高山病のスペシャリスト集団「医療機関ネットワーク」が勧告する高山病対策

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高山病のスペシャリスト集団「医療機関ネットワーク」が勧告する高山病対策

みなさんは「高山病」についてどの程度の認識をお持ちでしょうか。高山病とは、おおむね2400m以上の酸素の薄い高山に登ったときに現れる、さまざまな症状の総称です。今回は、「日本登山医学会」が取り組む高山病のスペシャリスト集団「医療機関ネットワーク」について高山病対策します。

高山病とは

高山病とは、おもに標高2400m以上の高山で、酸欠状態に陥ることで現れる症状の総称です。

高山病のほとんどが「急性高山病」に分類されます。

 

高山病対策

 

急性高山病は、標高の高い山に登った際に酸素が薄くなることで起こる病気です。

適切な馴化(じゅんか)を行わなかった場合、標高3000mを越えると平地での体内酸素約95mmHgの半分以下の数値になります。

さらに、標高5000mになると3分の1まで減り、エベレストの山頂ではゼロを下回ってマイナスになります。

ですから、エベレストなどの高山に登山するときには、時間をかけて少しずつ標高を高くして慣らす馴化を行わなくてはいけません。

馴化を行わなかった場合、エベレストの山頂では体内酸素の量がマイナスになりますが、少しずつ時間をかけて馴化することで、マイナスから4分の1程度の酸素量まで向上します。

標高2500m~3000m以上の高地では、馴化に必要な日程を組むようにしましょう。

具体的には、前日の宿泊場所と当日の宿泊場所との高度差を300 m~500 m以内におさえながら、2日から4日かけて少しずつ高度を上げていきます。

高度を上げたら2日ほど同じ標高で滞在して高所馴化するようにしてください。

急性高山病の主な症状は、頭痛、吐き気、めまい、嘔吐などです。

低酸素状態の環境が原因であるため、通常は下山して数日もすれば回復します。

ただし、重症の場合は「高地脳浮腫」や「高地肺水腫」を発症して命に危険がおよぶ場合があります。

「高地脳浮腫」や「高地肺水腫」は急性高山病の最終段階に起こる症状で、特に「高地肺水腫」は、安静時呼吸困難や咳、虚脱感、運動能力低下といった症状が現れ、最悪の場合には命にかかわる事態になりかねません。

 

 

参考:高所医学とは

 

 

高山病の予防と「高所医学」について

高山病を引き起こすメカニズム高山病対策

 

「日本登山医学会」では、高山病を引き起こすメカニズムを研究して高山病対策に役立てています。

以下では高山病の基礎知識として高山病対策と注意点をまとめました。

 

高山病の基本的な予防対策

まず基本的な高山病の予防対策として、睡眠と休養をしっかりとって登山に臨むことが大切です。

特に、糖分と水分の摂取には気を使うようにしましょう。

お酒の飲みすぎや食あたりで下痢気味だという方は脱水症状になりやすいので、現地での食生活には充分に注意してください。

特に飲料水は下痢の原因になるので、安全なペットボトルの水を飲むように心がけてください。

その土地のおいしそうな料理は、下山して帰国する前に食べるようにしましょう。

 

高齢になるほど高山病のリスクが高まる

高山病にかかるリスクは年齢とともに増加します。

ご高齢の方が高い山に登山する際は、緊急用の酸素ボンベを携帯するようにしてください。

低酸素の環境下では、身体の弱いところを狙い撃ちするかのように症状が現れてきます。

特に慢性疾患をお持ちの高齢の方は、主治医と相談してから登山ができるかどうか判断するようにしてください。

持病がある方は、事前に登山ツアーのリーダーに知らせておくことも大切です。

 

重症急性高山病の最終段階「高地脳浮腫」や「高地肺水腫」を発症したら?

「高地脳浮腫」や「高地肺水腫」は命にかかわる深刻な症状です。

一刻の猶予もありませんので、早急にヘリコプターなどをチャーターして下山させるようにしましょう。

ヘリコプターの到着を待つ間、大流量酸素を吸入させながら搬送の準備を行います。

脳浮腫にはデキサメサゾン、肺水腫にはニフェジピンが有効です。

ただし、デキサメサゾンやニフェジピンの処方は医師でなければ行えません。

医療関係者がいる場合や、無線などで指示があおげる状況に限られます。

バイアグラが高地肺水腫に有効であることも、臨床データで証明されています。

平地での肺高血圧症の治療でも、バイアグラを処方することがあります。

いずれにしても、処方には医師の診察が必要です。

 

 

参考:高所医学とは

 

 

「医療機関ネットワーク」の活動について

エベレスト登山高山病対策

 

日本登山医学会では「医療機関ネットワーク」(登山者検診ネットワーク)を組織して、登山者の安全対策に力を入れています。

近年、老若男女幅広い年齢層の人たちが登山に親しむようになりました。

その反面、持病のある方の無理な登山が原因と思われる事故が多発しています。

山での医療環境は平地では想像できないほど過酷です。

急病の登山者を搬送するためには、ヘリコプターをチャーターしなくてはいけません。

ヘリコプターのチャーターには莫大な費用がかかります。

「医療機関ネットワーク」(登山者検診ネットワーク)は、そういった無理な登山による事故を未然に防ぐために組織された医療組織です。

海外で登山する方の出国前検診を実施するために、日本登山医学会と登山を扱う旅行会社とが連携して「登山者検診ネットワーク」を組織しています。

「登山者検診ネットワーク」では、海外の標高3800m以上の山に登山される方を対象に、出国前検診を推奨して実施しています。

登山に耐える健康状態であるかどうか、高所での健康状態が悪化したりしないかどうか、事前に検査して、問題がある方には登山の中止を勧告することがあります。

検査は、「登山者検診ネットワーク」に参加する医療機関で実施します。

検査内容は、心電図、血圧、胸部レントゲン写真、血液検査、肺活量、呼吸機能検査などです。

検査結果と登山医学会会員医師による診察結果をあわせて、登山する予定の山における危険度を判定します。

判定結果は、登山医学会会員医師が個別に面談してお伝えし、同時にアドバイスも行っています。

 

 

参考:日本登山医学会「医療機関ネットワーク」

 

 

まとめ

日本登山医学会が取り組む「医療機関ネットワーク」の活動についてご紹介しました。ふだんから登山に親しんでおられる方でも高山病の知識はあまり持ち合わせていないのではないでしょうか。緊急時の対策について知識として知っておくことはもちろんのこと、登山の際には自身の健康状態を把握して無理のないスケジュールで臨むことが大切です。

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