ジャガイモは春と秋に育てられる人気の野菜です。とくに秋ジャガは、病気のリスクが少なく、初心者にも育てやすい時期に栽培するのが特長です。ただし、植え付けの時期や種イモの扱いを間違うと、うまく芽が出なくなることも。今回の記事では、秋ジャガの栽培に初めて挑戦する人でも安心して取り組めるように植え付けや育て方のコツを紹介します。これから秋ジャガ栽培に挑戦してみたい方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
秋ジャガの植え付け時期と特徴

秋ジャガの植え付け適期は、一般的に8月下旬〜9月中旬頃。 植え付けからおおよそ90日後、11月〜12月には収穫できるサイズに育ちます。
秋の栽培では、気温が下がり始める時期に栽培するため、春と比べて病害虫の発生が少なく、初心者には取り組みやすいといえます。ただし、植え付け時期の初期段階では残暑が続くことが多く、 高温多湿によって種イモが腐るリスクがあるため、十分な注意が必要です。
また、中部地方以北の寒冷地(東北や北海道)では、イモが育つ前に気温が低下してしまうため、秋ジャガの栽培には向きません。そのような地域の人は春ジャガ用の種イモを入手し、春ジャガ栽培の計画を立てましょう。
種イモを選ぶときのポイント

秋ジャガ栽培では、最も重要なのは種イモ選びです。最初に使う種イモの状態で成功するか否かが大きく変わるといっても過言ではありません。ここでは、秋ジャガ初心者でも失敗しにくい種イモの選び方を紹介します。
種イモ専用を選ぶ
種イモは必ず「種イモ専用」として販売されているものを選びましょう。種イモ用として販売されているものは、消毒されていて病気のリスクが少ないため安心して育てられます。
スーパーで売られているジャガイモを植えても育ちますが、病気が隠れている可能性があるので、必ず種芋用のイモを選ぶようにしてください。
秋ジャガ用の品種を選ぶ
種イモは、秋植え用の品種を選ぶのが重要です。秋植え用のジャガイモは休眠期間(※)が短いため、芽が早く出るのが特徴です。涼しい場所で管理をすると芽出しが早くなり、イモが腐りにくくなるので失敗を減らせます。
また、秋ジャガの代表格である「デジマ」は病気に強く、初心者の人にぴったり。品種選びに迷ったら、まずはデジマから試してみるとよいでしょう。
※休眠期間…収穫したジャガイモから芽が出るまでの期間。
イモのサイズは50g前後
種イモのサイズは50g前後の重さがベスト。傷やシワがなく、目の数が多いものほどよく育ちます。大きな種イモを植え付けても問題ありませんが、60g以上では収量に大きな差がないため、なるべく芽の数を減らして手間を抑えましょう。
大きなサイズしか手に入らなかった場合でも、切らずに丸ごと植えるのがポイントです。
秋ジャガの植え付けで種イモを腐らせないコツ3つ

秋の栽培は気温が高く、種イモが土の中で腐りやすい環境の中でスタートします。そこで、以下のような工夫を行うことで、失敗を未然に防ぐことが大切です。
1.芽出しをする
種イモは植え付け前に、あらかじめ芽を出しておく「芽出し作業」を行うことで発芽しやすくなり、育ちがよくなります。
購入した種イモは、すぐに明るく風通しのよい日陰に置き、芽が1〜2cmほど伸びたら植え付けのタイミングです。芽出しをしておくことで土に植えてからすぐに生育が始まるため、種イモが腐るリスクが下がります。
2.種イモは切らない
秋ジャガの植え付けでは基本的に種イモは切らずに「丸ごと」植え付けます。というのも、植え付け適期の9月は気温も湿度も高いため、切り口から雑菌が入りやすくなるからです。
多少小ぶりの種イモでも、丸ごと使うことで腐敗を防ぎ、ジャガイモ栽培がうまくいきます。
3.大きめのポットで発芽させてから植える
高温の畑に直接植えるのが心配な場合は、直径15〜20cm程度のポットで先に発芽〜葉を出すまで育ててから畑に植える方法がおすすめです。
芽や小さな葉が出てから植え替えることで、定植後に種イモが腐りにくくなり、育てやすくなります。初心者でも気軽にできる方法なので、ぜひ試してみてくださいね。
秋ジャガの植え付け後の育て方

植え付けが終わったら、次は秋ジャガを植え付けた後の育て方についてです。いくつかの注意点も押さえておきましょう。
芽かき
芽かきとは、余分に出てきた芽を摘み取る作業のことです。芽が5〜6本出てきたら、太くてしっかりとした元気な2〜3本だけ残し、ほかの芽を根元から摘み取ります。
もったいなく感じるかも知れませんが、芽が多すぎると栄養が分散してしまい、小さなイモしか育ちません。本数を管理することで栄養が集中し、イモが大きくなります。
土寄せ
土寄せとは、出た芽の根元に土をかぶせる作業のことです。芽が15~20cmほどに伸びたら、イモが日光に当たらないようにしっかりと株元へ土をかぶせましょう。
イモが日に当たると、皮が緑色に変色し、毒素が作られてしまうので食べられなくなってしまいます。土寄せのほか、黒マルチ(黒いビニールシート)を張る方法もありますが、地中の温度が高くなりすぎてしまうので、秋の植え付けにはあまり向いていません。
少なめに追肥する
ジャガイモは少な目の肥料で育てるのがコツです。もともと無肥料でも育ち、土の養分を吸収する能力がとても高い野菜です。肥料を与えすぎると、葉っぱや口ばかりが茂る「ツルぼけ」という現象が起こり、イモが大きく育ちません。
追肥は、土寄せをしたタイミングで、様子を見ながら少量ずつ与えていきましょう。
収穫は霜に注意
秋ジャガの収穫時期は、地域にもよりますが11~12月頃です。そこで気を付けたいのが霜の影響です。地域によっては霜がおりて、畑が真っ白になることも少なくありません。
ジャガイモは冷気に弱く、霜が降りると傷んでしまいます。天気予報を確認しながら、気温が4℃ 以下になりそうな場合は、早めに収穫するように心がけましょう。
秋ジャガの植え付け後に注意する害虫

テントウムシダマシ
秋は春に比べて虫は少ないとはいえ、油断は禁物です。ここからは、秋ジャガ栽培で気を付けたい代表的な害虫を3種類紹介します。
アブラムシ
アブラムシはジャガイモの葉に群がり、植物の汁を吸って株を弱らせます。さらにモザイク病(※)と呼ばれるウイルス病を媒介するためとても厄介です。一度感染すると、その株は枯死してしまい、まわりの株にも病気を広げてしまいます。
アブラムシを見つけたら、水をかけて洗い流したり、葉ごと取り除いたりするなど早めの対策が必要です。
※モザイク病…植物の葉にモザイク状の斑点が現れる病気。農薬が効かず、ほとんどの場合治癒しない。
テントウムシダマシ
別名「ニジュウヤホシテントウ」と呼ばれ、見た目はテントウムシに似ていますが、草食でナス科の植物の葉を好んで食べます。
ジャガイモの葉を削るようにして食害して、葉には階段状の特徴的な痕が残ります。葉の表面や裏などに隠れていることが多いので、見つけたら駆除を行いましょう。
ハダニ
ダニの一種で乾燥した環境に発生しやすく、植物の葉に寄生し、養分を吸い取って植物を弱らせてしまいます。
葉に白い斑点が出てきたら注意のサイン。霧吹きで水をかけて湿度を上げたり葉裏をこまめに確認したり、早めに駆除することが大切です。
ライター
akari
母子キャンプ歴7年。アウトドアを楽しむシングルマザーです。大人一人でも子供とキャンプを楽しめるコツやおいしいキャンプ飯のレシピをご紹介します。薪ストーブinのおこもり冬キャンが大好き。