カトマンズから一番近い山群「ランタン山群」
ネパールのランタン谷とは
首都カトマンズから北に約70kmの距離あるランタン山群は、氷河に削られた雄大なU字谷が特徴的です。
1940年代にイギリスの探検家ティルマンが「世界で最も美しい谷のひとつ」と紹介した事で注目を集めましたが、春にはシャクナゲ、夏には高山植物が咲き乱れる花の谷でもあります。
カトマンズから一番近い山群ではありますが、エベレスト街道やアンナプルナエリアに比べるとトレッカーの数も少なく、静かな山歩きを楽しむ事ができます。
2015年4月に発生したM7.9のネパール大地震の記憶は新しく、ランタン谷は壊滅的な被害を受けました。
大規模な雪崩が発生した谷の中心部ランタン村ではほぼ全ての建物が倒壊し、外国人トレッカーも含め350名以上の人々が犠牲になりました。
現在では再建も進み安全にトレッキングを楽しむ事が出来ます。復興の為にも多くの人に再び美しいランタン谷を訪れて欲しいと願って止みません。
ネパール「ランタン谷の奥地」
ランタン谷:シャンブルベシ~キャンジン・ゴンパ
ランタン谷へは、カトマンズからバスで約7時間、陸路でシャンブルベシという村へ。
標高1,460mのシャンブルベシからランタンコーラ沿いに渓谷を登っていきます。樹林帯の緑が美しく動植物も豊富なので、バードウォッチングも楽しみながら歩いてみてください。
ラマホテル、ゴラ・タベラを過ぎると標高は3,000mを越え、辺りは狭い渓谷から広いU字谷へと景色を変えていきます。周辺はヤクの放牧地で、フレッシュなチーズやダヒ(ヨーグルト)も手に入ります。
ランタン山群の主峰、ランタン・リルン(7,234m)の麓にあるのがランタン村です。
ここにはチベット系の住民が多く住み、大きなゴンパ(僧院)もあります。
谷の最奥、キャンジン・ゴンパへはもう一息です。標高は3,800mを越えてくるので、高山病の症状に気をつけながらゆっくりと進んで行きましょう。
ランタン谷:タルチョ・ピーク
最奥の地、キャンジン・ゴンパからは1時間程で大展望を楽しめるタルチョ・ピーク(標高4,350m)に登ることができます。
主峰ランタン・リルンを間近に望み、足元にはリルン氷河、キムシュン氷河と2つの氷河に囲まれ、素晴らしい展望が広がります。キャンジン・ゴンパには是非2泊して周辺の山歩きを楽しんでください。
ランタン山群には8,000m峰こそありませんが、ランタン・リルンをはじめ、ガンチェンポやランシサ・リなど名峰が聳え、山々の距離が近く迫力ある展望が特徴です。
帰路は谷沿いの同じ道を通りますが、シャンブルベシより南に下るとカトマンズへ向かうトレッキングルートが続いています。
カトマンズへは1週間ほどかかるルートですが、途中ヒンドゥー教の聖地であるゴサイクンド湖も訪れたいポイントです。
標高4,000mを越える高地から里山を越え、自分の足で標高1,400mのカトマンズ盆地まで目指す道のりは達成感に溢れていることでしょう。
多様な表情を見せるネパール
カトマンズ近郊の展望地「ナガルコット」
最後に、カトマンズ周辺でヒマラヤの展望を楽しめるスポットをご紹介します。
カトマンズから東に約35kmの距離にあるナガルコットは標高2,100mの丘で、天候が良ければエベレストからアンナプルナ、ランタンまでと東西200kmに渡りこれまでご紹介した山々を眺める事ができます。
周辺にはリゾートから安宿まで多数の宿泊施設があるので、のんびりと宿泊して朝焼けや夕焼けに染まるヒマラヤを堪能するのも良いでしょう。
また、ナガルコットから世界遺産に登録されているチャング・ナラヤン寺院まで4時間程の行程で行くこともできるので、観光も兼ねた日帰りハイキングも楽しむことも可能です。
ナガルコット周辺は里山に囲まれているので、段々畑を抜け村々を巡るハイキングなどカトマンズ近郊でも十分に自然を感じることができます。
ネパールにはトレッキング以外の魅力もたくさん!
山好きな人にとっては、ネパールは一大山岳国の印象が強いですが、世界遺産となっている史跡も多く見所に溢れた国です。
カトマンズ近郊には、スワヤンブナート(仏教寺院)、パシュパティナート(ヒンドゥー教寺院)、ボダナート(チベット教仏塔)があり、国内外から多くの巡礼者が訪れています。
まさに多様な宗教と民族が混在し、人々の生活に信仰が根付いている事を実感します。
ヒマラヤというと雪山で寒いイメージがありますが、インド国境に接するタライ平原には亜熱帯のジャングルが広がっています。
タライ平原にあるチトワン国立公園はネパールで初めて指定された国立公園で、インドサイやベンガルトラ、ヒョウやゾウなど希少な動物達が生息しており、多くの観光客が訪れるエリアです。
ヒマラヤだけではないもう一つの大自然の姿に、ネパールの多様な表情を見ることが出来るでしょう。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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