スキューバダイビングは美しい海の世界を体験できる素晴らしいアクティビティですが、視力の弱いダイバーにとって、クリアな視界は安全にも直結する重要な要素です。一般的なマスクでは水中でピントが合わず、せっかくの水中世界もぼやけてしまいます。この記事では、視力が弱くても快適にダイビングを楽しめる度入りマスクの選び方から購入方法、使用上の注意点まで、メガネダイバーが後悔しないための情報を紹介します。
度入りマスクの基本知識
度入りマスクは、視力の弱いダイバーのためにレンズに度数が入ったダイビングマスクです。なお、全てのマスクが対応しているわけではないため、すぐに必要でない場合でも、視力の弱い人はあらかじめ度入りレンズ対応のマスクを選ぶのが安心です。
度入りマスクはメガネと違う
水中では光の屈折率が変わるため、陸上とは見え方が異なります。特にマスクを着用すると、目とマスクのレンズの間に空気の層ができるため、陸上で見るよりも物が約1.33倍大きく、近くに見えます。視力が弱い場合、それでも焦点が合わず、水中世界がぼやけてしまうことがあります。
度入りマスクは、この屈折率の変化を考慮してレンズに度数を入れるため、特にオーダーレンズの場合はメガネの数値だけでは作製が難しいです。後述する選び方や注意点を参考に、適切なレンズを購入しましょう。
度入りレンズは既製とオーダーの2種類
度入りのレンズには、大きく分けて以下の2種類があります。
・一般的に-1.0〜-8.0までの-0.5刻みで、片目ずつ度数を選択可能
・近視のみの対応がほとんど
・0.5以下の視力からがおすすめ
・眼科やメガネ店で視力を測定し処方箋を元に、個人の視力に合わせて作製
・乱視や遠近両用など、複雑な視力補正に対応
・マクロ撮影を好むシニアダイバーに人気
度入りマスクの選び方
度入りマスクは、自分の視力とダイビングスタイルに合ったものを選ぶことが重要です。
視力に合わせたレンズ選び
度入りレンズで唯一、既製品があり、オーダーレンズに比べて価格が安く納期も短い、手に取りやすいレンズです。購入時の注意点は後述しますが、ぴったりよりも軽めの度数を選びます。ダイビングショップでスタッフと相談しながらの購入がおすすめです。
オーダーレンズとなります。すべてのマスクに対応できるわけではなく、オーダーレンズ対応可能なマスクが必要です。
眼科やメガネ店で視力測定を行い、オーダーレンズに必要な情報が記載された処方箋をもらって、購入先にデータを提出し、個人専用のレンズを作製してもらいます。度数によって価格が異なるため、メーカーのカタログで事前に処方箋と照らし合わせて金額を確認しましょう。
二眼マスクか一眼マスクか
度入りマスクは二眼(レンズが分かれている)タイプが主流ですが、近年は一眼(レンズが分かれていない)タイプでも度入りマスクとして使用することが可能です。
一眼マスクの場合は既製レンズがなく、オーダーレンズになることがほとんどで、金額と納期がかかります。ただし、一眼タイプにこだわりのあるダイバーにとっては貴重な選択肢です。
その他のチェックポイント
レンズの度数が合っていても、マスクのフィット感が悪いと浸水したり、顔が痛くなったりして快適なダイビングはできません。
例えば、オーダーレンズ対応だからといって、自身の骨格に合わないマスクを選んでしまったり、レンズがUV非対応だったり、デザインが好みでなかったりすることがあります。
マスクとレンズの価格を考えるとそれなりの投資になるので、マスク自体が自分に合うものか、長く使い続けられるものかもチェックすることをおすすめします。
購入方法と注意点
度入りマスクは、一般的なダイビング用品店やインターネットで購入できますが、既製レンズ、オーダーレンズともに、専門知識のある店舗での購入をおすすめします。
既製レンズ対応マスクの購入方法
実際に度入りレンズのマスクを試着し、店員に相談しながら選べます。水中では陸上よりも1.33倍物が大きく見えるため、試着時に度数を迷ったら少し弱めを選ぶのがおすすめです。
価格が比較的安い傾向にあります。ただし、試着できないため、視力との適合性の確認が難しい点がデメリットです。購入前にレビューなどを参考にしましょう。
オーダーレンズ対応マスクの購入方法
オーダーレンズは、専門知識を持つダイビングショップでの購入が必須です。
- 視力測定
通常のメガネやコンタクトレンズの処方箋とは異なり、水中での見え方を考慮した専用の視力測定が必要です。一般の眼科やメガネ店では、どの数値が必要かの判断が難しいため、事前にダイビングスタッフに必要な度数項目を確認し、測定担当者に伝えましょう。処方箋をもらってすぐ作製依頼をするのではなく、自身の度数だといくらになるかを前もって確認することをおすすめします。 - マスクの選択
オーダーレンズに対応したマスクの中から、顔にフィットするものを選びます。 - レンズの作製
測定した度数に合わせて、レンズが作製されます。乱視や遠近両用など、複雑な度数の場合は作製に時間がかかることがあります。 - フィッティング
完成したレンズをマスクに装着し、度数が合っているか、マスクのフィット感も含めて最終チェックを行います。レンズの装着作業も、専門のスタッフに依頼するようにしましょう。間違った装着をしてしまうとマスクの浸水や、シリコンを痛める原因になる可能性があります。
購入時の注意点
・複数店舗での比較検討:マスク自体の選択に迷ったり、スタッフの案内が適切でない場合は、複数の店舗で相談・検討しましょう。
・保証とアフターサービス:レンズの保証期間や、メンテナンスなどのアフターサービスが充実しているか確認しましょう。
なお、マスク自体の選び方を知りたい人はこちらの記事を参考にしてください。
使用上の注意点とメンテナンス
ダイビング器材は、適切に使用し手入れをしなければすぐに劣化してしまいます。特に度入りマスクは、フレームやシリコンを一度分解してレンズをはめ込むため、異常がないかのチェックや正しい保管が必要です。
最も注意すべきは、外部からの衝撃です。レンズやマスク自体の破損につながり、レンズの場合は修理やパーツ交換といった対応ができないため買い替えが必要になります。
持ち運びの際は、マスクを必ずケースに入れましょう。ケースを紛失してしまった場合は、畳んだウェットスーツの中央部に入れるなどして、外部からの衝撃から守る対策を講じます。
使用後は真水でしっかり洗い、日陰で乾燥させます。使用しない期間も直射日光が当たらない場所で、必ずケースに入れて保管してください。
ライター
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マリンスポーツのジャンルを得意としたwebライター。海遊びの楽しみ方やコツを初心者にも伝わるよう日々執筆活動中。スキューバダイビング歴約20年、マリンスポーツ専門量販店にて約13年勤務。海とお酒と九州を愛する博多女です。