冬キャンプに石油ストーブをおすすめする理由
石油ストーブは使い勝手に優れた暖房器具で、寒くなるこれからの時期の冬キャンプにおすすめのアイテムです。ここでは、冬キャンプに石油ストーブをおすすめする理由を詳しく解説していきます。
冬キャンプ用薪ストーブについては、下記の記事で詳しく解説しています。
多様なシーンで使える
まず、石油ストーブは薪ストーブのような煙が出ません。煙突が必要ないので、家やテントのなかといった室内でも使用可能です。場所を限定されることなく、さまざまなスペースを選んで使用できます。
また、ファンヒーターやガスストーブなどと異なり電源も必要ありません。場所を選ばない自由な使い方が可能なので、屋内外問わず自宅の庭などでも気軽に使えるのです。実際、筆者も冬の庭仕事で「ちょっと温まりたいな」というときに使っていますよ。
ストーブ周囲には燃えやすいものを置かないよう気をつけましょう。キャンプシーンであれば、ガス缶などにも注意が必要です。また、テント内での使用は、必ずメーカーの取扱説明書の注意事項などにしたがって正しく使いましょう。なお一酸化炭素チェッカーの使用やこまめな換気を行うなど、十分に注意しましょう。
燃費のコスパが優れている
とくに屋外シーンにおいては、ほかの暖房器具に比べて燃費は非常に優れています。メーカーにもよりますが、1リットルの灯油で4〜8時間ほど連続して使えます。大容量のタンクであれば、さらに長時間の使用も可能ですよ。
つまり、1泊のキャンプであれば200円~300円程度で十分おさまるのです。薪やガスと比べて燃料費も安く、長時間使えるという点で、お財布にもうれしい暖房器具といえるのではないでしょうか。
古い灯油は、着火不良や異常燃焼などのリスクとなります。予期せぬトラブルに発展してしまうかもしれません。長期間使用しないときは、タンク内の灯油を抜き取っておきましょう。
料理にも活用できる
石油ストーブの上にフライパンなどの調理器具を乗せれば、簡単な料理もつくれちゃいます。火力はそこまで高くはありませんが、煮込み料理などには十分使えますよ。焚き火のように煙が出ないので、室内でも使えるのが大きなメリットです。
筆者のおすすめは「おでん」です。準備はいたって簡単で、暖房ついでにおでんの具の入った鍋を置くだけ。じっくりことこと煮込んでつくった味しみしみのおでんは格別ですよ。寒さも吹き飛びます!
吹きこぼれや油はねには十分に注意してください。とくに、油のはねは、料理後の片づけがとても面倒になります。炒め物などは避けた方がよいかもしれません。
加湿もできる
石油ストーブは、石油を燃焼する過程で水分が発生します。つまり、加温と同時に加湿も一遍にできるのです。乾燥しがちな冬の時期にはうれしいですよね。水の入ったケトルなどを置けばさらに湿度を上げられますよ。
ちなみに、空気がこもりがちだと感じる場合は、ストーブファンを使用すれば空気を効率よく巡回させることも可能。快適温度は、温度・湿度・気流の三要素のバランスで決定まりますが、石油ストーブならこのすべてをコントロールできるのです!
こまめな換気は必ず行いましょう。とくに注意したいのが一酸化炭素中毒です。一酸化炭素チェッカーなどを使用した対策を必ず行ってください。
準備・片づけが簡単にできる
石油ストーブは使い方も楽々。薪ストーブのような特別な準備を必要としません。灯油が入っていれば、すぐに使い始められます。着火は電池式の電子点火式のものであれば、ワンタッチで行えます。キャンプ場に到着してすぐに暖を取りたいときに、この手軽さはありがたいポイントですよね。
後片付けもとても簡単。消火したら自然と冷めるのを待つだけです。灰の処理をする必要もなく、ガスストーブのようにボンベの取り外しも不要です。キャンプの撤収時間を短縮できるのは、大きなメリットといえるでしょう。
定期的なメンテナンスはとくに不要ですが、久しぶりに使用する際は、点火の前に燃焼筒の周りに汚れがたまっていないか確認しましょう。ほこりなどがたまっていると、思わぬ事故の原因となります。また、運搬の際はストーブ本体の灯油は抜いておきましょう。灯油の運搬は、専用の灯油タンクなどを使用するなどくれぐれも注意してください。
冬キャンプ用石油ストーブの選び方
とひとえに石油ストーブいっても、熱の送り方や対応畳数などその種類はさまざま。
冬キャンプに適した石油ストーブはどんなものなのでしょうか?
選ぶ際は用途や環境にあわせて、以下のポイントを押さえる必要があります。ぜひ参考にしてください。
対流式と反射式
石油ストーブには、大きく分けて「対流式」と「反射式」の2つの種類があります。対流式は広い空間全体を立体的にあたためられ、反射式はストーブ正面を中心に狭い空間を集中的にあたためられるのが特徴です。どちらも一長一短ありますが、それぞれの特徴を確認してから利用シーンに合わせて選択するとよいでしょう。
ちなみに、キャンプシーンで使用するなら、自然な循環を利用して空間全体を立体的にあたためる対流式の石油ストーブがおすすめです。
対応可能な畳数
ストーブのサイズや出力によって、対応できる畳数は異なります。狭いテント用なら1.5畳〜3畳程度、キャビンタイプのような広めのテントなら6畳〜10畳まで対応できるものがよいでしょう。
ただし、テントは家の室内と比べて気密性は低めです。熱が逃げやすいことを考えると、実際のテントサイズより少し広めの対応畳数のものを選ぶのもひとつの手といえるでしょう。
ほとんどの製品が家庭用製品として屋内での使用を想定して作られています。そのため、テント内での使用はメーカー推奨の使用法にしたがって、正しく使いましょう。
着火方法
石油ストーブにはいくつかの着火方式がありますが、少しでも手間を省きたい人には電子点火式がぴったりです。冬場の寒いなかでも、スイッチひとつで簡単にすぐに着火できますよ。
筆者としては、ライターなどを使用して行う直接点火方式もおすすめです。燃焼芯にゆっくりと火が灯っていくのを見るのも、なかなか風流な感じでよいものですよ。
燃焼時間
ストーブの燃焼時間は、給油タンクの容量でも大きく変わります。大容量の12時間以上連続して使えるモデルから、小型で4〜8時間程度のものまでさまざま。目的などにあわせて選択してください。
ただし、タンクが大きくなれば当然比例するように本体サイズも大きくなります。テントや部屋の大きさも考慮しながら選ぶようにしましょう。
安全性能
購入を検討する際には、消し忘れ防止の自動消火機能や転倒時の自動消火など、安全面での装備も考慮しましょう。とくに、子ども連れのファミリーキャンプなどでは、これらの安全装置は必須といえるでしょう。
給油にも注意が必要です。タンクが取り外せるものであれば、本体を持ち運ぶことなく手軽に安全に配慮しながら給油できますよ。
冬キャンプにおすすめの石油ストーブ7選
定番のモデルや人気が急上昇中のモデルなど、冬キャンプに活躍するおすすめの石油ストーブを紹介します。
パセコ 対流型石油ストーブ WKH-3100S
リーズナブルな価格とデザイン性の高さで人気上昇中の石油ストーブです。3万円を超える商品も多いなか、2万円ほどで購入できるお手頃価格。また、愛くるしいデザインとポップなカラーも人気の理由です。
暖かさは出力3.0kw/hと十分あります。安全も考慮されており、揺れや衝撃を感知すると自動で消火する、耐震消火装置付きです。タンク容量は5.3L、燃焼時間は約18時間と長時間使用可能。
何回も給油したくない人や、2泊以上のキャンプをする人にぴったりな石油ストーブです。
アルパカ プラス TS-77NC
軽量で持ち運びしやすく、シンプルな見た目が特徴の石油ストーブです。レトロなデザインがサイトのコーディネートのポイントになります。コンパクトサイズなので設置場所に困りません。
アルパカは韓国のメーカーですが、日本では日本の安全基準に沿った商品を販売しています。毎年製品はアップグレードされ、進化を続けているストーブです。
キャンプサイトをおしゃれに決めたい人にはとくにおすすめ。暖かいうえに見栄えもする、頼れる1台です。
トヨトミ 対流型石油ストーブ RL-251
ランタン調の見た目が温かみのある、かわいらしいデザインの対流型石油ストーブです。販売しているのは日本メーカーのトヨトミ。7色の炎が空間を優しく照らしながら暖めてくれます。眺めているだけでも癒されるでしょう。
点火はダイヤルを回すだけで簡単。消火のときには未燃ガスを燃やしきり、嫌なにおいの発生を抑えます。万が一転倒しても灯油がこぼれにくい2重タンク構造です。
明るさも十分あり、光源としても使用できます。燃える炎を見て楽しみたい人には大満足なストーブではないでしょうか?
アラジン ブルーフレームヒーター BF3911
約80年、改良を加えながら進化しつつも、形はほとんど変わらない、伝統のある石油ストーブです。
うつくしく青い炎は、ムラなく気化した灯油に充分な酸素が供給され、燃焼状態がよい証拠です。着火と同時に素早くこの状態で燃焼するので、気になるにおいが発生しません。安全面も考慮されており、耐震自動消火装置が装備されています。
デザインにとことんこだわる人にチェックしてほしいアイテムです。置くだけで絵になる存在感で、サイトの雰囲気をグッと上げてくれるでしょう。
スノーピーク グローストーブ KH-100BK
スノーピークの冬の定番商品です。鉄板が熱されることで遠赤外線を生み出し、暖かさが側面方向へと広がります。
円筒型で360度から熱が放出されるので、テントの中心に置けば全体を暖めてくれます。点火はレバーを回すだけでとても簡単。耐震自動消火装置付きで、災害時への備えにもなるアイテムです。
暖かさの質を求めたい、寒がりな人に申し分ない1台。遠赤外線効果で、小型でも高い暖房効果が期待できます。
トヨトミ 石油ストーブ RS-H29M
国産メーカー、トヨトミのハイパワーモデルです。コンパクトなのに木造8畳まで対応できます。持ち運びに便利なキャリングハンドルが装備されているので便利です。
「しん調節つまみ」を押して下げるだけで簡単に一発点火。消火時は未熱ガスを燃やしきるので、嫌なにおいを軽減できます。タンク内の弁「こぼれま栓」が装備されていて、うっかり倒しても灯油がこぼれにくい構造です。
低価格でも機能性は妥協したくない人の有力候補となる石油ストーブです。国産メーカーというのも、こだわりたい人にはうれしいですね。
コロナ 石油ストーブ RX-22YA(HD)
給油時に手が汚れない、「よごれま栓」を採用したストーブです。点火ボタンはすぐわかるように視認性の高いオレンジ色を採用。消火ボタンは触れるとわかるように凸凹加工され、操作しやすいよう工夫が満載です。
ゆっくり消火する過程で未燃焼ガスを燃やしきり、においの発生を抑制。また、使用中に給油タンクを抜くと消火する、自動消火装置付きです。
簡単に使うことができるように、よく考えられています。シンプルさや無骨さを重視したいキャンパーにイチオシですよ。
冬キャンプで石油ストーブを使う際の注意点
危険があることは分かっているけれど、それでもストーブなしではやっていけない・・・という気持ちは分かります。
シェルター内でのストーブの使用はあくまで自己責任ですが、しっかり気をつけてさえいれば、快適に過ごすことができます。
テントの中は火気厳禁
薪ストーブ用のコットンテントや、スノーピークのラウンジシェルオールインワンのように、火気の使用がOKとされているシェルターはごく一部です。
基本的に、幕の中は火気厳禁。
もちろんストーブだけでなく、シングルバーナーやツーバーナー、ランタンなどのガス、ガソリンの使用も含みます。
火気の使用が禁止されている理由は、
- 一酸化炭素中毒の危険
- 火災の危険
この2つの可能性が非常に高いからです。
「でも、実際みんなやってるよね?」と軽い気持ちで使用すると、取り返しのつかないことになりますよ。幕内でストーブを使用するには、厳重な注意が必要なんです。
布の中で火を燃やすわけですから、家の中よりも火災の危険性が高くなるのは容易に想像できるはずです。しかし、野外だからなのか、あまり気にしていない人も多いのが現実。
火に強いとされているコットンテントですら、高温に晒されれば燃えます。多くの人が使っている化繊のテントだったらどうでしょう。
何かの拍子でストーブを倒してしまったら、薪ストーブを勢いよく燃やしすぎて、火の粉でテントに火がついてしまったら・・・
化繊は燃えやすいので、穴が開くだけならまだしも、一瞬でテントごと燃えてしまう可能性があります。
一酸化炭素中毒の危険
一酸化炭素は、木炭、練炭だけでなく、灯油やガスなど、燃焼するものがあれば必ず発生します。
無色で無臭の気体のため、密閉空間で充満していても気付きにくく、気付いたときには中毒に陥っているという恐しい毒ガスなんです。
一酸化炭素中毒の症状は、軽度のもので頭痛、めまい、吐き気などですが、重度になると意識喪失、昏睡、最悪死にいたる場合があります。
一番多いケースは、就寝時の暖房器具の付けっぱなしによる事故。
寝ているので、症状が出る濃度になっても気が付かずそのまま死亡してしまう、またはテントの外に出た途端、意識を失い倒れてしまうなどは、今まで実際にキャンプ場で起こった例です。
換気をする
テントやシェルター内でストーブを使う際は、必ず換気をしてください。一酸化炭素は空気より軽いため、上に溜まります。ベンチレーションが上にあるテントの場合は開けておきましょう。
上にベンチレーションが無い場合は、2ケ所ほどメッシュして、空気の通り道を確保してください。
薪ストーブは煙突から煙を排出するので、石油ストーブよりは一酸化炭素中毒の危険は低くなりますが、それでも換気が必要ないわけではありません。
油断せず換気に留意してください。
燃えにくいコットンテントを選ぶ
なるべくなら、冬場は燃えにくいコットンテントがおすすめです。コットンテントは透湿性が良いので、中で暖房を使っても結露しにくいところも◎。
コットンテントは高額なのでなかなか手が出ないという方は、2ルームテントはいかがでしょうか。
十分な広さが確保できますし、リビング部分が土間のように使えますから、万が一灯油をこぼしてしまったりしてもテントに染みることはありません。(匂いは残りますが・・・)
ただし、薪ストーブを使うには、幕が本体に触れないよう工夫して設置する必要があります。
一酸化炭素警報機
一酸化炭素の濃度が高くなると、警報で知らせてくれる装置です。ストーブを使用するなら必ず用意してください。
一酸化炭素が溜まりやすいテントの上部に付けておくと安心ですよ。ただし、これはあくまでお守り代わり。
突然の電池切れや故障で、作動しないこともあり得ます。あまり過信しすぎず、換気をきちんとした上で設置してください。
携帯消火器
焚火をする時は、万が一の時にバケツに水など用意しているかと思いますが、ストーブを使っているときも、備えは必要です。
例えば火が灯油缶に燃え移ってしまったとか、テントが燃えて大きな火災になってしまったときには、水ではなく消火器でなければ鎮火できません。
管理棟にも備え付けの消火器があるはずですが、遠い場所に張ったときの場合も考えて、自分でもミニ消火器を持っていると安心です。
セラミックヒーターやホットカーペットで暖を取る
そんなに危険なら、やっぱり冬キャンプやめようかな・・・と、諦めないでください。心配な方は、電源サイトで火を使わないセラミックヒーターやホットカーペットで暖を取る方法もあります。
ただし、電源サイトは使えるアンペア数が決まっていますので、使用する機器のワット数を確認してくださいね。だいたい10アンペアくらいのキャンプ場が多いので、1000Wまでは使えます。
火の暖かさは心地よいものですが、子どもがいる場合や風の強い日などは、電気の力に頼った方が安全です。
他に、湯たんぽやテントシューズなどを駆使すれば、火を使わずとも暖かく過ごすことができますよ。