タマネギは秋に種をまき、冬を越して収穫する野菜です。トマトやキュウリなどの夏野菜とくらべて育てる期間が長いため、難しそうと感じる人がいるかもしれません。しかし、「極早生(ごくわせ)」と呼ばれる品種を選べば、初心者でも手軽に収穫を楽しめます。極早生タマネギならではの育て方のコツを知り、長い栽培期間を楽しみましょう。
タマネギ栽培でおすすめの極早生品種

タマネギの栽培でおすすめなのは、極早生と呼ばれる品種です。理由は以下の3つです。
- 植え付けから収穫までが早い
- 夏野菜へ繋げやすい
- トウ立ちしにくい
どんな良さがあるのか、ポイントごとに見ていきましょう。
収穫が早い
極早生のタマネギは名前の通り、植え付けから収穫までの期間が短い品種です。
中生(なかて)や晩生(おくて)と呼ばれる一般的な品種が、初夏から夏にかけて収穫期を迎えるのに対し、極早生はひと足早い3月〜4月の春に収穫できます。
管理する期間が短いぶん、病害虫や雑草の心配も少なく、初心者でも育てやすい点が魅力。また、畑を占有する期間が短いため、短期間でほかの野菜への栽培を進めたい人にはぴったりです。
夏野菜の栽培につなげられる
極早生品種は春先に収穫できるため、ゴールデンウィーク頃の夏野菜の植え付けにちょうど間に合います。
中生や晩生のタマネギでは6月収穫になるため、どうしても夏野菜の定植が後ろ倒しになりがちです。
極早生なら3〜4月に収穫を終えられるので 、収穫後にしっかり土づくりをしてから、余裕をもって夏野菜の栽培に切り替えられます。限られた畑のスペースを有効活用したい人にとって、大きなメリットです。
トウ立ちしにくい
極早生のタマネギは「トウ立ち」しにくいのが特徴です。
トウ立ちとはタマネギの花芽(トウ)が伸びてしまい、玉が大きく育たない現象のこと。
極早生は収穫までの期間が短く、株が大きくなりすぎないたトウ立ちしにくいと言われています。初心者のタマネギ栽培で、どのタマネギを育てるか迷っているなら、まずは極早生から始めるのがおすすめです。
初心者でも安心!タマネギ栽培を失敗させない5つのポイント

タマネギの栽培で、初心者がつまずきやすいポイントを5つ紹介します。種まきや育苗の工夫、植え付けの時期や管理方法を押さえるだけで、失敗を減らせます。ぜひ参考にして、春の収穫を楽しんでくださいね。
1.種まきは遮光と保湿をする
タマネギの種まきは遮光と保湿で成功率が上がります。
タマネギは「嫌光性種子」といって、光が当たると発芽が抑制される性質があります。また、土が乾くと種が枯れてしまうため、常に湿り気を保つことが大切です。
遮光と保湿には、新聞紙を数枚重ねて上からかぶせる方法が効果的です。新聞紙が光を遮り、土の乾燥も防いでくれます。毎日水やりを欠かさないように注意して、1つでも芽が出たら新聞紙を外し、芽に日光を当てると丈夫な苗が育ちます。
2.発芽適温を維持する
タマネギの発芽に適した温度は15〜20℃とされています。
本来は気温が落ち着いた秋に種まきを行うのが理想ですが、近年は異常気象で気候の予想が難しくなっています。気温が高すぎる場合は、風通しの良い日陰で育苗したり、遮光ネットを使 ったりして日差しから種を守りましょう。
芽が出たら、土の乾燥具合を確認しながら水やりを行い、大きくなるまで栽培を続けていきます。
3.苗は鉛筆の太さに育てる

植え付け時のタマネギの苗は、「鉛筆の太さ(5~6mm)」くらいが理想とされています。
細すぎると冬を越す力が弱いため枯れやすく、太すぎるとトウ立ちの原因になります。種まきから苗の成長をよく観察し、植え付けが近くなっても苗が太くならない場合は、少しずつ肥料を与えながら育ち具合を確認しましょう。
苗が十分に育ったら、生長点を埋めないよう浅植で植え付けるのがポイントです。苗づくりに自信がない人は、ホームセンターや通販で苗を購入するのがおすすめです。
4.日当たりのいい場所を選ぶ
タマネギは日光を好む野菜です。植える場所は日当たりのよい場所を選びましょう。
日照不足になると玉が大きくならず、病気の原因にもなります。とくに冬を越す間に光を浴びることで根がしっかり張り、健康な玉に育ちます。
また、病害虫の予防のためには、風通しのよさも重要です。周囲に背の高い植物がなく、建物の陰にならない場所が理想的です。
5.ホームタマネギを植える

種から育てるのに自信がないに人は、ホームセンターで苗を購入するほか、「ホームタマネギ」を植え付けるのがおすすめ。
ホームタマネギは小さなタマネギを苗として植える方法で、一番難しい苗づくりを省略できるため、初心者におすすめです。
種から育てるよりも成長が安定しており、小さなタマネギを土の上に置くだけで植え付けが完了するので、苗よりも簡単に栽培できますよ。
タマネギ栽培で注意する虫

ヨトウムシ
タマネギ栽培で注意すべき害虫は以下の3種類です。
- ネギアブラムシ
- ネギアザミウマ
- ヨトウムシ
それぞれの特徴や、見つけ方について確認していきましょう。
ネギアブラムシ
タマネギ栽培でとくに注意したい害虫は、体が黒い「ネギアブラムシ」です。
葉や茎に群がって汁を吸うと、葉が縮れたり変色したりして、光合成が妨げられてしまいます。見つけたら筆で払ったり水で洗い流したりして駆除するようにしましょう。
ネギアブラムシは葉に小さな黒い粒がついているのですぐに発見できます。また、アリと共生しているため、タマネギの葉にアリがいたら要注意です。
ネギアザミウマ
タマネギ栽培で厄介な害虫のひとつが「ネギアザミウマ」です。
体長1mmほどの小さな虫で、葉に針のような口を刺して汁を吸います。被害を受けた葉には白っぽい筋や斑点ができ、光合成能力が落ちてしまいます。ネギアザミウマは非常に小さいため見つけにくいですが、葉の表面に1mm程度の茶色っぽい粒がついているので注意して観察しましょう。
駆除には、筆で払ったり水で洗い流したりする方法が有効です。また、近くに雑草が多いと再び現れやすいため、草刈りも重要。こまめに管理して被害を防ぎましょう。
ヨトウムシ
タマネギ栽培の植え付け直後に注意したい害虫が「ヨトウムシ」です。
ヨトウムシは夜に活動する蛾の幼虫で、昼間は株元やマルチの下など、土の浅い部分に隠れています。夜になると出てきて、苗の茎や葉をかじり、成長を止めてしまうことも少なくありません。
食害を見つけたら、株元や周囲の土を軽く探ってみるとヨトウムシがいる場合があります。確実に駆除したい場合は、夜に懐中電灯で照らして探し、捕殺するのも有効です。
タマネギ栽培で注意する病気

保存中に発生した軟腐病
タマネギ栽培で注意すべき病気は以下の3種類です。
- べと病
- さび病
- 軟腐病
病気の特徴や予防方法について見ていきましょう。
べと病
べと病はタマネギで最もよく見られる病気のひとつです。
葉に黄色や淡褐色の斑点が現れ、やがて灰白色のカビが発生して葉が枯れてしまいます。湿度が高いと広がりやすく、放置すると株全体が弱ります。
予防には、株間を広く取って風通しをよくし、水やりを控えめにすること。また、発病した葉を見つけたら早めに取り除くことで、周囲への感染拡大を防げます。
さび病
さび病は葉の表面に赤褐色の小さな斑点が現れる病気で、名前の通り錆びがついているように見えます。
症状が進むと葉全体に広がり、光合成能力が低下し、玉が十分に肥大しなくなるため、以下の方法で予防しましょう。
- 窒素肥料の与えすぎを避ける
- 古い葉を整理して株全体の風通しを良くする
- 定期的に有機石灰を散布する
栽培初期に気づけば、収穫に大きな影響を出さずに抑えられます。収穫を守るためにも、日々の観察を忘れずに行いましょう。
軟腐(なんぷ)病
軟腐病は栽培中のタマネギの玉が腐ってしまう病気です。
発症すると玉の内部がやわらかくなり、悪臭を放ちながら溶けてしまいます。極早生品種では収穫が早いためあまり見かけない病気ですが、収穫前に急に気温が上がると発生しやすくなります。
予防には、水はけの良い土で栽培することが基本です。また、収穫後のタマネギを湿ったまま保存すると感染しやすいため、十分に乾燥させてから保存しましょう。発病した株は早めに処分して周囲に広がらないようにすることが得策です。
ライター
akari
母子キャンプ歴7年。アウトドアを楽しむシングルマザーです。大人一人でも子供とキャンプを楽しめるコツやおいしいキャンプ飯のレシピをご紹介します。薪ストーブinのおこもり冬キャンが大好き。