にんじんは「なかなか芽が出ない」と悩む人が多い野菜です。夏の猛暑で発芽が難しくなることもありますが、暑さが落ち着く9月に種をまけば、発芽率も安定し、育てやすくなります。この記事では、9月まきのにんじんを元気に発芽させるポイントや育て方を紹介します。

にんじんの種まきのおすすめは「9月」

にんじん 種まき 9月

夏の猛暑で作物の発芽が難しくなる昨今、にんじんは暑さが落ち着く9月に種をまくと育てやすくなります。涼しい気候を活かせるこの時期にまけば、発芽率も安定し、冬に収穫するにんじんは甘みも増しておいしくなります。

一般的には7~8月にまくことが多く、種袋の説明でも同じ期間が推奨されていますが、近年の35℃を超える猛暑では発芽率が下がることもあります。にんじんの発芽適温は15~25℃なので、夏のピークを避けて9月にまくのがおすすめです。

にんじんの9月の種まきで失敗しにくい3つのコツ

にんじんを9月に種まきする際に、成功させるポイントは3つあります。

  • 紙筒に種まきをして室内管理する
  • もみ殻や不織布をかぶせる
  • 双葉が出たら定植する

それでは、種まき後の管理方法を具体的に見ていきましょう。ちょっとした工夫で発芽率もぐんと上がりますよ。

1.紙筒に種まきをして室内管理する

にんじんは直根といって、太い根をまっすぐ下に伸ばし、根が肥大することで食べられるようになる野菜です。一般的に直根の野菜は畑やプランターに直播するのがセオリーですが、暑すぎる屋外よりも、室内で発芽させて管理した方が成功率が高くなります。

直根の野菜の管理に向いているのが「紙筒」です。画用紙を筒状にしてホッチキスで止め、中に土を入れて種をまきます。手作りが大変な場合は、トイレットペーパーやキッチンペーパーの芯を使うと手軽に作れますよ。

紙筒は土に植えても微生物によって分解され、しばらくすると自然に消えてなくなります。そのため、にんじんのような直根の野菜も根を傷めずに育てやすく、管理がぐっとラクになります。

2.もみ殻や不織布をかぶせる

にんじんの種をまいたら、土はうっすらとかけ、もみ殻や不織布で保湿しながら光が当たるようにしてあげましょう。

にんじんは「好光性種子」といって、発芽に光が必要な野菜です。土を厚くかけすぎないよう注意を。
夏場に2週間経っても発芽しない場合は、種が乾燥したり腐ったりしている可能性があります。そのときは再度種まきをします。

3.双葉が出たら定植する

にんじんの種を紙筒にまいたら、双葉が開いたタイミングで必ず植え付けをします

双葉が開く頃になると、にんじんの根は5㎝程度は伸びているので、それ以上長く置くと根が曲がってしまいます。できるだけ早く植え付けるようにしましょう。

種まき後の育て方

にんじん 種まき 9月

無事に芽が出たら、にんじんを元気に育てるための世話が始まります。ここからは、発芽後に気をつけたいポイントや育て方のコツをわかりやすく紹介していきます。

間引き

にんじんをうまく育てるコツのひとつが間引きです。にんじんは4~5個の種を一緒にまくことで発芽率が上がります。しかし、十分な株間がないとうまく育たないため、以下のタイミングで少しずつ間引きをしていきましょう。

1回目の間引き:本葉1~2枚のころ 株間1㎝程度
2回目の間引き:本葉3~4枚のころ 株間3㎝程度
3回目の間引き:本葉5~6枚のころ 株間10cm程度

3回目の間引きで十分な株間を確保すると、大きなにんじんが収穫できますよ。

土寄せ

2つ目のコツは土寄せです。土寄せは、苗の株元に土をかぶせる作業のこと。太陽の光から作物や根をまもったり、栽培途中に苗が倒れないようにするために行います。

にんじんは根の部分が日光に当たると緑化してしまい、見栄えが悪くなります。味は変わりなく食べられるのですが、きれいなにんじんを作り、根を大きくするためには土寄せが必要です。

間引きと同じタイミングで土寄せしておくと苗が倒れるのを防ぎ、まっすぐなにんじんが収穫できます。2回目の間引きのときには、周辺の土の表面を軽く耕し、追肥も行っておくとよいでしょう。

収穫

にんじんの収穫は、根の肩の部分が約3cmほどになったものが目安です。まずは一番大きなものを試しに抜いてみると、育ち具合が確認でき、収穫のタイミングを判断しやすくなります。

品種にもよりますが、種まきからおよそ120日ほど経ったら収穫時期といわれています。日数を目安にしつつ、実際の大きさもチェックして収穫すると安心です。

にんじんを育てるときに注意したい虫

にんじん 種まき 9月

アブラムシ

にんじんを育てるときに注意したい虫は、主に次の3種類です。

  • キアゲハ
  • アブラムシ
  • ネコブセンチュウ

それぞれの特徴や被害の出やすい場所を知って、早めに対策できるようにしておきましょう。

キアゲハ

にんじんにつく害虫で代表的なのは、キアゲハです。

キアゲハはにんじんの葉に卵を産み付け、幼虫は葉を食害してどんどん大きくなっていきます。あっという間に葉を食べつくしてしまうので、見つけたらすぐに取り除くか、防虫ネットをかけて対策をしましょう。

アブラムシ

アブラムシもにんじんを育てるときに注意すべき虫です。

気温が落ち着くころに爆発的に増えてくるので、こまめに葉をチェックしましょう。手で取り除くか、水で洗い流すと簡単に除去できます。肥料が多すぎると発生しやすいので、窒素分が多い肥料は様子をみながら与えるようにしましょう。

ネコブセンチュウ

にんじんを育てる際には、ネコブセンチュウにも注意しましょう。

ネコブセンチュウは、土の中にいる小さな線虫で、植物の根に寄生すると根にぼこぼことしたコブを作ってしまいます。にんじんは根を食べる野菜なので、見た目が悪くなるだけでなく、場合によっては食べられなくなることも。

予防には、有機物や米ぬかを土に混ぜたり、太陽熱を利用して土を消毒したりする方法があります。もし、収穫したにんじんにコブが多く見られた場合は、ネコブセンチュウの被害が考えられるため、次の栽培時には対策を講じると安心です。

9月に種まきするにんじんは、秋冬の涼しい気候を活かすことで発芽率が高まり、甘みも増しておいしく育ちます。育て方のポイントを押さえれば、初心者でも失敗しにくく安心です。とくに、紙筒や不織布を使って種を管理すると発芽率がさらにアップしますよ。収穫時期を逃さず、甘くておいしいにんじんを楽しんでくださいね。

akari

ライター

akari

母子キャンプ歴7年。アウトドアを楽しむシングルマザーです。大人一人でも子供とキャンプを楽しめるコツやおいしいキャンプ飯のレシピをご紹介します。薪ストーブinのおこもり冬キャンが大好き。