形が曲がっている・小さなキズがあるというだけで、出荷されず捨てられてしまう規格外野菜。訳あり野菜とも呼ばれる規格外野菜を積極的に購入すれば、食品ロス削減に貢献できるだけでなく、生産者の利益、節約、食育など、イイことがいっぱい!本記事では、規格外野菜の定義や上手な活用法、購入できるネットショップを紹介。ちょっぴり個性的な形の野菜を食卓に取り入れてみませんか?

野菜の「規格外」とは?

規格外野菜 フードロス

野菜の「規格」とは、出荷する際に決められたサイズや形などの基準のこと。たとえば、にんじんなら長さ・太さ・曲がり具合などが細かく定められています。つまり、市場に商品として出荷されるのは規格を満たした野菜ということになります。

とはいえ、形やサイズが規格外なだけで、味や品質はほぼ変わりません。見た目基準からはずれているだけで売り物にならない=破棄されるなんて、もったいないですよね。どのような状態が「規格外」とされるのか、一般的な定義を見ていきましょう。

サイズ違い

規格外野菜としてよく見かけるのが、大きすぎたり小さすぎたりする「サイズ違い」のものです。

たとえば、極端に細いきゅうり、手のひらに収まらないほど大きなじゃがいもなど、品種ごとに定められた基準から外れたサイズの野菜は一般的な商品として出荷されないことがほとんどです。

形が整っていない

二股に割れたにんじんや、くねくねと曲がったナスなど、形が不揃いなのも規格外に

売り場での見栄えだけでなく、梱包のしやすさも優先されるため、形が整っていない野菜はあまり市場に出回りません。

キズがある

収穫や運搬時についた小さなキズも、規格外とされる理由のひとつです。

キズの程度によっては鮮度に影響が出る場合もありますが、多くは調理の際に皮をむいたり、カットしたりすれば問題ありません

イイこといっぱい!規格外野菜を選ぶメリット

規格外野菜 フードロス

規格外を理由に出荷されない野菜は、多くの場合破棄されます。しかし、近年はフードロス問題やSDGsへの関心の高まりから、規格外野菜を有効活用するさまざまな取り組みが行われています。私たち消費者が、規格外野菜を選ぶことで得られるメリットを紹介します。

食品ロスを減らせる

農林水産省によると、日本で発生している食品ロスは年間約523万トン(令和3年度推計)。まだ食べられるものがゴミとして捨てられることで、その処理にエネルギーが使われ、環境への負担が大きくなります。

日々の買い物で規格外野菜を選ぶことは、食品ロスを減らし、環境保護につながります。

参考サイト:農林水産省及び環境省推計(令和3年度)

リーズナブルに購入できる

規格外野菜の最大の魅力は価格です。見た目がちょっと不揃いなだけで、味や栄養価は変わらない野菜が市場価格よりも安く販売されているケースが多くあります。

お得に手に入る規格外野菜は、環境にもお財布にもやさしい選択肢といえます。

農家を応援できる

自然相手の農業は天候に左右されやすいため、その年によって収穫量や収入が大きく変動します。とくに近年は、酷暑による水不足、局地的な大雨などの異常気象により、収穫量の減少や品質の低下、そして規格外品の増加が深刻な問題となっています。

売り物にならないとはじかれた規格外野菜を消費者が購入することで、農家の収入につながります。

食育になる

形や大きさの異なる野菜に触れることは、子どもにとって貴重な学びの機会です。「なぜこのにんじんは曲がっているの?」といった素朴な疑問から、自然の多様性や農業への関心へとつながっていきます。

実際に調べてみれば、食べ物の背景を知るよいきっかけになり、大人にとっても新しい発見があるかもしれません。

規格外野菜の上手な活用法

規格外野菜 フードロス

曲がっている野菜は切り方が難しく、サイズをそろえるのに手間取りますよね。でも、調理法を少し工夫することで、個性的な形をした野菜でも使いやすくなりますよ。

煮込み料理でカタチを崩す

切り口をそろえるのが難しい規格外の野菜は、カレーやリゾットなど、形が崩れても問題ない料理がおすすめです。

キズのある野菜は、その部分を切り落としてから調理すればOK。多少へこんでしまっても、煮込み料理にすればまったく気になりません。

丸ごと料理でカタチを活かす

サイズが小さい野菜は、丸ごと素揚げにすると見た目もかわいらしく、おいしくいただけます。

漬物にできる野菜は丸ごと漬けてしまうのもおすすめです。極端に曲がっているきゅうりは、丸い容器を使うと漬けやすくなりますよ。

規格外野菜が買えるネットショップ4選

規格外野菜 フードロス

規格外野菜は、産直施設のほか、ネットでも手軽に購入できます。定期便やお試しセットなど、サービスの特色もさまざま。ここでは、4つのネットショップを紹介します。

規格外野菜が買えるネットショップ4選

ロスヘル

全国の規格外野菜を扱う宅配サービスを展開する「ロスヘル」。市場の野菜と規格外野菜をセットにすることで、市場の価格が高いときでもお得に手にすることができます。

毎月届く「わくわくロス野菜 定期パック」は、S・M・Lと3つサイズと、お届け頻度として2週 or 4週ごとから選べます。まずは試してみたい人には、S・Mの2サイズから選べる「わくわくロス野菜 買い切りパック」がおすすめ。

なぜ規格外になったのか、その理由も同梱されているので、食卓の話題になりそうですね。

ロスヘル

らでぃっしゅぼーや

「らでぃっしゅぼーや」は、有機・減農薬の農作物を届ける宅配サービス。野菜の見た目に厳しすぎない基準を設けているので、結果的に規格外野菜を無理なく減らせる仕組みになっています。

宅配サービス「めぐる野菜箱」では有機質肥料を使用し、独自に策定した「使用禁止農薬リスト」を遵守して栽培された野菜や果物が届きます。

「めぐる野菜箱 基本のコース」のサイズは、S・M・Lの3サイズ。ほかに、豊作のもの、珍しい品種など、出荷先の少ない野菜や果物を追加した「M・畑応援プラス」など、さまざまなコースがあります。

食品ロス削減の取り組みとして、「ふぞろいRadish」という通販サイトも展開。規格外品の野菜だけでなく、魚介類や総菜などの食料品も購入できます。

らでぃっしゅぼーや

タダヤサイ

抽選で当選した人が送料のみの負担で野菜や果物を購入できる「タダヤサイ」。生産者が出荷できない規格外野菜をサイトに登録し、ユーザーは締め切りまでに応募します。

このユニークなサービスでは、「傷ありナス15個」や「規格外きゅうり2kg」など大容量の野菜のほか、「シャインマスカット1房」のようにこだわりのフルーツをお得に購入することも可能。不定期に規格外野菜の無料プレゼントキャンペーンも開催されているので、こまめに公式サイトをチェックしましょう。

タダヤサイ

ポケットマルシェ

「ポケットマルシェ」は、生産者から直接購入できるオンラインマルシェです。農家や漁師が自ら出品しているので、旬の食材を新鮮なまま購入できるのが大きな魅力。スーパーではなかなか出会えない珍しい野菜や果物、魚介類、花などを入手できます。

規格外野菜も多数出品されており、「訳あり」「規格外」といったキーワードで検索すればすぐにヒット。おいしい食べ方や保存方法などを生産者に直接質問できるのも大きなメリットです。

ポケットマルシェ

規格外野菜は、見た目が理由で流通からは外れますが、味や栄養には問題ありません。規格外野菜を買うことは、食品ロスを減らし、家計にもやさしい選択。子どもの食育、環境保護にもつながります。まずは気軽に、ネット通販から試してみてはいかがでしょう。

そらたね

ライター

そらたね

農業職公務員・食品メーカー勤務の経験をもとに、農業や食の大切さ、美味しいレシピを発信します。趣味は旅とカメラ。日本の四季を撮ること、旅行先で綺麗な海を見ることが大好き。生息地は主に田んぼ、畑、ときどき果樹園。