話がとても簡単。
筆者は、夏野菜の栽培時にで虫が大量発生したため、しばらく畑に行くのがつらかった 経験があります。しかし、エンドウは冬の間にゆっくり育ち、虫が増えはじめる春に収穫時期を迎えるため、安心して栽培を楽しめますよ。
虫対策に追われにくいので、初心者が気楽に挑戦できる野菜のひとつです。
少ない肥料で育つから強い
マメ科のエンドウは自分で養分をつくる力があるので、たくさん肥料をあげなくても元気に育つ野菜です。
最初は「こんなに肥料が少なくて大丈夫?」と不安でしたが、むしろ与えすぎるとツルばかり伸びてしまうので、控えめにするのが正解。
肥料をあまり与えなくても十分に育つため、慣れていない人にも扱いやすい野菜です。
とくにスナップエンドウは初心者向け

エンドウには主に3つのタイプがあります。
- キヌサヤ/若いうちにさやごと食べられる
- エンドウ豆(グリーンピース)/豆を味わう
- スナップエンドウ/さやも豆も楽しめる
キヌサヤやエンドウ豆は、初めての栽培だと収穫のタイミングを見極めるのが少し難しい場合がありますが、スナップエンドウは豆もさやも食べられるのが魅力です。キヌサヤのように若いうちにさっと収穫してもおいしく、エンドウ豆のように豆がふっくらするまで育てても楽しめます。
「つい待ちすぎてさやが硬くなってしまった」という場合も、スナップエンドウなら豆をおいしく食べられるので大丈夫ですよ。
秋まきがポイント【エンドウ豆栽培の基本】

エンドウ栽培で最も大切なのは種まきの時期。早すぎると、株が伸びすぎて冬の寒さでカチカチに凍ってしまい、大失敗!…なんてこともよくある話。
ここからは、栽培の基本とコツをわかりやすくお伝えしていきます。
種まきのタイミングが重要(早すぎると冬越しできない)
エンドウは種をまく時期が早いと株が伸びすぎ、寒さで弱ってしまう原因に。種まきの目安は10月頃(発芽適温18~20℃)といわれていますが、温暖化の影響で10月でも真夏のような気温が続き、植物が成長しすぎてしまいます。
冬を迎える時点で株が5~10cmほどに育っていれば無理なく冬越しできるので、種まきは気温を確認してから行うこと。また、鳥に見つかると種を食べられてしまうので要注意。ネットやザルなどをかぶせて保護すれば防げます。
種は一ヶ所に5~6粒まとめてまき、元気な株を3~4株だけ残し、ほかは根元から切って間引きします。
水のやりすぎは厳禁!種まきのコツ
エンドウは過湿に弱いため、水を与えすぎると種がすぐに腐ってしまいます。よかれと思って水をあげ続けた結果、何度失敗したことか…。マメ科の種は大きめなので、ほかの野菜に比べて腐りやすいと覚えておきましょう。
種まきをする際は、土を十分に湿らせてから行い、それ以降は発芽するまで水やりは必要ありません。
種まき後、もし土が乾いていたら軽く湿らせる程度で十分。発芽したら、水をたっぷり与えても大丈夫ですが、土が凍らないよう水やりは暖かい日中が基本です。
マメ科は肥料少なめのスパルタ栽培
マメ科は自分で栄養をつくるため、種まき前に入れる元肥も栽培中に追加する追肥も、控えめにします。
- 1回目:植え付け1ヶ月後
- 2回目:花芽が付き始めた頃
- 3回目:収穫が始まった頃
私も最初は不安でつい追肥したくなりましたが、結果としてツルばかり伸びて実がつきにくくなった経験があります。以来、「肥料は控えめ」を心がけて育てるようになり、実つきが安定しました。
また、実をつける時期にカルシウムがあると実入りがよくなるため、花が咲き始めたらカルシウム肥料を1株あたり一掴み(約15~30g)与えてあげましょう。
ツルの誘引は麻紐かネットで
春になるとエンドウはツルをぐんぐん伸ばすので、倒れないよう麻ひもやネットで支えてあげるのがコツです。
わが家では、一番日当たりのよい南側の窓の下にプランターを置いて栽培しています。グリーンカーテンのようにネットにツルを這わせているので、冬の温かい日差しをたくさん浴びてぐんぐん成長していきます。畑で育てる場合は、株を囲むように支柱を立て、まわりに麻ひもをぐるぐる張ればツルが自然に絡んでいくはずです。
春を迎えて株が大きくなる前に作業を済ませると、ツル折れを防げます。ていねいに手入れをしておけば、かわいらしい花がたくさん咲いて、甘い実が豊作になりますよ。
冬越しできれば大成功!寒さに負けない育て方

秋まきのエンドウ栽培は「冬越し」が最重要課題といってもよいでしょう。冬の間に強い株をつくることで、春に一気に成長したくさんの実をつけてくれます。
なぜ冬越しが大事なの?
冬の間は、地上部の茎や葉はあまり成長しませんが、土中の根はゆっくりと着実に伸びて力を蓄えていきます。
筆者は過去に春に種まきをした経験がありますが、あまり大きくならずに病気になってしまいました。翌年の秋に種をまいてできた株は、春に力強く伸びて実つきも抜群でした。
冬を乗り切るための工夫を少しするだけで、春の収穫が大きく変わるんです。
冬越し前にやっておくべき作業3選
エンドウの冬越しをするために必要な作業を3つ紹介します。
- 黒色のシートで土を覆う
- 不織布で株を囲って保温する
- 伸びすぎた株は剪定してサイズ調整する
どれも難しい作業ではなく、家庭菜園初心者でも実践しやすいポイントなので、ぜひ取り入れてみてください。
1.黒色のシートで土を覆う
黒色は日光を吸収しやすいため、土をあたためる役目にぴったり。雑草が生えにくくなるおかげで、冬のあいだの管理もずいぶん楽になります。
「黒マルチ」という商品名でダイソーでも手軽に買えるので、準備のハードルも低め。家に黒いビニール袋があれば代用できます。
また、風で飛ばないよう、「シート押さえ」というU字のピンをシートごと土に刺して固定すると安心です。
2.不織布で囲って保温する
夜間に気温が0度以下になるような地域では、株に冷風が当たらないように不織布で保温すると効果的です。
背の低い株の上からふんわりと不織布をかけてシートの端をU字ピンで刺して固定。すでにネットや支柱を準備している場合は、株の周囲をぐるっと囲います。
筆者は、以前ビニールで風よけを作っていましたが、日中の日差しで暖かくなりすぎて株がどんどん成長してしまい、冬の寒さに耐えきれずに枯れてしまった経験があります。不織布は適度に熱を逃がしてくれるため、温度管理の手間が少なくてすみます。黒いシートと同じくダイソーで手軽に購入できるので、ぜひ試してみてください。
3.伸びすぎた株は剪定して調整
以前の筆者のように、冬越し前に株が大きくなりすぎても「もう冬越しは無理かも…」とあきらめなくて大丈夫。軽く剪定する「切り戻し」で整えてあげれば間に合います。
地上から15㎝程度は外気温に比べて保温されやすいため、主軸を低めに切って草丈を20cm以下にすると、冷たい風から株を守れます。
「せっかく大きく育ったのに切るなんて…」と思うかもしれませんが、エンドウは主軸を切っても下の葉の付け根から脇芽がぐんぐん伸びる植物。剪定後も元気に育つので心配いりません。
参考サイト:
やまむファーム(エンドウ(えんどう豆)の育て方と栽培のコツ)
タキイネット通販(ンドウの栽培方法・育て方)
サカタのタネ 園芸通信(サヤエンドウ、スナックエンドウ(スナップエンドウ)の育て方・栽培方法)
ライター
akari
母子キャンプ歴7年。アウトドアを楽しむシングルマザーです。大人一人でも子供とキャンプを楽しめるコツやおいしいキャンプ飯のレシピをご紹介します。薪ストーブinのおこもり冬キャンが大好き。