突発的に移住した筆者ですが、移住生活が万事順調というわけではありません。やはり都会とは大きく違う環境で、さまざまな困難にぶつかりました。とくに大変だったのは仕事や経済的な変化に対応することでした。まだ現在進行形ではありますが、今回は移住生活でのライフスタイルの変化についてお伝えします。
ライフスタイルの変化は覚悟すべし
私の移住先は観光地でそれほど田舎というわけではないのですが、都会とは大きく環境が違い、以前のライフスタイルのままでは暮らして行けなくなりました。その中で最も大きく違っていたのが仕事に関する環境です。
手に職と仕事のツテは絶対確保
私の場合、ライターとして出版社などからの直接依頼は大幅に減りました。リモートワークが盛んになったとはいえ、やはり顔合わせの場がないというのはかなり影響しているようです。
都会とは違う地方の仕事格差
私の住む場所は観光地のため、観光に関する仕事が多くあります。求人を見てみるとデスクワークは少なく、観光関連、または医療や介護といった職種が多く見られます。ほか林業、運輸などの求人もありますが、大半が体を使う仕事になります。
ひと言でいうと、もともとデスクワークを中心とした働き方をしていた人には不利な状況です。
また、アルバイトなどの時給は多くが1,000円程度。都会のような高額バイトはほぼありません。手堅い仕事のツテがあるのが一番ですが、それでも一度は移住先の求職状況を確かめておくのがよいでしょう。
スキルを活かす場所は限られる
手に職があることはよいことですが、都会とは違い、移住先ではそれを活かす場所がないこともあります。
私は文筆業ですが、現在の移住先ではほとんど需要のないスキルです。そのため、地元で得た仕事はほぼゼロ。仕事は、都会在住時代の人脈からつないだ案件と、クラウドサービスなどで見つけたリモートワークになっています。
私の移住先は観光業が盛んなので、ホテルや飲食店など、サービス業での経験がある人には有利です。
柔軟な仕事観も重要
移住生活を送ることを重視して、地域に合わせた仕事をするというのもひとつの手段です。
私の場合は、ライティングの仕事だけでは収入が足りないので、観光レストランでのアルバイトもしています。この歳(50歳)になってのアルバイトは正直大変ですが、この土地で暮らしてくことに重きを置いているのであまり苦になりません。
侮れない田舎でかかる諸経費
「家賃が安くて、田舎暮らしは安くあがる」と思いきや、物の値段は都会とあまり変わりません。立地条件によりますが、アパートやマンションなどの家賃も都会とあまり変わらない物件も多いです。
食品なども都会の1〜2割程度安いといった印象で、衣服などに関してはほぼ都会と同じような値段設定。ガス・電気といった公共料金もほぼ変わらず、プロパンガス利用だと都会より高くつくかもしれません。それ以外に、車の維持費やDIYなどにかかるお金も必要になります。
やはり、都会と同じように生活費の確保は必須です。事前に移住先の生活費を細かくシミュレーションしておくべきでしょう。
古民家はメンテナンスが大変
私は古民家に住んでいるので、家の細かいメンテナンスが必要になります。例えば、以下のようなことが発生します。
- 網戸が破れた
- 壁が朽ちた
- 電気のスイッチが壊れた
- 水回りの補修など
私の場合は、賃貸のため大がかりな修理は家主が行いますが、日常的なメンテナンスは住居人の担当です。
古い家に住むと、日常的な修繕が必要になってきます。そのため得意不得意よりも、メンテナンスや掃除が苦にならず、ライフスキルが上がることを喜べる人が向いています。
移動は軽自動車がおすすめ
私の移住先は海辺の集落で、細い道や急な坂などがあります。そして、車が日常の足になるので、車の出し入れが頻繁にあります。
となると、やはりおすすめは軽自動車です。小回りがきいて燃費もよく、車の出し入れが楽。事前に移住先の道路状況や駐車スペースなども確認して、場合によっては車の乗り換えを視野に入れておくのもよいでしょう。
生活のための時間は格段に増える
なんでもコンビニエントに済ませられる都会とは違い、移住先では以下のような家仕事の時間が増えました。
- 掃除
- 炊事
- 畑仕事
- 家の修繕など
そういった時間を作るために、私の場合は朝型の生活に切り替えました。早起きして仕事の前にそういった雑事の時間に充てています。
こうした雑事が苦にならない人には逆に楽しい時間になるかもしれません。そうでない場合は雑事も大事な仕事のひとつとして捉えてみてはいかがでしょう。
貴重になる自分の時間
都会生活よりやることがいろいろ増えますが、睡眠時間を削るわけにはいかないため、自分の時間を削ることになります。自分の趣味の時間や、ただぼーっと過ごす時間の総量は減りました。
時間をしっかり割り振って行動することで、そこに充実感を見出せるようにすると楽しめると思います。
ナイトライフはほぼ絶望
実は、私は夜遊びが大好きで、都会に住んでいた頃は夜な夜な盛り場へ繰り出していました。しかし、移住先では都会と同じような夜遊びは望めません。
夜遊びの場所は限られている
移住先は都会に比べて圧倒的に夜遅くまで営業しているお店が少なく、遊びに出るための手段が車に限られるのでお酒も飲めません。ナイトライフの楽しみがほぼありませんので、自然と夜遊びに出かけなくなりました。
夜に飲みに出かける習慣がない人には問題ないかもしれませんが、好きな人はライフスタイルを変えるつもりで移住したほうがよいでしょう。
ご近所に飲み友を見つけるべし
そういうわけで、私がお酒の席を共にするのは近隣の方々です。幸いお酒好きで話好きのお爺さま方がいるので、ときどき伺って一緒にお酒を飲んでいます。都会時代とはだいぶ様相の違う飲み方ですが、それでも人と飲むのは楽しくていい気分転換になります。
地元の方も移住者に対して興味を持っていることが多いので、普段から挨拶をしたり愛想よくしていると、自然に飲みに誘ってくれるのではないでしょうか。
ライター
いしいあきら
茨城の田舎町からギター片手に上京。特に音楽をやるわけでもなく出版業へ。読書ばかりしていた暗い青春時代が生きる。それなりに本を作ったり雑誌を作ったり楽しくすごす。しかし、その素性は田舎っぺ。年々、自然への憧れが強くなり、3年前にうっかり移住。海と猫と老人に囲まれ、幸せな毎日を送る。好きな果物はいちご。