波とうねりの違い
波やうねりはサーファーにとっては無くてはならないものですが、ダイバーにとっては少しばかり厄介なものです。
では、波とうねりでは何がどう違うのでしょうか?
波とうねりは以下のように定義されています。
- 波…波とは風が原因で、その場所その瞬間に発生する水面の起伏運動のこと。
- うねり…うねりとは風ではない要因から発生する起伏運動のこと。おもに低気圧や台風の影響によって遠い海域で発生するもの。
とはいえ、現在の科学でも風のエネルギーがどのように波となり、気圧のエネルギーがどのようにうねりとなるのかは、あまり解っていないのが現状なのです。
確かなことは、うねりは大きな円運動をしながら海岸にやってきて、浅瀬で水底にぶつかり崩れると大きな波になるということです。
この砕ける波はそれまで蓄積してきたエネルギーを一気に放出しますが、それは海岸から何キロメートルも離れたところで発生したうねりのエネルギーなのです。
波とうねりの対処法
波とうねりを克服するポイントは「周期を見極める」ことです。
周期とは、波の波長と波高の周期のことを指します。
- 波長…波頭から波頭、もしくは波間から波間の長さ
- 波高…波長に垂直で波頭から波間までの長さ
必ず大きな周期(最高値)と小さな周期(最低値)が一定間隔でやってくるので、波をよく観察することが重要です。
1分ごと、5発ごと、というように、うねりにはそれぞれ特有の周期があるのです。
エントリー
波やうねりのある場所でエントリーする時は、波の小さなタイミングを狙うのが基本です。
ただし、初心者ダイバーが正確に波の周期を読むことは難しいこともあるかもしれません。
そんな時は、ガイドやインストラクターの指示に従って、合図があったら慌てず迅速にエントリーしましょう。
ビーチエントリーの場合は、マスク、フィン、レギュレーターを着けた状態で横歩きをしながら、引き波に合わせてエントリーします。
とくに波打ち際(サーフゾーン)は波の力が大きいので、できるだけ早く抜けるようにしましょう。
また、ボートダイビングの場合は、エントリーしたらうねりでボートにぶつからないように、すぐにボートから離れるようにしましょう。
水面移動
水面移動をするダイバーを波やうねりが押し返してくることがあります。
そんな時は無理に前に進もうとするのではなく、進行方向と同じ方向に動く波に上手く乗ればスムーズに進むことができます。
これは、沖出し(=リップカレント)と呼ばれる沖に向かって働く波の力のことで、タイミングを合わせてフィンキックをすれば、スーッと簡単に沖に出ることができます。
潜降
波やうねりがある時にスムーズに潜降するには、潜降ロープを使用するのが良いでしょう。
ただし、ロープをギュッと握ると波の勢いで体が上下に振り回されることがあるので、ロープの動きに影響されないように手の中をロープが抜けるような軽い持ち方をしましょう。
ここでも波の周期を見極めることがポイントで、ロープがたるんでいる時ではなく、ピンと張っているタイミングを狙うとスムーズに潜降できます。
安全停止
波やうねりがある時の安全停止は、ベテランのダイバーでも正直難しいかもしれません。
なぜなら、波高の最高値と最低値によって水面の高さが変わるということは、自分がいる水深も変わってしまうからです。
ただし、一般的に安全停止は水深3~5m台をキープしていれば問題はありません。
波やうねりがある時の安全停止は、常にダイブコンピューターをチェックし水深を確認するようにしましょう。
ロープを使用する場合は、潜降と同じようにギュッと握らないように注意してください。
エキジット
波やうねりがある時のエキジットは、落ち着いて安全第一に行動しましょう。
まずは、エキジット口から波やうねりで体が持っていかれない安全な距離を保ち、うねりの周期が小さくなった時を見計らい、迅速にエキジットします。
フィンを履いたままエキジットできるビーチポイントなら、マスク、フィン、レギュレーターを着けたまま完全に波が来ないところまで横歩きで上がってしまいましょう。
ボートの場合は、大きな周期のときは船から離れた位置で待ち、波が引いている時に迅速にエキジットしましょう。
待機中にボートに近づきすぎると、ぶつかる危険があるので十分に注意してください。
波酔いを防止するには
水面で待機しているとき、波酔いをしてしまう人も少なくありません。
波酔いには個人差がありますが、水面から水中を覗いている、空を見ている、波に背を向けるなど、さまざまな防止策があります。
一般的には、揺れているものを見ていると酔いやすいため、水中から水面を見ることは避けた方が良いでしょう。
酔い止め薬の使用について
一般的には普段から酔い止め薬を常用している人は、ダイビングで使用をしても特に問題はないと言われています。
なぜなら、酔い止め薬がダイビングに与える影響が解明されていないからです。
ただし、酔い止め薬の副作用については個人差が大きく、窒素酔いを誘発する場合もあるので、波酔い対策のために毎回飲むことは避けた方が良いでしょう。
酔い止め薬は、医師に相談してから使用することをおすすめします。