「昨日見た花の色は何色だったっけ」――そんな問いをタイトルに掲げた、アーティスト・坂木茜音さん初の個展が、7月20日まで神奈川県横須賀市の古民家スペース「問室 -toishitsu-」で開催されています。写真やガラスを用いた作品を通して、自然が刻む時間や人の記憶を見つめ直す本展。AIやデジタル技術によって効率化が進む時代だからこそ、「遅さ」や「あいまいさ」に目を向ける展示として注目を集めています。
自然が刻む時間をテーマにした初個展

本展を開催する坂木茜音さんは、京都で伝統工芸やアート、建築を学び、美術館やクリエイティブ業界での活動を経て、デジタル名刺サービス「プレーリーカード」の共同代表としてスタートアップ企業を立ち上げた異色の経歴を持つアーティストです。現在はアートと事業を行き来しながら活動を続け、今回、自身初となる個展を開催しました。
展示タイトルは『昨日見た花の色は何色だったっけ』。
写真やガラスを用いた立体作品、参加型インスタレーションなどを通して、「遅さ」と「あいまいさ」、そしてその時間を認識することをテーマに作品を展開しています。
「速さ」の時代だからこそ、自然へ目を向ける

展示の背景にあるのは、AIによる生産性向上や動画の倍速視聴など、あらゆるものが効率化される現代社会です。
坂木さんは、速さと遅さを対立するものではなく、同じ世界の中に存在する価値として捉えています。そして、昼夜の移り変わりや四季の巡りなど、人の暮らしの基準となる時間を生み出しているのは自然ではないかと考え、本展のテーマにつなげました。
タイトルにもなっている「昨日見た花の色は何色だったっけ」という問いには、日々移ろう自然の風景や、曖昧だからこそ残る記憶へのまなざしが込められています。
自然の中では当たり前に流れている時間も、忙しい日常では見過ごしてしまいがちです。そんな感覚に気づくきっかけを与えてくれる展示となりそうです。
古民家で楽しむ、対話型のアート体験

会場となる「問室 -toishitsu-」は、横須賀・汐入の谷戸にある古民家を活用したスペースです。
「問うことを通して新しい気づきに出会う場所」をコンセプトに、ブック展示やトークイベント、ワークショップなどを開催しており、ゆったりとした時間が流れる空間として親しまれています。展示テーマとも親和性の高いロケーションで作品を鑑賞できるのも、本展ならではの魅力です。
会期中は、人類学者や建築家、アーティビストらを迎えたトークイベントや、横須賀のまちを歩きながら感じたことを持ち寄る参加型ワークショップも開催。作品を「見る」だけでなく、対話を通して考えを深める機会も用意されています。
展示名:坂木茜音『昨日見た花の色は何色だったっけ』
会期:2026年7月10日(金)〜7月20日(月・祝)※7月15日(水)は休廊
会場:問室 -toishitsu-
(神奈川県横須賀市汐入町3-20-4)
開館時間:
平日 12:00〜21:00
土・日・祝 10:00〜19:00
入館料:500円(小学生以下無料)
要事前申込み:「トーク&まちあるきと対話のワークショップ」
公式情報:坂木茜音Instagram
忙しない毎日のなかでは見落としてしまう、自然のリズムや記憶の曖昧さ。本展は、そんな感覚に静かに向き合う時間を届けてくれる展覧会です。自然の中で過ごす時間に価値を感じる人にとっても、新たな視点に出会える機会になりそうです。
ライター
Greenfieldニュース編集部
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