秋から冬のキャンプ、夜は冷え込んできますね。寒い日には身体の芯まであったまる芋煮会はいかがでしょう?アウトドアでは少々手の出しにくい里芋ですが、旬でとてもおいしい食材です。いろいろな品種や各地のブランドがありますので、ぜひ試してみましょう!
芋煮の主役、里芋のいろは
まずは芋煮の主役の里芋について、おさらい&予習していきましょう。
里芋の部位
いつも食べている里芋は、地中の茎が肥大化した親芋のまわりに子芋や孫芋がついた部分です。スーパーなどで袋入りで売っているものは、たいてい子芋や孫芋です。品種によって親芋を食べるもの、親芋を食用とせずに子芋や孫芋を食べるものがあります。
里芋のおもな種類
上の写真は筆者がご近所の農家からいただいた「海老芋」です。親芋もやわらかくとてもおいしい芋ですが、栽培が難しいためあまり店頭ではみかけません。メジャーなのは、保存性のよい土垂(どだれ)や、8~9月が旬の石川早生(いしかわわせ)など。ざっとまとめたものは以下の通りです。
そのほか、在来種の山形「あくと芋」や福井「大野芋」、品種改良により栽培が拡大してきた愛媛「伊予美人」や新潟「きぬおとめ」など、各地でブランド化が進んでいます。里芋がバズる予感・・・がしているのは筆者だけでしょうか?
おなじみの「きぬかつぎ」は里芋の種類ではなく食べ方です。小さくてやわらかい芋を皮のまま蒸すか茹でるかして、皮の上部をつるりとはがす食べ方のことで、平安時代の女性の衣装「衣被(きぬかづき)」に似ているからそう呼ばれるそう。雅ですね!
里芋を選ぶポイント
今回紹介するレシピで使うのは開成弥一芋(かいせいやいちいも)です。弥一芋は、明治後半から神奈川県開成町で生産され、関東一円に栽培が拡がっていましたが、戦後の稲作への転換により衰退してしまいました。イオンなどの協力により地元の生産者が復活に尽力して近年生産が再拡大しています。
今回、芋煮用としてこれを選んだ理由は以下の5つのポイントからです。
1.煮崩れしにくい
2.色白
3.甘みがある
4.大きめ
5.使いやすい価格
ほかの品種から選ぶときは、以下を参考にチョイスしてみてくださいね。
- 丸みがある
- 縞模様がくっきりしている
- 表面が乾燥していない
- 触った感触がしっかりしている
- 形や大きさがそろっている
保管のポイント
里芋を買ったらなるべく早く調理しましょう。乾燥や低温に弱いので、冷蔵庫での保管はNGです。25℃以下の常温で、土付きのものはそのままキッチンペーパーなどで包み、カビないように通風のよい場所で保管しましょう。
もし余ったら、ペースト状またはポタージュにして冷凍しておけば長く楽しめますよ。
あったかホクホク芋煮レシピ
ホクホクの里芋といろいろな野菜を入れてあったかい芋煮鍋を楽しみましょう。食材を多くすると調理が大変になりがちですが、みんなで手分けして準備するとよいですよ。旬の食材が決め手の鍋ですが、ちょっとしたコツをご紹介します。
芋煮鍋の材料(4人分)
- 里芋 子芋12個
- 水 1.5L(里芋の下茹で用)
- 塩 小さじ1(里芋の下茹で用)
- 牛肉切り落とし 250g
- 豚バラ肉うす切り 250g
- 砂糖 大さじ1(牛肉と豚肉にもみ込む)
- 板こんにゃく 250g
- 塩 小さじ½(こんにゃく下処理用)
- とちお揚げ 1枚
- じゃがいも 中4個
- ごぼう 1本
- しいたけ 6個
- まいたけ M1パック
- にんじん 1本
- だいこん 1/3本
- たまねぎ 1個
- ねぎ 1本
- しょうが スライス4枚
- 水 1L(鍋にあわせて適量)
- だし 500ml (こんぶ水・白だしなど)
- 塩 小さじ2(仕上げ用は味をみながら)
- 料理酒 大さじ3
- みりん 大さじ3
- うすくちしょう油 大さじ2 (味をみながら追加)
里芋の下準備
まずは里芋の下準備からスタートです。
- 里芋の表面の土や毛をこすり洗いする
- 上下の固い部分を切り落とし、皮に輪を描くように切り込みを入れる
- 水から茹でて、串をさして通るくらいでOK(沸騰してから15~20分)
- 水で冷やし、できるだけ熱いうちに皮をむく(つるりとむける)
- 塩をふって、「きぬかつぎ」のつまみ食いをする(あまり食べすぎると鍋の分がなくなりますよ)
- 軽く水洗いしてザルにあげ、塩をふる
ほかの食材の下準備
続けて、里芋以外の食材の下準備をしていきます。
- 牛肉と豚肉に砂糖をかけ、もんでおく
- ごぼうはよく洗い、黒くなっているところはスプーンなどでそぐ
- ごぼう・にんじんを乱切りにする
- ごぼうを約5分水にさらす
- まいたけをほぐし、しいたけは傘に切り込みをいれておく
- だいこんは1cmくらいの半月、たまねぎは2cmくらいのくし切り、ねぎはななめ切りにする
- こんにゃくは7~8mmに切り、手綱に巻いて、さっと茹であく抜きをしてから塩小さじ1/2でもんでおく
- しょうがは1cmくらいのたんざくにする
- じゃがいもは皮をむき、下茹でしておく
こんにゃくはちぎってもOKですが、手綱にしておくと食べごたえがあり、味も乗りやすくなります。塩もみするのは水分を出して味をしみやすくするため。あく抜きはしっかりめに!
仕上げ
いよいよすべての食材をまとめて仕上げです。
- 豚バラ肉をいためる
- 肉の油が出たら、しいたけを傘を下にして焼く
- ネギを焦げない程度に焼く
- 牛肉をいためる
- 里芋とじゃがいも以外の食材をいためる
- 料理酒とみりんを入れる
- 沸かしておいた湯をゆっくり入れる
- 沸騰したら弱火にして煮る
- だいこんやごぼうなどが煮えてきたら、里芋とじゃがいもを入れる
- しょう油を入れ、塩で味をととのえる
たき火や炭火でダッチオーブンを使うのはカッコいいけれど、鍋料理の場合、火のコントロールが難しい!慣れていない人はガスコンロや調理用ストーブが便利です。
卓上カセットコンロはテーブルの上に約10cm盛り上がってしまいますが、スノーピークのフラットバーナー(GS-450R)ならIGT(アイアングリルテーブル)にすっぽりはまって使いやすい!
調理用ストーブ「タクード(KH-002BK)」もIGTにフラットにはまり、暖もとれるので寒い時期にはかかせません。
ライター
Maita
アウトドア大好きなフリーランスのフードコーディネーター(FCAJ認定/1級)&Webデザイナー。こだわって作った『つくりおき料理』で楽しいキャンプ飯を考案。また、日本各地の固定種・在来種の食材を使った料理を手掛け、地域の食文化の継承を模索している。一人でも家族でも仲間でも楽しめる、そして地球にやさしいレシピを提案していく。