富士登山のルールとマナー
従来の富士登山のルールとマナーについて説明します。事前に知っておくことで危険を回避し、楽しい登山ができるように、正しく理解しておきましょう。
富士登山の禁止事項
富士山は国立公園特別保護地区と特別名勝指定区域に指定されており、自然公園法第21条第3項、文化財保護法という法律により以下の行為が禁止されています。(自然公園法第21条第3項は、富士山にかぎらず、全国の国立公園で適用される法律です)
昆虫や植物の採取禁止 | 昆虫や植物の採取は禁止されているので、虫をとったり高山植物を持ち帰ったりしたら罰せられます。 |
石や土砂の採取禁止 | 昆虫や植物だけでなく、石や土砂の採取も禁止されています。面白い溶岩があってもザックに入れて持ち帰ったりしないようにしてください。 |
落書きの禁止 | スプレーなどで岩などへ落書きをしたら罰せられます。 |
キャンプの禁止 | 富士山にはテントサイトがないため、テントを張ったり焚火をしたりしてはいけません。 |
ペットとの登山禁止 | 富士山に動物をともなって登ることや山小屋へ立ち入ることは原則として禁止されています。 |
富士登山のマナー
富士登山のマナーについて説明します。一般的な登山にもあてはまることですが、マナーを共通認識としてとらえ、お互い気持ちよく登山できるよう、行動にうつしていくことが大切です。
富士登山のマナー①外来植物を持ちこまない
知らないうちに外来植物を持ちこんで富士山の生態系をくずしてしまうおそれがあります。事前に登山靴についた土を、ブラシなどで取り除くようにしましょう。
富士登山のマナー②登山道は登り優先
せまい登山道では、たがいに道をゆずりあうようにしてください。原則として登りの登山者を優先するようにしてください。
富士登山のマナー③無理な追い越し
富士山はシーズン中とても混雑します。無理な追い越しをしないようにしてください。また、登山道以外の場所を通って追い越すケースも見受けられますが、富士山の生態系を損ねたり、落石・滑落といった事故につながるおそれがあるため、絶対にやめましょう。
富士登山のマナー④落石をおこさない
登山中につまずくなどして石を落とさないように注意しましょう。もし落石をおこした場合は、大声をだして下の登山者に知らせてください。富士山では落石による死亡事故が多発しているため、石を落とさないよう、落ちてきた石にあたらないようじゅうぶんに注意しましょう。
富士登山のマナー⑤ストック先端を保護する
ゴムキャップのないストックの使用は登山道をいためる要因です。ストックの先端にはゴムキャップをしましょう。
富士登山のマナー⑥トイレをきれいにつかう
公共のトイレをきれいにつかうようにしましょう。汚した場合は掃除して、ほかの登山者が不愉快な思いをしないようにすることがマナーです。
自分が汚してなくても掃除するくらいの精神的余裕を持ちましょう。また、自分で出したゴミは持ち帰るようにしましょう。
富士登山のマナー⑦気象情報のこまめなチェック
Cバンドレーダーなどで雨雲のようすを常にチェックして、天候がくずれそうな場合には、すみやかに登山を中止して下山するようにしましょう。
また、天気予報をしっかり確認して寒冷前線などが西から接近しているときも登山を中止にしてください。
コロナ禍での新たな富士登山マナー
従来の富士登山マナーに加えて、新たにコロナ禍でのマナーも必要になりました。ここからは、withコロナ時代の富士登山マナーについて解説していきます。
withコロナの富士登山マナー①混雑しそうな日を避けて計画する
連休や週末は登山者でにぎわいます。できるだけ、そういった混雑する日を避けて登山計画を立てるようにしましょう。
withコロナの富士登山マナー②発熱がある場合は登山しない
発熱の温度は人によってさまざまです。いつもより熱っぽい、または、倦怠感があるといった症状がある場合は、富士登山を見合わせるようにしましょう。
withコロナの富士登山マナー③感染対策アイテムを持参する
登山においてもマスクの着用が原則的なマナーとなっています。マスクだけでなくアルコール除菌などの感染対策アイテムを持参するようにしましょう。
また、使い捨ての台所用手袋なども感染対策に有効です。使い終わった感染対策アイテムは密閉できるゴミ袋にいれて持ち帰りましょう。
withコロナの富士登山マナー④ソーシャルディスタンスを確保する
富士登山の風物詩ともいえる長蛇の列。できるだけ列にならばないようにし、ほかの登山者との距離は2m以上とるようにしてください。
withコロナの富士登山マナー⑤公共物にできるだけ触れない
手すりやロープといった不特定多数の登山者が利用する公共物にできるだけ触れないようにしましょう。触れた場合はアルコール除菌シートなどで手指の消毒をしてください。
安全な富士登山のために
富士登山に限らず、登山全般に言えることですが、安全な登山のために必要なことをまとめました。
万全な装備で登る
軽装備の登山者が問題視されている富士登山。富士山は日本でいちばん高い山です。北アルプスに登るレベルの万全な装備で登るようにしましょう。
体調が悪いときにはひきかえす
富士登山では3人に1人の割合で高山病を発症するといわれています。体調がわるくなってきたらひきかえすことが重要です。