ダイビングでコンタクトレンズを使用することは可能ですが、正しい知識と準備が必要です。水中での紛失や感染症のリスクを理解し、適切な対策を取ることで安全にダイビングを楽しめます。この記事では、コンタクト使用時の注意点から緊急時の対処法まで、ダイバーが知っておくべき重要な情報を詳しく解説します。

コンタクトでダイビングは「できる」

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「ダイビング中コンタクトしててもいいですか?」
筆者が講習生からよく受けた質問です。結論から言うと、コンタクトレンズを装着してダイビングすることは可能です。筆者は10年近くコンタクトでダイビングを楽しんでいます。

ダイビングマスクは顔にしっかりと密着するため、適切に装着すれば水が入ることはほとんどありません。そのため、通常の使用状況下では、コンタクトレンズが水に直接触れることは少ないのです。

ただし、「できる」ということと「安全にできる」ということは別問題です。水中という特殊な環境でコンタクトレンズを使用するには、陸上での使用とは異なるリスクや注意点があることを理解しておく必要があります。

裸眼で視力が低い人にとって、コンタクトレンズは水中の美しい世界をクリアに見るための重要なアイテムです。正しい知識を身につけることで、安心してダイビングを楽しむことができるでしょう。

知っておきたいリスクについて

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コンタクトレンズでのダイビングには、以下のようなリスクが伴います。

レンズの紛失

最も多いトラブルがレンズの紛失です。マスククリアや強い水流、マスクの脱着時にレンズが流れてしまう可能性があります。水中でレンズを探すことは現実的ではなく、視界が急激に悪化するため安全性に影響します。

感染症のリスク

海水や淡水には様々な細菌や微生物が存在します。マスクに少量でも水が入った場合、これらの病原体がレンズと眼球の間に入り込み、角膜炎や結膜炎などの感染症を引き起こす可能性があります。

レンズの変形や破損

水圧の変化や温度差により、レンズが変形したり破損したりする場合があります。特にハードコンタクトレンズは、急激な圧力変化で割れるリスクがあります。

コンタクトで安全にダイビングをする5つの鉄則

コンタクトレンズ

1.使い捨てレンズを選ぶ
ダイビング時は必ず1日使い捨てタイプのソフトコンタクトレンズを使用しましょう。紛失しても経済的負担が少なく、衛生面でも安心です。ハードレンズは破損リスクが高いため避けてください。

2.予備レンズを必ず持参
ダイビング前に予備のレンズを用意し、すぐに取り出せる場所に保管しておきます。船上やビーチに予備を置いておけば、レンズを紛失しても次のダイブに支障をきたしません。

3.マスクフィットを入念にチェック
自分の顔にぴったり合うマスクを選び、装着前に必ずフィット感を確認してください。隙間があると水が入りやすくなり、レンズ紛失のリスクが高まります。

4.マスククリアは慎重に
水中でマスクに水が入った場合のマスククリアは、通常よりもゆっくりと慎重に行います。勢いよく息を吐くとレンズが流れてしまう可能性があります。

5.目を閉じてマスクを外す
水面でマスクを外す際は、目を閉じた状態で行います。これにより、レンズが水に触れるリスクを最小限に抑えることができます。

水中でのトラブル対処法

水中

レンズが紛失した場合

まず冷静になることが最も重要です。パニックを起こさず、バディに状況を伝えましょう。片目だけの紛失であれば、残った方の目で最低限の視界は確保できます。安全にダイビングを終了し、予備レンズに交換してください。

マスクに水が入った場合

目を軽く閉じ、ゆっくりとマスククリアを行います。強く息を吐きすぎないよう注意し、慎重に水を排出してください。

目に違和感を感じた場合

目の痛みや異物感を感じたら、無理をせずダイビングを中止しましょう。水中でレンズを外すのは危険なため、安全に浮上してから対処します。

レンズがずれた場合

水中でレンズの位置を直すのは困難です。無理に触ろうとせず、バディに伝えダイビングを終えた後、水面で調整してください。

筆者の経験談

水中でゲスト(ツアー参加者)に強く引っ張られ、よく見るとゲストのコンタクトがズレているのがわかりました(サークルレンズだったためズレが見えた)。濁りで視界が悪かったため怖かったようで、水面に出るまでずっとしがみつかれていて、残圧の減りもかなり早かったです。事前に何かあれば必ず私に合図してと伝えていたため幸い無事でしたが、もしコミュニケーションがとれていなければ急浮上などパニック行動を起こす可能性がありました。

緊急時は一人で対処しようとせず、必ずバディやガイドに助けを求めることが大切です。また、不安な場合はコンタクトを着用している旨を事前にバディやガイドに伝えましょう。

それでも不安という人へ

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コンタクトレンズでのダイビングに不安を感じる人には、以下の代替案があります。

度付きマスクの使用

最も安全で確実な方法です。自分の視力に合わせた度付きレンズをマスクに装着すれば、コンタクトレンズなしでもクリアな視界を確保できます。初期費用はかかりますが、長期的には経済的です。

なお、既存のマスクに度付きレンズを後付けすることも可能です。左右で度数が異なる場合にも対応できます。度付きマスクのレンタルがあるダイビングサービスもありますが、合わない可能性が高くおすすめはできません。合うものがあればラッキーという程度の期待感にしましょう。

まずは浅場で練習

どうしてもコンタクトレンズを使用したい場合は、まずプールや浅い海域で十分に練習してから深場でのダイビングに挑戦してください。

不安がある状態でのダイビングは危険です。自分に最適な方法を見つけて、安心してダイビングを楽しめる環境を整えましょう。

コンタクトレンズでのダイビングは可能ですが、紛失や感染症などのリスクがあります。使い捨てレンズの使用、予備の準備、適切なマスクフィットなど、5つの鉄則を守ることで安全性を高められます。不安な方は度付きマスクなどの代替案も検討しましょう。正しい知識と準備で、安心して海の世界を楽しんでください。

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ライター

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マリンスポーツのジャンルを得意としたwebライター。海遊びの楽しみ方やコツを初心者にも伝わるよう日々執筆活動中。スキューバダイビング歴約20年、マリンスポーツ専門量販店にて約13年勤務。海とお酒と九州を愛する博多女です。