激流が舞台のカヌー競技
2021年夏に開催された東京オリンピック。とくにカヌー競技は会場が新設されるなど注目をあびた競技のひとつです。
オリンピック競技以外にも、カヌーにはさまざまな競技があります。
なかでも激流のコースを巧みに漕いでいくカヌー競技は、自然の川ならではの迫力と、選手のテクニック・パフォーマンスが魅力です。
今回は、激流をコースにして行うカヌー競技「ワイルドウォーター」と「フリースタイル」の2つを解説します。
カヌーワイルドウォーターとは?
カヌーワイルドウォーターは自然の川に設定したコースを、いかに速く漕ぎ抜けるかを競うシンプルな競技です。
しかし、スプリントのように変化があまりないコースとは違い、瀬を含む自然の川のコースで行うため、艇が安定するライン取りを瞬時に見極める判断力、そこをトレースし漕いでいくテクニックが求められます。
カヌーワイルドウォーターは2種目!コース&ルール
カヌーワイルドウォーターには公式種目として2つの種目があります。
スプリント | カヌーワイルドウォーター「スプリント」は短距離種目です。コースの距離は200m~600mの区間で競技を行います。スプリントでは搭乗人数は1人です。 |
クラシック | こちらは長距離種目です。国体では1500mと規定がありますが、それ以外では漕行時間が30分以下であることが決められています。スプリントと同じように判断力・経験値に加え持久力も求められます。クラシックでは個人戦のほかにチーム戦でのレースもあります。 |
また、クラシックは独特の細かいルールが設定されています。
- スタートは静止状態以外NG。
- チームの全選手はリリースの瞬間から10秒以内にスタートラインを通過しなければいけない。
- ほかの選手に追いつかれた場合、追いついてきた選手が「Free」と合図したら、その艇の追い越しを許可しなくてはいけない。
- チーム戦のゴールは3艇すべてが10秒以内にフィニッシュしなければ失格となる。
カヌーワイルドウォーターで使用するカヌー
使用するカヌーはスプリント・クラシックともにカナディアンカヌーとカヤックを用います。
どちらのカヌーも通常よりも細長い形をしており正座をする状態で搭乗します。カヌーのサイズは以下のようになります。
全長(㎝) | 最小幅(㎝) | 重量(㎏) | |
K1(カナディアン1人) | 450 | 60 | 11 |
C1(カヤック 1人) | 430 | 70 | 12 |
C2(カヤック 2人) | 500 | 80 | 18 |
カヌーワイルドウォーターの見どころ
見どころは、自然の川を相手にいかに艇を安定して進めることができるか、ライン取りを行う判断力です。そして、それを忠実に漕ぎ進めるテクニックが求められます。
また、スプリントでは航行距離が短いため、瞬時にこれらを見極めねばなりません。クラシックは距離が長い分スタミナも必要になってきます。
カヌーフリースタイルとは?
カヌーフリースタイルとは波やホールと呼ばれる水の落込み箇所など激流の中で、パドリングや操艇技術を競う競技。
水上のロデオと呼ばれ、鮮やかなパドルさばきやカヤックを縦横無尽に操るパフォーマンスは圧巻です。
カヌーフリースタイルのコース&ルール
カヌーフリースタイルでは、自然の川あるいは人口のコース内で波やホールにより激しい水流が起こっている、いわば瀬の中で行います。
競技ルールは設定された時間内(現行ルールでは45秒)でパフォーマンスを行い、その難易度や美しさを競います。
公式種目では男子女子のほかに男女混合・ジュニアといったクラスがあり、さまざまな選手層があるのも見どころのひとつと言えるでしょう。
カヌーフリースタイルの競技ルールについては大会によって都度形式がかわる場合があります。
カヌーフリースタイルで使用するカヌー
カヌーフリースタイルで使用されるカヌーの種類はバリエーションが多く、カヌー競技のなかでも豊富です。
カヤック(K)、カナディアンカヌー(C)、オープンデッキカヌー(OC)、そしてスクウォートボート(SQ)と呼ばれる全体が薄くできているカヤックなどが使われます。
どのカヌーも瀬の中で3次元的な動きを行いやすいよう工夫が施され、あえて不安定にしてパフォーマンスを行いやすいようになっています。
カヌーフリースタイルの見どころ
カヌーフリースタイルの魅力は何といっても圧巻のパフォーマンス。
瀬の中に沈んだかと思えば華麗に空中で一回転、水中で神秘的な舞を踊っているかのような技など、美しく迫力のあるパフォーマンスが見どころです。
観客からは水中で繰り広げられるテクニックの数々に歓声が巻き起こります。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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