クロスカントリースキーの歴史は紀元前から!?
スキーのはじまりはいつなのでしょうか?
スキーといえば、ダウンヒルのようなアルペンスキーを思い浮かべてしまうかもしれませんが、アルペンスキーが盛んになったのはわりと最近のこと。
そもそもスキーは、生活のための道具でした。
スカンジナビア半島からベーリング海峡まで、ユーラシア大陸の積雪の多い地域で、狩りの際、よりスムーズに移動する手段として、かんじきを長くして雪に沈まないようにしたクロスカントリースキーが用いられるようになったのが、紀元前2500年。
モンゴル・アルタイ山脈の洞窟には、人々がスキーをしている姿を描いた壁画が残されていて、その中にはスキーを履いてヤギを狩る人も描かれていたとか!
北欧でも、北欧神話にスキーの神様が登場したり、スウェーデンの沼からBC2500頃のスキー板が出土したりしています。
雪国での狩りや交通手段として発展した後、戦争の際には手に武器を、足にスキーを履いて闘い、ノルウェーにはスキー部隊も存在していました。
軍事目的でスキーの開発スピードは上がり、同時にスキー技術も磨かれていったのでしょう。
こうして人々の生活の手段として発展してきたのが、スキーの原点でもあるクロスカントリースキーなのです。
では日本ではどうでしょう?
日本には、日清戦争の頃に初めて外国(中国とも北欧ともいわれている)からスキーが持ち込まれたとされています。
明治35年に起きた世界規模でみても大きな遭難事故「八甲田山雪中行軍遭難事件」に対して、ノルウェーの王様からお見舞いとしてスキー板を2台贈られたのは、オーストリアのレルヒ少佐が上越高田にてアルペンスキーを伝える2年前のことでした。
北欧諸国では日常生活と密接したクロスカントリースキー
古くから生活にスキーが欠かせなかった北欧三国のノルウェー、スウェーデン、フィンランドは、現在でもクロスカントリースキーの強豪国です。
競技としてのクロスカントリースキーだけではなく、日常的なレジャーやスポーツとしてのクロスカントリースキーが子供からお年寄りまで親しまれているのは、昔から生活の一部としてクロスカントリースキーが身近な手段だったからでしょう。
雪が深い地域では、冬の間、通勤や通学の足としてクロスカントリースキーが用いられてきました。
夏は避けなくてはならない川や湖沼、田畑なども雪が積もってしまえばスキーで歩けるため、冬の方が直線的にショートカットできるというメリットがあるとか!
現在でも、雪の日の移動手段のひとつという位置づけは変わらず、学校やオフィスの建物に続くシュプールが残されていたりするそうです。
それほど生活に密着したクロスカントリースキーですから、公園や農道などにはそこを滑っていけば隣町まで到達できるほど長いクロスカントリースキーのコースが整備されているそう。
アメリカや日本でも想定外の大雪が降ると街中でスキーを持ち出す人が出現してニュースになったりしますが、実はとても合理的なことなのかもしれませんね。
クロスカントリースキーが北欧で“スポーツの王様”と呼ばれる理由
オリンピックなどで「キング・オブ・スキー」という言葉を耳にしたことはありませんか?
これはジャンプとクロスカントリーで行われるノルディック複合競技の勝者に贈られる称号です。
スキージャンプでは瞬発力、クロスカントリースキーでは持久力が必要とされ、総合的な運動能力が求められるため、この種目の王者はキング・オブ・スキーと呼ばれるのです。
クロスカントリースキーについていえば、1~2kmから50km超のレースまであり、高い持久力が不可欠なうえ、アップダウンを繰り返すため、筋力が無ければスピードが出せません。
運動強度を示すMETS(メッツ)値は、アルペンスキー、テニスや水泳などと比較しても高い数値となっています。
ナショナルトレーニングセンターで行われる有酸素運動能力測定の結果も、クロスカントリースキーの選手は好成績なのだそうですよ。
雪のない季節にも、オフトレとしてランニング、ウェイトトレーニング、体幹トレーニングはもちろん、登山、ローラースキー、ポールトレーニング、トレイルランニングなど、様々なトレーニングを続けています。
こういったたゆまぬ努力が、キング・オブ・スキーをキングたらしめているのですね。
本場ヨーロッパではクロスカントリースキーのワールドカップは全試合テレビ中継されるほどの人気があり、メディアも大きく取り上げます。
ノルウェーの大会には10万人ものギャラリーが押し寄せ、選手に大声援を送るそうです。
これほどの注目を集める人気競技の王者ともなれば、大人からは称賛を、子供からは憧れを集めることは間違いなさそうです。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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