玄米は体にいいとわかっていても、毎日の食生活に取り入れるのが難しいと感じる人も多いかもしれません。あらためて玄米の栄養がもたらす効能を知れば、意識的に摂取するきっかけになるはずです。見た目もおしゃれで食べやすいイタリアンのレシピで、玄米を手軽に楽しみましょう。

玄米と精白米で比較!あらためて知る玄米の豊富な栄養

健康な食生活のために「なにかを足す」のではなく、「なにかを変える」という発想。普段食べている白いご飯を玄米に変えると、さまざまな効能が期待できます。

なぜ玄米は体にいいのか。精白米と比較しながら、具体的に説明します。

玄米と精白米、栄養素はこんなにも違う!

玄米には、健康や美容のための栄養が豊富に含まれています。まずは、玄米と精白米の栄養価の違いをみてみましょう。

玄米と精白米の栄養価の相違(100gあたりの数値)

  玄米 精白米
カロリー 346kcal 342kcal
食物繊維 3.0g 0.5g
ビタミンB1 0.41g 0.08g
ビタミンE 1.4g 0.1g
マグネシウム 110mg 23mg
2.1mg 0.8mg

引用:
文部科学省日本食品標準成分表(八訂)増補2023年「 穀類/こめ/[水稲穀粒]/玄米」
文部科学省日本食品標準成分表(八訂)増補2023年「 穀類/こめ/[水稲穀粒]/精白米/うるち米」

食物繊維

玄米の栄養のなかで、とくに精白米との違いが顕著な栄養素、それが食物繊維です。

食物繊維は日本人に不足しがちな栄養素のひとつ。おなかの調子を整え、腸内環境の改善が期待できる栄養です。また、食物繊維を十分に摂取することで、心筋梗塞や脳卒中、がんの発症リスクが低下することも判明しました。

厚生労働省は、1日18~21gの食物繊維の摂取が望ましいとしています。玄米100gあたりに含まれる食物繊維は3.0g。同量の精白米の6倍に相当します。

食物繊維を効率よく摂取できる食材のひとつとして、厚生労働省が玄米を推奨しているのも納得です。

ビタミンB1・ビタミンE

玄米はビタミンB1とビタミンEを豊富に含んでいます。玄米に含まれるビタミンB1は精白米の約5倍、ビタミンEは約14倍にもなります。

ビタミンB1は、糖質をエネルギーに代謝するときの補助酵素。お米を主食とする日本人には必須の栄養です。神経機能を正常に保つ働きもあります。

またビタミンEは、血液を拡張する働きがあるため、血行がよくなるというメリットが。老化を防ぐ抗酸化作用もあり、健康と美容に欠かせない栄養です。

ミネラル

玄米には豊富なミネラルが含まれていますが、とくにマグネシウムと鉄分の量は突出しています。精白米に含まれる量と比較すると、玄米が含有するマグネシウムは約5倍、鉄分は約2.5倍にもなります。

マグネシウムは、骨の形成に関連する栄養素。骨粗しょう症の予防が期待できます。鉄分は、体内に酸素を運ぶという重要な役割を果たしており、貧血予防に効果的です。

玄米を日常的に食べることで得られるメリットは非常に多いことがわかります。

玄米が食べやすくなるイタリアン・レシピ

玄米はいつもの和食メニューだけではなく、イタリアンで楽しむ方法もあります。いくつかの例を紹介します。

旬の食材と玄米を濃厚チーズ風味で / リゾット

お米を使ったイタリア料理といえばリゾット!イタリアは北部でお米を栽培しているため、お米料理の多くは北イタリアの郷土料理です。

リゾットはその代表格。野菜や肉を使ったコンソメスープを足しながら、お米を煮詰めていきます。日本のご飯のようなふっくらとした感じはなく、ちょっと芯が残る食感が特徴です。

イタリアンではサフランやキノコを使ったリゾットが有名ですが、今回はアスパラのリゾットを紹介します。

<材料(2人分)>
・玄米 160g
・アスパラ 300g
・玉ねぎ ½個
・コンソメスープ 1リットル
・バター 25g
・オリーブオイル 適量
・おろしたパルミジャーノチーズ
・黒コショウ お好みで

<作り方>
①玄米は6時間前後水に漬けておく(火を通りやすくするため)
②アスパラを一口大に切る
③玉ねぎはみじん切りに
④深みのあるフライパンにオリーブオイルを入れる
⑤玉ねぎを加えて弱火で炒める
⑥穂先以外のアスパラも加える
⑦穂先を加えて火が通ったら玉ねぎとアスパラは器に移しておく
⑧オリーブオイルをフライパンに加えて、玄米を入れる
⑨お玉でコンソメスープを加え、木べらでかき回す
⑩この作業を繰り返す(20分くらい)
⑪お米に火が通ったら、バターを落とす
⑫⑦を加える
⑬お皿に持ったらパルミジャーノチーズをたっぷりと(お好みで黒コショウを)かける

アスパラと旬を同じくするグリーンピースを加えても美味。見た目も鮮やかなリゾットになります。

オリーブオイルと具材の食味が玄米とマッチ/ ライスサラダ

イタリアで定番のライスサラダ。イタリアではライスサラダのためのお酢漬けの野菜が販売されていますが、お好みの野菜や食材で楽しめます。ぜひ玄米でトライしてみましょう。

<材料(2人分)>
・玄米 150g
・ミニトマト 120g
・ツナ 120g
・種なしオリーブ 適量
・オリーブオイル  適量
・塩・コショウ 適量

<作り方>
①玄米を塩を加えた水で茹でる
②玄米に火が通ったら水洗いをして、ザルにあげる
③水切りした玄米をボウルにいれ、ほぐしたツナ、カットしたトマト、オリーブオイルなどお好みの具材を加える
④オリーブオイルと塩で味を整える
⑤お好みでコショウを振る

サイスサラダの具材はお好みでOK!ツナやアボカド、フェタチーズもおすすめです。きりっと冷やした白ワインのお供にもぜひ!

野菜と玄米でボリュームたっぷりトマト風味のスープ/ ミネストローネ

イタリアでお米の栽培が始まったのは15世紀後半のこと。当時のお米は、主食としてではなく、スープの具材として使われていたそうです。今もイタリアでは、玄米を豆類のようにスープに入れて食べます。

ミネストローネは、季節の野菜や豆類を使って簡単に作れるメニュー。冷蔵庫のなかで中途半端に余っている野菜を使える、フードロス対策のレシピでもあります。クラシカルなミネストローネを紹介します。

<材料(2~4人分)>
・ニンジン 1本
・セロリ 1本
・ジャガイモ 1個
・ズッキーネ 1本
・グリーンピース 1本
・玉ねぎ 1/2個
・豆類(水煮タイプ)100g
・玄米 50g
・コンソメスープ 750リットル
・完熟トマト 1~2個
・塩・コショウ・お好みのハーブ 適量
・オリーブオイル 適量
・パルミジャーノチーズ 適量

<作り方>
①玄米を塩を加えた水で軽く茹でておく
②野菜を小さめにカットしておく
③鍋にオリーブオイルを入れ、玉ねぎ、ニンジン、セロリを弱火で炒める
④カットした野菜を鍋に入れ、コンソメスープを加える
⑤塩とコショウで味を整えてじっくりと煮込む(お好みでハーブも加える)
⑥適宜水を加えつつ、最後に豆類と玄米を加える
⑦お皿に盛り、パルミジャーノチーズをかけて完成

トーストしたフランスパンと食べてもおいしいイタリアン。イタリアではおふくろの味のひとつであり、心も温まる一品です。

さまざまな効能をもたらす玄米。低カロリー&高栄養の食材として、生活習慣病予防の観点からも脚光を浴びています。美容にも有効な玄米は、イタリアンレシピにすればおいしくおしゃれに楽しめますよ。

参照:
厚生労働省「食物繊維の必要性と健康」
農林水産省「お米と健康・食生活」
Giallo Zafferano「Risotto alla Asparagi」
La Cucina Italiana「L’insalata di riso integrale in 3 ricette da copiare」
小学館日本大百科全書「玄米」「マクロビオティック」
平凡社世界大百科事典「玄米」
マガジンハウス「発行玄米で不調を治す」2019年
谷崎玄明「玄米のススメ: 健康的な食生活は玄米で手に入れる」2022年

cucciola

ライター

cucciola

ヨーロッパの片田舎で家族と3人暮らし。

学生時代に都会の生活で心を病んで以降、スローライフとスローフードで心身の健康を維持。気が向くまま、思いつくまま、風まかせの旅行が多数。

アートと書籍を愛するビブリオフィリアで1人の時間が大好き。