秋の登山道は紅葉だけでなく、さまざまな野鳥たちの声や姿にも彩られています。夏の強い日差しが落ち着き木々の葉が落ちる秋は、野鳥観察にぴったりの季節。初心者でも比較的簡単に出会える野鳥が多く、秋ならではの行動や羽色の変化を楽しめます。本記事では、秋の低山の代表として高尾山で見られる野鳥5種と観察のコツをご案内します。自然散策の楽しさをさらに広げるための参考にしてみてください。

秋の登山道でバードウォッチングしよう

登山道 野鳥

バードウォッチングは、季節を通していつでも楽しめます。とくに、登山を楽しみながら野鳥を観察するなら、秋はおすすめの季節です。

山でのバードウォッチングには秋がおすすめ!

秋は、野鳥の行動や姿が一年の中でも特にわかりやすい季節。夏の換羽が終わり、多くの鳥たちは活動的になります。食べもの物を求めてあちこちを飛び回ったり、見晴らしのよい場所に止まって越冬準備の縄張り宣言の鳴き声を出したりするのを見かけることができますよ。

秋のバードウォッチングにおすすめの山

初心者が秋の野鳥観察を楽しむなら、アクセスのよい低山がおすすめです。東京都に在住の私は、御岳山や川苔山など多摩地域の低山でよくバードウォッチングを楽しんでいます。

なかでも高尾山にはさまざまな種類の野鳥が生息しており、個人的にもお気に入りの山です。今回は、高尾山で出会ったことのある鳥たちを中心に紹介します。

バードウォッチャーが意識している野鳥探しのコツ

登山道 野鳥

高尾山をはじめ、秋の低山で野鳥を探すポイントを紹介します。条件によって出会える鳥の種類が違ってきますので、出かける山によって条件を変えてみて、さまざまな野鳥を探してみましょう。

一例として、高尾山では山頂までのコースがいくつかあり、どれを選ぶかで観察できる鳥の種類が変わります。たとえば沢のある6号路では、水辺を好む野鳥に出会える機会が増えますよ。

また、登る時間帯によって太陽の光がどの方角から差し込むかも変わるので、なるべく木々を見るときに逆光にならないように登山道を選ぶのもポイントです。

野鳥を見つけるポイント

早朝や午前中に登る:野鳥は朝の活動が活発
静かに歩く:大きな声や急な動きは鳥を驚かせる
周囲の音に気を配る:モズやイカルなど、声で存在を確認できる鳥も多い
鳥が好む場所を意識する:実のなる木の多い場所・茂み・水場の近くは鳥が集まりやすい

初心者にみつけやすい野鳥5種類

高尾山には多くの種類の野鳥が生息しています。ここでは、初心者でも見つけやすく、可愛い特徴のある野鳥を5種類紹介します。

「モズ」木のてっぺんで鳴く小さなハンター

登山道 野鳥

全長約20センチのスズメより少し大きい鳥で、茶色の背中と白い腹部が特徴です。枝に止まると、長い尾が目立ちます。秋になると昆虫や小動物を追う姿をよく見かける狩りの名人で、小さなハンターとも呼ばれています。

モズは高い場所に止まることが多いので、木のてっぺんを注意深く観察すると見つけやすいです。また、「キーイキーイ」という特徴的な鳴き声を頼りにすれば、隠れている個体も見つけやすくなります。

獲物を探すために同じ枝に長く止まることもあるので、焦らずじっくり待つことがポイントです。

「ヤマガラ」木の実を運ぶ茶色い小鳥

登山道 野鳥

全長約14センチの小さな鳥で、頭は黒っぽく、背中はグレー、腹部は淡い茶色です。秋にはドングリなどの木の実を運んで木の幹の割れ目や土の中に蓄える習性があります。また、活発に木々を飛び回るので、ずっと動きを観察していても飽きません。小さな体で大きな実を運ぶ様子は、自然界の知恵や力強さを感じさせてくれます。

木の実が落ちている場所の近くの枝などを探すと見つけやすいです。比較的人に慣れている個体も多く、少し静かに待つと近くで観察できますよ。秋は群れで行動することもあるため、複数羽を一度に見るチャンスもあります。「ニーニー」と特徴的な声を出すのも、探す際の手掛かりになります。

「イカル」黄色いくちばしと美しい声

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全長約23センチの小鳥で、黄色いくちばしが特徴です。鳴き声が美しく「キーコーキー」とさえずります。群れで動くことが多いため、鳴き声を頼りに、木々の上の方や茂みの中で活発に動く小鳥の集団を探すと見つけやすいです。

樹々が葉を落とす頃には、黄色いくちばしや羽の模様がよく目立ち、遠くからでも発見しやすくなります。群れの中での個体同士のコミュニケーションや、採餌の様子も観察ポイントです。

「アカゲラ」枯れ木に穴をあける赤いキツツキ

登山道 野鳥

全長約24センチのキツツキで、黒い羽に白の斑点と赤い下腹部(下尾筒)が特徴です。枯れ木や倒木に穴をあけて昆虫を探す姿は、秋の登山道でよく見られます。木をつつくリズミカルな音は、近くにいるサインです。木を叩く音が聞こえないときは「キョッキョッ」という鳴き声を頼りに探してみてください。

音を頼りに、木のどのあたりにいるか推測して、静かに近づいてみてください。とくに枯れ木や倒木の周辺はアカゲラがよく活動する観察スポットです。枯れ木に丸い穴が空いている場所があれば、アカゲラが空けた穴かもしれません。あたりをよく探してみましょう。

「アオジ」茂みを動き回るレモンイエローの小鳥

登山道 野鳥

全長約16センチの小鳥で、背中は茶色っぽいまだら模様、胸や腹はレモンイエローです。秋の雑木林の低い茂みや落ち葉の中で、餌を探す姿を目にすることができます。体は小さいものの、黄色の鮮やかさがよく目立ちます。群れで行動することもあり、愛らしい小さな集団に偶然出会うことがあるかもしれません。

地面近くや茂みの中に隠れることが多いので、落ち葉の上や小枝の間に動く小さな黄色を探すと見つけやすいです。草むらの中で音を立てずに餌を探すため、静かに歩きながら、足元の茂みを動き回る様子に注意を向けるのがポイントです。時折枝に止まって「チッチッ」と鳴くこともあるため、声を頼りに探すのも有効ですよ。

登山道を歩きながら、鳥たちのさえずりや動きを探してみてください。少しの注意と観察力で、初心者でも驚くほど多くの野鳥に出会うことができます。秋の澄んだ空気の中で、野鳥たちとの素敵な出会いを楽しんでみましょう。

麦原拓馬

ライター

麦原拓馬

東京都在住の週末バードウォッチャー。
高尾山の登山中にキツツキを見つけたことがきっかけでバードウォッチングに興味を持ちドハマり中。
多摩エリアをメインにアウトドア活動を行っている。
愛犬のミニチュアシュナウザーと毎朝散歩をするのが日課。