スイスでは、ハイキングや街歩きが定番。それが進化した新感覚アクティビティが「Foxtrail(フォックストレイル)」です。謎解き×宝探し×自然という、スイス発祥の体験型ゲーム。定番スタイルにちょっとした「冒険」要素を加えるだけで、家族や仲間の旅が何倍も楽しくなるのがFoxtrailの魅力です。今回は、実際に家族で参加した2つのコースの様子を交えながら、遊び方を紹介します。
Foxtrail(フォックストレイル)とは?
Foxtrail(フォックストレイル)は、スイス各地で楽しめる屋外型のアドベンチャーアクティビティです。謎解き・宝探し・街歩きを融合させたユニークな内容で、観光の新しいスタイルとして人気を集めています。
舞台となるのは、都市部の歴史ある街並み、湖畔やアルプスの大自然、ときには歴史ある中世のお城など、さまざま。スイス国内には約50以上のコースがあり、地元の人々や観光客の週末のレジャーやファミリーアクティビティとして親しまれています。
フォックストレイルの魅力のひとつは、しかけの多彩さ。街角の看板や郵便受け、公園の遊具や橋の下など、何気ない風景の中に謎やヒントが巧みに隠されています。なかには、装置を操作したり、鏡・音・光を使ったりのトリックもあり、大人も思わず夢中になってしまうほどです。
Foxtrailの参加方法
フォックストレイルへの参加方法はとても簡単。公式サイトから行きたいコースと日時を選んで予約し、メールで届くチケットとスタート情報を確認すればOK。
所要時間はコースによりますが、多くは2〜4時間程度で完結します。スタート地点でスマホを使ってゲームスタート。チーム単位(2〜7人程度が理想)で協力しながら次々に現れるミッションを解いていきます。
ミッションには、視覚的観察や、しかけを動かす体験型のものなどがあります。たとえば、街のベンチに彫られた文字列の一部を組み合わせて暗号を解いたり、標識の文字を読み取ってキーワードを完成させたり、見逃さないような観察力も必要になります。
ほかにも、装置のレバーを引くと隠れていたヒントが現れたり、郵便ポストの中にある鏡を使って逆さの文字を読んだり、バラエティ豊富です。答えが見つからない場合は、サポートセンターに電話してヒントをもらうこともできるので、先に進めなくなる心配はありません。
持ちものは、スマートフォンと歩きやすい服装・靴があれば十分。コースによっては雨天でも開催されるので、天気予報をチェックしながらレインウェアなどを用意すると安心です。
フォックストレイルは、観光だけでは味わえない発見と、参加型の楽しさを感じられるアクティビティ。子ども大人も一緒に頭をひねり、寄り道しながら、いつもとは違うスイスの景色を楽しめます。
いざ体験!Foxtrail(フォックストレイル)2つのコース
チューリッヒに住む筆者が、実際に家族で体験した2つのコース「Foxtrail Gaia Zurich City(ガイアチューリッヒシティ)」と「Foxtrail Schloss Wildegg(ウィルデック城)」を紹介します。
街が丸ごと宝の地図!チューリッヒコース
最初に挑戦したのは、「Foxtrail Gaia Zurich City」というコース。賑やかなチューリッヒ市内から電車でわずか5分ほど離れた街、アルトシュテッテンがスタート地点です。
リマト川沿いの遊歩道を通り、住宅街や自然が混在するHöngg(ヘング)へ向かいます。カラフルなコンテナ地区を通り抜けて進むコースでは、見たことのない新しいチューリッヒの魅力を再発見できました。
印象的だったのは、謎解きのバリエーションです。「駐輪場の空気入れがカギ」、あるいは「古い券売機にコードが隠されている」といった、一見なんの変哲もない街の風景に仕掛けが隠されていて、「これかも!」「違うかな?」と試行錯誤。自然と家族の会話も弾みました。
チューリッヒのテーマは「ガイヤ(地球)」。あるポイントでは水や再生可能エネルギーに関するヒントが隠され、水力発電や自然資源に関するメッセージやクエスチョンが。こうした人と環境の繋がりを考えさせられるしかけは、ただ正解を探すだけではなく、「私たちはどう行動すべきか?」という視点も育ててくれます。
私も息子も、普段の生活では気がつかないようなことに、興味を持つきっかけにもなりました。所要時間は2.5~3.5時間ほどで、このように遊びながらも環境について考えられるしかけが散りばめられているのが、このGaiaコースの魅力です。
森と古城を巡る冒険!ウィルデック城コース
次に挑戦したのは、自然と歴史が融合した「Foxtrail Schloss Wildegg」。アールガウ州のウィルデッグ駅から出発し、ゴール地点になっている丘の上の古城を目指します。
最初のヒントは駅のキオスクにあるはず!と探し始めたのですが、これがなかなか見つからない。ついにギブアップして、サポートセンターに電話。するとすぐにヒントをもらえて無事にスタートできました。こうしたサポート体制がしっかりしているのも、安心できるポイントです。
村を歩きながら、橋の下や標識の裏などにしかけられたヒントを次々と発見!とくに印象的だったのは、吊り下げられた石の裏に書かれた謎解きです。息子は「本物の冒険みたい」と目をキラキラさせていました。
古城に近づくと、鏡越しに見えるしかけや回転する文字盤など、ゲームのようなしかけに大人も子どもも夢中になってしまいました。
ウィルデック城に到着すると、美しいフラワーガーデンがお出迎え。コースには制限時間がなく、途中でお茶をしたり、庭を散策したりと、のんびりと進められるのもフォックストレイルの楽しいところです。
古城では、中にも謎解きのしかけがたくさんあり、散策しながら謎を解いていきます。コース全体の所要時間は、2〜3時間ほど。ちょうどよい運動量と集中力で、子ども連れの1日アクティビティにピッタリでした。
Foxtrail(フォックストレイル)に参加してみて
フォックストレイルの最大の魅力は、特別な道具や準備がなくても、誰でも冒険の主人公になれること。いつもは見逃してしまう街角の風景が、ヒントを探す目で見ると、急にキラキラ輝き出します。
とくに現代の子どもたちは、どうしてもスマホや電子ゲームに夢中になりがちです。自然や街を舞台にリアルな冒険を体験できる時間は、とても貴重だと感じました。
フォックストレイルでは、一人ひとりが歩き、探し、見つけて、考えます。それに加えて、チームで話しあい、笑いあい、協力して思い出がどんどん積み重なっていきます。とても心に残る、最高の家族時間になったことは間違いなさそうです。
ライター
アルパガウス 真樹
スイス在住の40代主婦。息子とスイスの自然を楽しみながら、さまざまなアクティビティに挑戦。夏は森の中でのBBQやハイキング。海のないスイスでは、湖水浴が定番なので、夏季は湖沿いで過ごしたりSUPを楽しんだりしています。現地からスイスの自然との触れ合いをお届けします。