登山中の気圧変化がもたらす高山病
登山中にとくに気をつけたい高山病について紹介します。
高山病の症状
高山病とは、高地で酸欠におちいることで引き起こされるさまざまな症状を指します。標高が高い山は酸素濃度が低いため、酸欠におちいりやすい傾向があります。なお、脱水症状が高山病を悪化させることもあるでしょう。
高山病の初期症状としては、以下があげられます。
- 軽い頭痛頭の重さ
- 吐き気・嘔吐
- 息切れ・倦怠感
- めまい・立ちくらみ
- むくみ
- 食欲不振
- 睡眠・精神障害など
標高の高い場所では、平地よりも体への負担が増え、体調不良になる傾向があります。
高山病を発症しやすい標高
高山病は、標高2,000mをこえると発症しやすい傾向があります。とくに、標高3,000mをこえる山では要注意です。高度が上がるほど気圧が下がり、酸素濃度が低くなるからです。
たとえば、標高2,000m地点の気圧は約802hPaで、平地との気圧差は約211hPaもあります。気圧が低い日には、平地でも体調を崩す人がいるほどです。個人差はありますが、山での気圧変化の影響は大きいと予測できるでしょう。
高山病を発症しやすい人
高山病は、子どもや高齢者が発症しやすいといわれています。高齢者は、肺活量の減少や動脈硬化の進行により、体への負担が大きくなるからです。子どもは、体調不良を伝えにくいため、大人が異変に気づいてあげることが大切です。
高山病を防ぐための5つのポイント
高山病を防ぐためのポイントをおさえておきましょう。
- 気圧に体を順応させる
- 自分のペースで登る
- 水分を多めにとる
- 体調管理をしっかりする
- アルコールの摂取を控える
①気圧に体を順応させる
高い山へ登頂するときには、急に高度を上げないように気をつけましょう。少しずつ体を順応させるため、登山口で滞在する時間を作ったり、歩行をゆっくりにしたりしながら慣らすのがおすすめです。
また、山小屋に到着したら、すぐに休まないのもポイントです。体を動かして気圧になじませる時間をつくると、高山病になる確率を減らせるでしょう。
②自分のペースで登る
登山中は、自分のペースで登ることを意識しましょう。とくに、グループ登山では、周りのペースに合わせてしまいがちです。
無理なハイペースは息切れしてしまい、体内の酸素濃度が下がります。さらに、標高が上がると酸素濃度が下がり、酸欠状態になってしまうでしょう。
鼻から自然に呼吸できるくらいが、自分に適したベストな歩行ペースです。登山では、焦らずゆっくりと、環境に体を慣らすのが大切です。
③水分を多めにとる
高山病を悪化させる要因の脱水症状を避けるため、こまめに水分補給をしましょう。体内の水分が不足すると、血流が悪くなり、体調不良を引き起こします。
暑い季節は汗をかきやすく、水分をとる量が増えます。気をつけたいのは、汗をかきにくい季節です。汗をかかないと、水分補給を忘れてしまいがちですが、呼吸からも水分は発散されています。
とくに、アップダウンの激しい登山道では、自然と呼吸が荒くなるものです。喉が渇く前に、こまめに水分をとる習慣をつけておきましょう。
④体調管理をしっかりする
体調管理は徹底しましょう。とくに、前日は睡眠時間をしっかり確保するのが重要です。寝不足のまま登ると、疲労感が大きくなります。その結果、いつも以上に酸素が必要になり、高山病のリスクが高まります。
また、風邪ぎみの人も要注意です。鼻が詰まっていると、鼻からの酸素吸収量が減ってしまい、酸欠状態を引き起こしやすいからです。さらに、鼻の粘膜が腫れていた場合、耳抜きがうまくできずに、痛みを感じるかもしれません。
体調不良のときは無理に登頂せず、次の機会に変更する選択をしましょう。
⑤アルコールの摂取を控える
登山前日のアルコールは控えましょう。アルコールには利尿作用があり、脱水状態に陥りやすくなります。
なお、翌日まで体内にアルコールが残っていると、呼吸が抑制されたり、二日酔いの症状が出たりします。これは、高山病の初期症状と似ているため、混同しやすいでしょう。高山病の重症化を防ぐには、軽度の段階で対処するのがポイントです。
最高のコンディションで登るために、前日の飲酒は避けるのがよいでしょう。
高山病になった場合の対処法
高山病は、誰でもなる可能性があります。そのため、症状が出た場合の対処法を知っておくことが重要です。
悪化させないポイントは、初期症状の段階で安静にして様子をみること。息切れ・頭痛・吐き気など、いつもと違う症状があらわれたら、歩行をストップしてください。
ゆっくりと呼吸をしながら体を動かしたり、水分補給をしたりして、体が環境に適応できるかを判断します。このときに注意したいのが、横になって休憩することです。酸素を取り込みにくい体勢なので、避けるのがよいでしょう。
症状が回復しないときは、登頂を見送り、下山をしてください。1人で下山するのが難しい場合は、仲間に同行してもらいましょう。
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高山病は、誰でも発症するリスクがあります。標高が高くなるにつれて気圧は低下し、酸素濃度が下がるのが原因です。酸素不足や水分不足が続くと、頭痛・吐き気・息切れ・めまいなどの初期症状があらわれるでしょう。無理に登らず、体をゆっくりと環境に慣らしてください。安静にしても回復しないときは、下山をする判断が必要です。今回の記事を参考にして高山病に気をつけ、登山を楽しんでください。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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