今回からスタートする第2章のテーマは「海流・潮流」、海水の流れについてです。あまりピンとくるテーマではないかもしれませんが、海水は流れだけでなく気候や水温、波とも深く関連し、気象を司る重要な要素です。。
気候を特徴づける要因「海流とは」?
風があらゆる気象変化の源であるのに対して、海流は世界各地の気候を特徴づける大きな要因となっています。
地上に風が常に吹き続けているように、海の水も絶え間なく動き続け、さまざまな流れが起こります。そのなかでも一定の方向に一年中流れている流れを海流と呼びます。
暖かい海流:黒潮
私たちでも知っている代表的な海流は黒潮ではないでしょうか。黒潮は世界的にも有名で、日本の南海上を南西から北東に向かって流れる暖流です。
幅は約100km、スピードは秒速2m、時速に直すと7.2kmと海流としては速いスピードを持っています。この黒潮が赤道付近の暖かい海水を、関東地方の近海まで運びます。
そのため、本州から九州の太平洋岸は、真冬でも15℃以上と高い水温が保たれています。日本に豊富な水産資源をもたらしてくれるのも黒潮のおかげです。
また、黒潮から分かれて東シナ海から日本海に入る対馬海流も暖流で、日本海に暖かい海水も供給します。
この暖かい海水が冬に日本海の雨雲を発達させ、日本海側に大雪を降らせる原因となっているのです。
冷たい海流:親潮
もうひとつの日本で有名な海流が親潮です。これは北太平洋から北日本の太平洋側を通って関東地方の東岸まで流れ込んでくる寒流です。
黒潮のように速い流れではなく、水温が低く、夏でも水は冷たいままです。
この親潮の海上の空気が北東風で陸地に運ばれると、どんよりとした曇りの天気となり、そこに黒潮上空の空気が流れ込むと、濃い霧が発生したりします。
また、こちらも豊富な水産資源を日本にもたらしています。このように海流は気候に影響を与えて、それぞれの地域の特徴を生み出しているのです。
潮の干満によって起こる「潮流とは」?
海水の流れにはもうひとつあります。それが潮の干満によって起こる海水の流れ=潮流です。
海流は潮の干満に関係なく、いつも同じように安定的に流れ、広範囲にわたる流れですが、潮流は満潮に向かう上げ潮のときと干潮に向かう下げ潮のときに発生し、海流よりも局所的な流れとなります。
潮流は海流と異なり、流れの方向が反対になったり、流速の上下が激しいなど、大きく変化することが特徴です。
また地形の影響も受けやすく、有名なところでは四国と淡路島の間の鳴門海峡のうず潮が知られています。これは狭い海峡を潮流が交錯することによって発生しているのです。
うねりや波にも影響を与える潮流
さらに潮流はうねりや波にも影響を及ぼします。うねりや波と潮流の進む方向が一緒ならば、うねりや波のスピードは速くなり、波高は低くなります。
逆に進行方向が反対の場合は、スピードが遅くなったり、波高が高くなりやすく、形状も切り立った三角波になりがちです。
このように潮流は、水上のボードスポーツを楽しむエリアである海岸沿いの海面コンディションに直接影響を与える存在なので、潮流の原因である潮汐(ちょうせき)は、常に意識するようにしましょう。
では、潮汐とはどういったものなのか次に解説していきます。
潮汐が起こるしくみやサイクルとは?
潮汐(ちょうせき)とは、月、太陽と地球の位置関係によって、それぞれの引力をはじめ、遠心力などのさまざまな力の相互作用によって、海面が周期的に上下する現象のことです。
いわゆる潮の干満のことを指す言葉です。海は絶え間なく潮の干満を繰り返しています。
満潮にしても干潮にしても、だいたいが1日に2回ずつ起こり、さらに潮が大きく動く大潮と、あまり動かない小潮が、約1週間の周期で交互に現れます。自然現象としては規則正しい部類に入る現象です。
潮の干満の詳細を見てみると、平均12時間25分で次の干潮、または満潮を迎え、毎日平均で約50分の遅れを生じていることがわかります。
新月・半月・満月・半月の潮汐サイクル
潮汐は天体の運行によって支配されているため、このように規則的な現象となります。
これがカレンダーとも連動している理由ですが、ではなぜ1日に2回潮の干満が起こり、さらに大潮・小潮があるのでしょうか?
潮汐サイクルを理解する
月に向いた側の海水は月の引力に引っ張られます。反対側の海水は地球の自転による遠心力によって引っ張られます。
これにより、地球上の正反対に位置する2か所の海面が同時に盛り上がり、これが1日に2回発生する潮の干満となるのです。
潮の干満は地球と月の位置関係によるものだけではなく、太陽も加わります。月と地球と太陽が一直線に並ぶと、海水を引っ張る力がさらに大きくなり大潮となります。
一方、月や太陽と地球の位置が直角の関係になると、その力が弱くなり小潮になるのです。
大潮は満月(Full Moon)または新月(New Moon)、小潮は半月(Half Moon)と覚えておくとわかりやすいでしょう。
また、月は29.5日、約4週間で地球の周りを1周します。その間に新月・半月・満月・半月というサイクルを繰り返すため、潮が1週間ごとに変化することになります。
このサイクルを理解しておくと、たとえ潮見表がなくても、予定を立てるときなどに役立ちます。
まとめ
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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