ヒルクライムレースは登るだけじゃない
ヒルクライムレースは、ロードバイクのなかでも登りに特化したレースです。老若男女問わず、坂や山を登るのが好きな人に人気があるレースですが、山は登った分だけ下らなければならないのが現実です。
私は普段、インドアトレーニングが中心のため、ダウンヒルは苦手な部類に入ります。もちろん、ヒルクライムにおいてダウンヒルはレースに含まれないため、スピードを重視するような下り方は必要ありません。
しかし全力のヒルクライムによって疲れた身体でも、安全に下山するための最低限のテクニックやマナーについて知っておく必要があるでしょう。
想像以上に寒い富士ヒルクライムのダウンヒル
標高の高い山で開催されるヒルクライムは寒さとの戦いがあります。私が実際に参加したMt.富士ヒルクライムも想像以上に寒かった印象があります。富士ヒルクライムは、スタート地点との標高差は1,270m、さらにスタート地点の標高が1,000mほどです。
一般的に、標高が100m上がるにつれて気温が0.6℃下がるといわれています。今回開催された大会の日は気温が約15℃だったため、山頂は2〜3℃で冬のような寒さでした。
心配性な私が用意した『下山預かり荷物』セット
多くのヒルクライムレースでは、下山に使用する荷物を預けるシステムがあります。手ぶらで登れて、ゴール後に受け取れるため、悩まず活用するのがおすすめです。
「でも実際になにを入れたらいいの?」とお悩みの人は、心配性な私が実際に用意した『下山預かり荷物』セットを参考にしてください。
・下山用バックパック
・冬用ジャージ、ビブ
・冬用グローブ
・冬用インナー
・ウルトラライトダウン
・ネックウォーマー
・替えのソックス
・レインウェア上下
・シューズカバー
・エネルギー補給用の食べ物
・着替えを入れる袋
「こんなにたくさん?!」と驚く人もいらっしゃるでしょう。寒さの感じ方には個人差があり、着替えをほぼしない強靭な人もちらほら見かけました。
しかし私はこれらをすべて使用し、それでも寒いと感じたのは事実です。また必要なかったとしても下山のもち運びでは苦にならないため、少し過剰に用意するくらいがちょうどよいでしょう。
以下の記事では、寒いダウンヒルで活躍するグッズを男女別にそれぞれ紹介しています。
登るときはもちろん軽装備でOK
標高の高いヒルクライムは寒いとお伝えしましたが、登るときは軽装備で問題ありません。私が参加した日は小雨の時間帯もある状況でしたが、登っていれば汗をかきます。夏用ジャージで十分対応できました。
ただし参加人数が多いイベントやレースでは、アップから出走まで時間がかかる場合があります。身体の冷えを避けたい場合は、サイクルジャージのポケットに収納できる薄いレインジャケットを出走直前まで着用してもよいでしょう。
集団ダウンヒルは慣れが必要
レース後は集団での下山が基本です。富士ヒルクライムは参加者約7,000人にもおよぶビックイベントです。登る人数が多ければ、下る人数も多くなります。集団ダウンヒルでは初心者や上級者が一緒に走行するため技術面にばらつきがあります。
そのため道路状況や勾配による変速に加えて、常に周囲の状況を把握していなければなりません。私が実行したダウンヒルポイントは、“主線を変えない・無理に追い越さない・コーナーで急ブレーキをかけない”の3点です。
また上記に加えて、もし前の人にハプニングが起こっても対処できる間隔を意識することです。おかげで他人の邪魔にならず、落ち着いて安全に下山できました。
慣れるには案ずるより生むが易しということで体験するのが一番ですが、慣れていない人はなるべく左側を一定速度で走行するのがおすすめです。
ダウンヒルのテクニックについては以下の記事を参考にしてください。
握力が弱い人のダウンヒルを助けるディスクブレーキ
スピードコントロールがシビアになる集団ダウンヒルで活躍したのがディスクブレーキ車です。なにを隠そう握力が20kgを下回る私は、ダウンヒルで常にブレーキを握っているのがとても苦手。さらにヒルクライム後のダウンヒルは疲れと寒さで余計にブレーキがかけづらくなります。
そのため制動性が高く軽いタッチでブレーキが継続できるディスクブレーキは私の強い味方になりました。また速度が出せないダウンヒル時のキャリパーブレーキ特有の摩擦によるタイヤのバーストや、カーボンリムの損傷を防げるのも大きなメリットですね。
事前の対策が安全なダウンヒルへとつながる
寒いなかでの集団ダウンヒルを成功させるには事前の対策が大切だと実感しました。集団ダウンヒルは、自由に速度を調節したり途中で服装チェンジしたりできません。そのため過剰なくらい準備してちょうどよいでしょう。
ライター
yomec(よめしー)
自然豊かな新潟県在住、夫婦でロードバイクを楽しんでいる自転車ライター。子育てしながらトレーニングする方法を日々模索中です。今ではヒルクライムを中心としたレースが家族旅行に。愛車はSPECIALIZEDとBROMPTON。夫婦での所有スポーツバイクはなんと8台。ファミリーでも楽しめる自転車の魅力を発信します。