リードクライマーに求められること
リードクライミングとは、登りながら自分でカラビナにロープをかけて安全確保をとるクライミングです。
トップロープクライミングのように、前もってルートのゴール地点にロープがかかっているわけではないので、途中で墜落した場合は最後にかけたカラビナの地点の倍の距離を墜落することになります。
この墜落の距離と衝撃の関係を計算したものを墜落係数といいます。墜落係数が大きければ大きいほどカラビナやロープ、クライマーへの衝撃が増大します。
ただし普段から墜落係数を計算しながら登る人は居ません。ここは単純に「トップロープのような安全性はなく、より危険ではあるが、冒険的なクライミングである」という認識を持ってもらうといいでしょう。
そして、リードクライマーに求められることはリスクのマネジメントが出来る能力です。
完全な安全を求めたり、リードクライミングに含有する危険を受け入れられない方がリードクライミングを行うととても危険です。
そういった危険とうまく付き合う必要があるので、リードクライマーにはリスクの管理能力が求められるのです。
リードクライミングの方法
リードクライミングの方法はいくつか種類があります。大きく分けて、ロープ1本で登るシングルロープと呼ばれている方法と、ロープを2本使うダブルロープという方法です。
シングルロープには2つの種類があります。1つ目は、リードクライマーとしては最も人口の多いクイックドローを使ったスポーツクライミング。
2つ目は、カミングディバイスやナッツといったボルトハンガー以外のプロテクションを使ったトラディショナルクライミングで、ボルトなどが壁にあらかじめセットされていない、自然の状態そのままの環境でクライミングをする方法です。
そして、ロープを2本使ったクライミングは主にアルパインクライミングでの出番が多く、より自然環境の厳しい場所でのクライミングを想定しています。
いずれにしても、自分でプロテクションをセットしながら「リード」していく、という方法は共通しています。
環境に合わせたプロテクションの選択や、リスクマネジメント能力が求められ、様々なプロテクションを使いこなせることが条件になります。
また、リードクライミング中、プロテクションにロープをかける際には絶対に滑落してはいけませんし、クイックドローのカラビナにロープを通す際、逆向きにクリップしてしまう「逆クリップ」というエラーも起きやすく、注意が必要です。
リードクライミングに必要な道具
- ハーネス
ビレイループがちょうど体の正面に位置するものを選ぶといいです。
- ロッキングカラビナとビレイディバイスのセット
カラビナは大型のものか、HMS型のものを選んでいただくとロープの流れがスムーズで、作業性も良く安全です。
ビレイディバイスはATCと呼ばれるバケットタイプが初心者にはおすすめですが、慣れてきたらオートロックタイプも使いやすく、これは自動でロープに制動をかけるタイプなのでビレイヤーの負担を軽減することができます。
代表的な物はペツル社のグリグリですが、他社製品だと、クリックアップ、メガジュル、など様々な種類のものが出回っています。
- クイックドロー
クイックドローは、カラビナ+短いスリング+カラビナ、のセットです。これは主にスポーツクライミングの時に使います。様々なタイプのものがありますので、手の大きさに合ったものを選んでください。
- ロープ
屋内のみでの使用なら30m、屋外の使用を想定するなら50mは欲しいところです。ロープ径は9㎜~10.5㎜ですが、9㎜台は耐久性が低いので10㎜台をおすすめします。
- クライミングシューズ
クライミングシューズに関してはある程度サイズが合っていれば何を選んでもらってもリスクが増減することはありませんので、色や形など好みのものを選んでください。
パートナー選び
ある程度お互いのクライミングレベルが合っていることが条件ですので、パートナー探しは難しい部分の一つです。また、パートナーも人間ですので、一緒にクライミングを楽しめることも条件に付随してくるでしょう。
そうなると更にハードルは高くなります。現代のボルダリングジムは、室内のボルダリングをエクササイズとして楽しむ方が多いので、リードクライミングのパートナー探しの場としては難しい環境です。
本気で取り組みたい方や、グループへの参加に苦手意識のない方はクライミングを中心に活動している山岳会に入会するのがいいでしょう。
グループへの参加が苦手と言う方は、クライミングセンターなど、ロッククライミングに特化した専門施設へ通ってパートナーを探すか、インストラクターやガイドが企画する小規模ツアーに参加して、そこで仲間を探すという方法もおすすめです。
一番気を付けたいのは、パートナーとなる相手のビレイ技術の確認です。
相手の方から聞いたクライミング経験のみでレベルを判断して、実際に山に行って危険な目にあった、というのは珍しい話ではありません。
クライミングセンターなど指導者に見てもらえる環境で一度一緒に登ってみてから判断し、実際に山に行きましょう。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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