雲ノ平はどこにある?
雲ノ平は新穂高と立山のあいだに位置する黒部川源流部、北アルプスの最奥地とも言える場所に存在します。
多くの場合は新穂高から行くルートを取りますが、一般的な速度で歩けばたどり着くまでに2日はかかるでしょう。
つまり、雲ノ平を周遊するには最低でも3泊〜4泊を要するため、土日に気軽に行くことは難しい場所なのです。
飛行機を使えば1日で海外にさえ行けてしまう時代ですが、現代であっても山奥となればそうはいきません。
自分の足で歩いて行くしかすべはないのです。「日本最後の秘境」と言われる所以はそういったことにもあるのでしょう。
また、紅葉シーズンの秋山といえば人気の山はどこもかしこも混み合っていることが常ですが、誰しもが訪れることができるわけではない雲ノ平は比較的静かに過ごすことができるでしょう。
秋が深まる山とゆっくり向き合うには打って付けの場所でもあるのです。山愛好家にとって憧れの地、雲ノ平。
訪れることができた時、やっとたどり着くことができたという充足感、そしてため息が出るほどの美しい景色が、あなたを出迎えてくれることでしょう。
雲ノ平までの道のりもまた美しい
雲ノ平の行きすがら、美しい槍・穂高連峰の姿を望むことができるのです。おすすめは鏡平の鏡池から見える景色です。
秋晴れの日は真っ青な空とくっきりと美しい山々の姿が鏡池に、まさに鏡のように映り込み、うっとりとしばらく眺めていたくなる美しい景色です。
また、標高を上がって行くと3000m峰に届きそうな山々が間近に迫り、広大な景色の中の縦走はどこを見渡しても素晴らしい眺めです。
景色が変化するにつれ「北アルプスの奥地に向かっている」という高揚感を感じずにはいられなくなるでしょう。
雄大なカールや黄金色の山肌と青い空のコントラスト。柔らかく落ち着きのある秋の奥山の景色の奥深さに終始心を奪われることとなるでしょう。
外国の山に来たかのような美しい景色
ついにたどり着いた雲ノ平は山の中のまさに平地です。今までにいくつもの山を登って来てその景色が目に入った時、とてもほっとするでしょう。
柔らかみのある牧歌的な風景が迎えてくれます。それはちょっとヨーロッパの平原のようにも見え、どこか別の国の山に来たかのような錯覚さえ感じるかもしれません。
そう、実は雲ノ平は広大な平地のエリアによって植生がちょっとずつ違っていて、その植生の特徴に見合った国の名前が付けられているのです。
では、雲ノ平のエリアを少しご紹介します。
スイス庭園
雲ノ平に入ってすぐ目に入る、広大な大地です。わぁ!ヨーロッパに来てしまった!と、思わずため息が出てしまうでしょう。
真っ青の秋晴れの日には池塘(ちとう)に青空が映り込み、秋色に染まった草原とのコントラストが美しく、木道がよく似合う景色です。
ギリシャ庭園
スイス庭園を過ぎるとぽつんとある小屋が見えてきます。雲ノ平唯一の山小屋、「雲ノ平山荘」です。
その小屋の周辺がギリシャ庭園になります。原っぱの中にゴロゴロと岩がある風景が日本にはあまりない景色で魅力的です。
チングルマが綿帽子になり、秋の温かみある景色を彩っています。
アラスカ庭園
少し先へ行くとシラビソなどの針葉樹の樹林帯になります。アラスカ庭園です。
アラスカや北米のような雰囲気を感じさせる植生地帯まであるのです。ここもまた、とても魅力的な風景です。
他にも日本庭園やアルプス庭園などがありますが、是非ご自分の目で楽しんできてください。
それぞれに植生が少しずつ違い、一日中散策していても興味が尽きないでしょう。
可愛らしい山小屋「雲ノ平山荘」
そして、雲ノ平唯一の山小屋「雲ノ平山荘」は雲ノ平の魅力の一つでもあります。
美しい景色にぽつんとある山小屋。雲ノ平の風景によく似合います。
実はこの山小屋、歴史は古く、今の小屋主の父である故・伊藤正一氏が戦後間もない頃に建設が始めたそうです。
当時の雲ノ平は人跡未踏に等しく今以上にたどり着くのが困難だった上、小屋を建てるための資材を全て人力で運ぶ必要があったため並大抵の苦労ではなかったことが想像できます。
そして2009年、やむなく当時の想いが詰まった小屋を取り壊し、2011年、新たに建て直されて現在の小屋のかたちとなっています。
雲ノ平小屋と伊藤正一氏にまつわる話は雲ノ平小屋のホームページにストーリーが掲載されています。
歴史の重みある興味深いお話ですので訪れる際はぜひこちらも読んでみて下さい。
以前の雲ノ平山荘も近代的な佇まいだったようですが、現在も個性的で、かつ雲ノ平の風景に馴染む可愛らしい山小屋です。
小屋の内部もヨーロッパの山小屋のような可愛らしさがあり、木の温かみが感じられる居心地のいい山小屋です。
雲ノ平に来た際は、せっかくなのでテント泊ではなくこの山小屋に泊まることをおすすめします!
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。