荷物を軽量・コンパクト化するUL(ウルトラライト)キャンプ。キャンプに慣れてきて、さらに自由度を高めたいと考えている人に、とくにおすすめのキャンプスタイルです。本記事では筆者の経験をもとに、ULキャンプのメリットと軽量化のコツを紹介します。

UL(ウルトラライト)キャンプとは?

ULキャンプ

ULキャンプとは、荷物を軽量・コンパクト化してキャンプを快適に楽しむ、新しいキャンプスタイルです。もともとは長距離を歩くために荷物を厳選する、ULハイキングから派生しました。

ただし、キャンプの場合はULハイキングのようにストイックにする必要はありません。軽量化は重視しつつ、快適さにもこだわるのがポイントです。

ULキャンプ用には、軽量ながら使い勝手がよく、見た目もおしゃれなアイテムがリリースされています。そのため、荷物を軽量化したい人だけでなく、流行に敏感な感度の高いキャンパーからも注目を集めていますよ。

ULキャンプのメリット

「ウルトラライト」「徒歩キャンプ」「バックパッキング」「軽量化」

筆者が体験してみて、ULキャンプはメリットがたくさんあることを実感しました。具体的なメリットをいくつか挙げてみますね。

好きな場所でキャンプができる

まず、キャンプする場所の選択肢が広がるのがメリットです。ULキャンプは荷物を軽量化し、衣食住のアイテムをバックパックひとつにパッキングします。

身軽に徒歩で自然のなかに入っていけるため、車では乗り入れができないキャンプサイトも利用可能。オートキャンプではたどりつけない場所でキャンプができるのです。

設営・撤収が簡単になる

荷物をシンプル化することで、キャンプの設営・撤収がとても楽に行えます。大型のテントやタープ・チェア・テーブルなどのアイテムがあると、車からの積み下ろしだけでも一苦労ですよね。さらに設営や撤収にも時間と体力がかかってしまいます。

その点、ULキャンプなら、バックパックからさっと荷物を取り出し、シンプルなテントやアイテムを準備するだけでOK。キャンプ後の疲労感の軽減にもつながるでしょう。

本当に必要なものがわかる

ULキャンプを実践していくと、荷物の取捨選択がうまくなり、自分にとって本当に必要なアイテムがわかるようになります。バックパックひとつに荷物を積み込むためには、重量をできるだけおさえ、必要なものを把握しなければならないからです。

筆者は実践していくうちに、オートキャンプの荷物もシンプルになり、前よりも気楽にキャンプを楽しめるようになりました。

バックパックの中身は防災用具になる

ULキャンプのアイテムをパッキングしたバックパックは、そのまま防災用品になります。軽やかに行動できるため、災害が起きたときにこのパックパックを持ち出せば、迅速に非難できるでしょう。

万が一のためにも、普段からパッキングした荷物を玄関先などに置いておくとよいですよ。

荷物を軽量化するポイント

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ここからは、筆者が実際に行った実体験を交えながら、軽量化のポイントをお伝えします。

アイテムを計量してリスト化する

荷物の軽量化には、手持ちのアイテムの重さを知るのが重要です。まずはアイテムを計量してリスト化しましょう。

必要なアイテムの大きさ・重量が把握できて、荷物の取捨選択に役立ちますよ。

大物アイテムを見直す

荷物のなかで重くかさばりがちなのがテント・寝袋・キャンプマットの3つ。どれもキャンプに必須のアイテムなので、まずはこうした大物アイテムから軽量・コンパクト化しましょう。

テントは、できるだけシンプルな構造のものを選ぶことをおすすめします。テントフレームが多いドームテントよりも、ワンポールやツーポールのテントのほうがポールが少なく、軽量でよりコンパクトになりますよ。

思い切ってテント泊をやめ、タープ泊やハンモック泊に切り替えてしまうのもよいでしょう。タープやハンモックはテントよりもシンプルなアイテムで、軽量なものが多いからです。サイズも手のひらにのるほど小さなものがあります。

化繊の寝袋を使っているなら、ダウンの寝袋への買い替えを検討してみてください。高品質なダウンの寝袋は軽量で、おどろくほどコンパクトになりますよ。

また、キャンプマットもかさばるアイテムです。内側にウレタンの入っているインフレーターマットや、シート状のクローズドセルマットなどは、大きすぎてバックパックに収納できない場合があります。コンパクトになるエアーマットに買い替えるのもよいでしょう。

素材にこだわる

アイテムを選ぶ際に、素材にこだわるのも重要なポイントです。ULキャンパーに人気のある軽量素材をご紹介しますね。

チタン

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素材自体が硬いため、薄く加工ができて、軽量な素材です。腐食に強く、メンテナンスに手間がかからないのもうれしいポイント

ULギアではクッカーやカトラリー、焚き火台などに使用されています。

タイベック

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タイベックとは、高密度ポリエチレンからなる不織布のこと。紙のような質感ながら、手では引き裂けないほどの強度があり、薄くて軽量です。

ULライトキャンパーの間では、テントのグラウンドシートや、スタッフサックの素材としておなじみですね。

DCF

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DCFとは、Dyneema(R)Composite Fabric (ダイニーマ・コンポジット・ファブリック)の略称で、別名キューベンファイバーとも呼ばれています。

特徴は、軽量で非常に丈夫な点です。同重量の鉄の15倍もの引っ張り強度があるとされており、ULなテント・タープ・スタッフサック・バックパックなどの素材に使用されていますよ。

無駄なものを持っていかない

ULキャンプ

キャンプに無駄なものを持っていかないのも重要なポイント。最低限必要なアイテムは、以下の通りです。

  • テント
  • 寝袋
  • キャンプマット
  • ランタン
  • 火器(シングルバーナー・アルコールストーブ・固形燃料など)
  • クッカー

これらのものをできるだけ軽量でコンパクトにすれば、それだけで荷物がずいぶん軽くなったのを実感できるはず。意外と使わないものを持参しているケースが多いため、上記以外のアイテムは本当に必要なのかをよく考えましょう。

ただし、あまりストイックに荷物を削りすぎてしまうと、キャンプの快適性が損なわれるため注意が必要です。荷物が軽くなった分、焚き火好きの人ならば焚き火台を、写真好きの人はカメラを、お酒好きの人はビールをと、自分の楽しみとして必要なアイテムを加えてもよいでしょう。

ひとつで何役もこなすアイテムを選ぶ

荷物のUL化には、ひとつで何役もこなすアイテムを選ぶのがおすすめです。たとえば、筆者が使用しているテントは、頭からかぶれば雨風をしのげるポンチョとしても使用できます。また、歩行時に使用するトレッキングポールを、テントポールの代わりとして使用したりもします。

このように、いくつかの用途で使用できるアイテムを持っていくことで、荷物が減って軽量化につながります。

キャンプから帰ってきたらアイテムの見直しを行う

キャンプから帰ってきたら、リストとにらめっこして、アイテムの見直しを行いましょう。いちども使わなかったものや、使用頻度が少なかったものは、次回のキャンプでは省けるはずです。

見直しを繰り返せば、荷物がよりシンプルになり、洗練されていきますよ。

筆者が行ったUL化の例

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筆者が実際に軽量化を図ったアイテムを具体的に挙げてみますね。

調理道具

荷物を軽量化する前、筆者がソロキャンプに使用していたのは、アルミ製のクッカーセットやフライパン代わりの鉄製のスキレットでした。

クッカーは小型で軽量なチタン製に取り換え、スキレットは焦げ付き防止加工を施したアルミ製のものに変更。結果的に、大幅な軽量化を実現できました。

タープ

使用していたタープは厚手のキャンバス地にオイルを塗りこんだもので、非常に重かったのが難点。そこでシルナイロン(シリコンコーティングが施された軽量なナイロン)製のものに切り替えました。

スタッフサック

スタッフサックもナイロン製のものから、一部をキューベンファイバー製に切り替えています。

チェア&テーブル

チェアやテーブルも、小型化を図りました。チェアはフレームチェアからナイロン製の座椅子に、テーブルは木製からアルミ製の超小型なものにチェンジ。チェアに至っては、地面に敷いたナイロンやタイベック製のシートに座るだけで事足りてしまうことも多いため、最初から持っていかないこともよくあります。

こうして荷物を軽量化したことで、重さに振り回されず、設営や撤収の手間も少なくなりました。よりキャンプを楽しめるようになったのが、大きな成果です。

自分のアイテムと向き合い、使い勝手をよく考える機会が増えたため、道具にも詳しくなったと実感。このように、UL化によるさまざまな恩恵を受けています。

ULキャンプとは荷物を軽量・コンパクト化し、バックパックに衣食住を詰め込んで楽しむキャンプスタイルです。実践すると設営・撤収が楽になり、オートキャンプではたどり着けない場所でキャンプができるのが魅力。出かけるたびに道具に関する知識が深まるため、キャンプスキルも向上しますよ。今回は軽量化のポイントを筆者の経験を踏まえてお伝えしました。キャンプスタイルの見直しを考えている人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

ライター

のまどう

キャンプとハイキングをこよなく愛するキャンプ場スタッフです。ニュージーランドのグレートウォークやヒマラヤのトレイルを歩いた経験があります。いつかアメリカのロングトレイルも歩いてみたい…。