軽量で快適なテント泊を目指す登山者におすすめしたいのが、「ZANEARTS(ゼインアーツ)」社のテント「YAR-2(ヤール2)」。本体重量はわずか約1.3kgと非常に軽く、装備の軽量化を意識するハイカーにはぴったりの一張です。シンプルながらも快適性はしっかり確保し、自然と調和する洗練されたデザインも魅力のひとつ。本記事では、実際にフィールドで使用した体験をもとに、その性能と使い心地を詳しく紹介します。

軽量でスタイリッシュ!!「ゼインアーツ・ヤール2」

ゼインアーツ・ヤール2レビュー

9年間使い続けたアライテント「エアライズ2」のポールにヒビが入り、テント泊装備の軽量化も兼ねて買い替えを検討。エアライズは当時、軽量かつ4シーズン対応の山岳用テントとして評判がよく、長く愛用していました。

しかし、より快適で扱いやすいテントを求めて調べ続けた結果、たどり着いたのがゼインアーツの2人用ULテント「ヤール2」でした。スペックと使用感ともに申し分なく、自信をもっておすすめできるモデルです。

「ヤール2」を選んだ理由

主な決め手となったポイント

・軽量ながら悪天候にも耐えられる性能
・長く使える耐久性と、修理しやすい構造
・自然と調和する落ち着いたカラーリング
・横開きの入口で、2人でも快適に使える設計

これらの条件を満たすテントを探していたところ、たどり着いたのがゼインアーツの「ヤール2」でした。

年齢を重ねるにつれ、長時間の登山では装備の重さが体に堪え、より軽量なテントを求めるようになりました。エアライズ2は1,750gありましたが、それよりも軽いドーム型テントを条件に探していたところ、このモデルに出会ったんです。

また、エアライズ2は出入口が狭く、出入りや調理の際に不便さを感じる場面が多々ありました。一方「ヤール2」は長辺に大きく開く横開きの設計。設営のしやすさに加え、強風下でも安心できる剛性があり、理想の条件にぴったり当てはまりました

さらに、パーツごとの交換や修理が可能な点も大きな魅力。使い捨てではなく、時間をかけて育てていけるギアという点が購入の後押しになりました。

ゼインアーツとは?

ゼインアーツは、長野県松本市を拠点に展開する日本のアウトドアブランドです。2018年創業という比較的新しい企業ながら、デザイン性と実用性を兼ね備えたギアを次々に発表し、キャンパーや登山者の間で注目されています。

「機能美」をコンセプトに、現場での使い勝手と外観の美しさを両立した製品を展開。さらに、製品の寿命を延ばすための補修パーツの提供や部品販売にも積極的で、「長く愛せる道具づくり」を理念としています。

登山向けのUL(ウルトラライト)テント「ヤールシリーズ」や、洗練されたシェルター・タープは、ソロからファミリーまで幅広い層に支持されており、国内外で存在感を高めています。

「ヤール2」のスペック・特徴

軽量・コンパクトで機能性に優れた2人用の登山用UL(ウルトラライト)テントです。総重量はわずか約1.3kgと非常に軽く、長時間の縦走やテント泊登山でも荷物の負担を最小限に抑えられます。

シンプルかつ合理的な構造なので、設営・撤収が非常にスムーズです。ミニマル設計ながらも、前室スペースがあり、ザックや靴の置き場も確保できます。通気性も高く、結露を抑える工夫が随所に施されています。

また、補修用パーツの販売や、環境に配慮した素材選びなど、サステナブルな姿勢も高く評価されています。見た目の美しさと機能性を兼ね備えた「ヤール2」は、環境にやさしく、長く使えるテントを探している登山者にイチオシの一張です。

サイズ 210×120×室内高100cm、前室45cm
収納サイズ 15.5×40cm
最小重量 950g(フライシート・インナーテント・フレームのみ)
総重量 1250g(本体、収納袋、ペグ、細引き、フットプリント込み)
価格 ¥39,800
フライシート 15Dナイロンリップストップ(耐水圧1500mm/・シリコーン&PU加工)
インナーテント ウォール:7Dナイロンリップストップ
ボトム: 20Dナイロンリップストップ(耐水圧1,500mm/シリコーン& PU加工)
フットプリント 20Dナイロンリップストップ(耐水圧1,500mm/シリコーン&PU加工)
公式サイト ZANE ARTS

実際に使ってみたレビュー

ゼインアーツ・ヤール2レビュー

春・夏の山行を「ヤール2」でテン泊した際のリアルな使用感をレビューします。設営のしやすさや耐久性、居住性など、実際に感じたポイントをまとめました。

吊り下げ式で設営が簡単!

ゼインアーツ・ヤール2レビュー

「ヤール2」を初めて使ってみてまず驚いたのが、その設営のしやすさ。無駄をそぎ落としたミニマルな構造で、設営・撤収がとにかくスムーズです。

とくによかったのが、吊り下げ式のインナーテント。これまで使っていたスリーブ式の「エアライズ2」では、ポールがスリーブの中で引っかかったり接続部分が外れたりと、風が強いときは設営に手こずる場面もありました。

その点、「ヤール2」はフックで引っかけるだけの簡単設営。初回でも「え、もう終わり?」と拍子抜けするほどのスピード感でした。強風時でも安定して設営できるのは、大きな安心感につながります。

ゼインアーツ・ヤール2レビュー

以前使用していたテントはオレンジ色だったため虫を引き寄せやすかったのですが、自然に馴染むライトグレーに変えてからは、虫が寄ってくることが少なくなったように感じます。

軽量なのに暴風にも耐えるタフさ

縦走などするテン泊の装備は、軽さと耐久性のバランスが重要ですよね。「ヤール2」は1.25kgほどと非常に軽量で、テン場までの長いアプローチでも負担を感じにくく、疲労も軽減。正直、軽量なテント=耐風性が弱いというイメージをもっていたのですが、いい意味で裏切られました。

テン泊中、ほかのテントが倒れるほどの暴風に見舞われたのですが、しっかりと耐えてくれました。安心して眠れるタフな作りに、信頼度が一気に高まりましたね。

2人でも快適な居住空間

ゼインアーツ・ヤール2レビュー

2人でのテン泊使用を想定して選んだこのテント。実際にマットを2枚敷いても、荷物を置くスペースがしっかり確保でき、窮屈さは感じませんでした。

相方は身長173cmですが、テント内で座っても寝転んでも圧迫感がなく、快適に過ごせたとのこと。インナーの形状が工夫されており、実用的なスペース設計がされています。

横開きの出入り口は、2人並んでご飯を食べたり、調理したりする際にも使い勝手がよく、とても気に入っています。マットをずらせばスペースも確保しやすく、ゆったりとした山の夜を楽しめました。

また、使っていてうれしかった点のひとつが、結露による濡れの少なさです。吊り下げ式の構造によって、インナーテントとフライの間に適度な空間ができ、外側が結露しても内側は乾いたまま。これまで使っていたスリーブ式のテントでは、内側まで結露してシュラフが濡れることがありましたが、「ヤール2」ではそうした不快感がほとんどありませんでした。

ゼインアーツ・ヤール2レビュー

前室はトレッキングポールや登山靴を2足置ける十分な広さがあり、雨天時の収納や就寝時の整理整頓にも重宝しました。

前室がしっかり確保されていることで、テント内を常に快適に保てます。見た目のミニマルさからは想像できないほど、実用性にも優れています。

修理・交換も可能なサステナブル仕様

パーツ単位での修理・交換が可能なため、長く使えるサステナブルな仕様です。メンテナンス性の高さも、長期的な山道具選びでは重要なポイントになりました。 

長く使えるギアを選ぶうえで重要なポイントが「メンテナンス性」です。パーツ単位で修理や交換が可能な設計で、万が一破損しても全体を買い替える必要がありません。これは、道具を「育てていく」登山スタイルにもぴったりです。

素材が薄めなので取り扱いは丁寧に

ひとつ注意点を挙げるとすれば、軽量化のために素材がやや薄手であること。強度的に不安はありませんが、設営・撤収時には引っかけないよう気を遣う必要があります。ただ、扱いに慣れれば問題なく、長く活躍できるテントです。

実際のフィールドで試してもらいたい、軽量なのにタフなテント、ゼインアーツのヤール2を紹介しました。見た目のおしゃれ感だけでなく、機能性や快適性も高いので本格的な山行にもぴったり。パーツごとに直せるため、育てるテントとして長く愛用したいですね。

yuki

ライター

yuki

幼少期からキャンプや釣り、スキーなどを楽しむアウトドアファミリーで育つ。10代後半は1人旅にハマりヨーロッパや北米を中心としたトラベラー期となる。現在もスキー、スノーボード、ダイビングなど海や山で活動中。「愛する登山」は低山から厳冬期の雪山まで季節問わず楽しむhike&snowrideなスタイル。お気に入りの山は立山連峰!Greenfield登山部/部長の任命を受け部活動と執筆活動に奮闘中。