スノーピークのタープ型シェルター「ランドステーション」は、多彩な張り方とフォルムの美しさ、洗練された機能で人気です。今回は青空と芝生がきれいな高原のキャンプ場で、筆者が実際にさまざまな形で張ってみました。設営のポイントも説明しますので、ぜひ参考にしてみてください。
自由自在にアレンジして、風と陽光を楽しめる
最近のキャンプシーンではドーム型シェルターやワンポールテントを見る機会が多いように感じます。そのため、大型のツーポールシェルターは広いキャンプ場のなかでも目をひきますね。
名作ツーポールシェルターといえば、廃盤となったMSR「パビリオン」やOGAWA「ツインピルツフォーク」、ゼインアーツ「GIGI-2」などが挙げられるでしょう。こうしたツーポールシェルターを使用しているキャンパーは、他のギアもこだわりをもって揃えている印象があります。
では、スノーピークのランドステーションにはどのような特徴があるのか、紹介します。
ランドステーションの屋根は四角形
※図解は現在販売されているランドステーションM Pro.air(TP-815)参照
※本記事はランドステーションM PC[FES-805](2020秋雪峰祭限定品)を使用
ランドステーションはクローズ状態だと2ポールで支えているように見えるかもしれません。しかし、実は標準の張り方では、メインポール(210mm×2本)とサブポール(140mm×2本)の4本のポールで支えられています。
上から見ると4本のポールの間の屋根部分が四角形になっています。その四角形がゆったりとくつろげる広々としたリビングスペースをつくり、多彩なアレンジを可能にするのです。
多面体が織りなす美しいフォルム
まずはフルクローズ状態で、しっかりと設営します。遠目に見ると多面体がいくつもつながって、流線形のようにも見えますが、その構造が風をスムーズに受け流してくれます。
次に、前後2か所・左右4か所のウィンドウのスライダー(ファスナー)を開けて巻き上げます。プライベート感を確保しながら、入ってくる光と風を楽しむことができますよ。そして、陽のかたむきを考えて前面の跳ね上げ高さや向きを調節して、タープとしての機能を使ってみましょう。
スライダーを開けてオープン状態にすれば、風を外から取り込めます。クローズ状態では強い風を一面で受けないようなつくり。アレンジ次第で風と陽光を楽しめるのが、ランドステーションの最大の魅力であり、特徴だと筆者は思います。
ランドステーションは耐風性が高いとはいえ、長めのペグをしっかりと打ち込み、固定してください。メイン及びサブポールガイラインのペグはソリッドステーク40(スノーピーク)以上を使うなど、長尺の鍛造(たんぞう)ペグを使用することをおすすめします。その他ゴムループも30cm以上のペグの使用が理想的です。
ランドステーションをきれいにたるみがなく張ることは、見た目だけではなく、風をしっかり受け流すためにも重要なポイントです。気象状況によってはどんなテントやシェルターでも危険はありますので、適切な判断をしてキャンプを楽しみましょう。
多彩なバリエーションを楽しむ
ここからは、ランドステーションで楽しめる張り方のバリエーションを紹介します。風向きと陽のかたむきも考慮してアレンジを加え、ランドステーションを攻略していきます。
クローズ型
クローズの状態がきれいに張れないと、バリエーションもうまくいきません。メイン・サブのガイラインは屋根の正方形の角に対して90度になるようにペグを打ってください。
ポールのガイラインをペグダウンしたら、裾部分のゴムループを張っていきます。うまく張れると、裾部分が地面から10cmくらい隙間が空いた状態になります。
なお、ランドステーションにはスカートはついていません。そのため、風が肌寒いときは通常210cm(70cm×3本)のポールの1本を60cmに替えて200cmにすると、ほぼ裾が閉じた状態にできますよ。しかし、筆者の個人的な好みですが、210cmのポールを使うのが一番カッコよく張れると思います。
クローズオープン型
前後2か所、左右4か所のスライダーを開け、巻いてトグル(巻き上げとめ具)で留めます。プライベート感を確保しつつ、景観と明るさを楽しめるのが魅力です。このとき、裾のゴムループは巻き上げ側を外せるようにしておきます。
ポールを使ったタープバリエーション
サブポールに70cm×2本をたして280cmで中央をはね上げます。上の写真の、赤いポールが280cmにしたサブポールです。赤いポールの左右にあるポールは、アメニティドームのアップライトポール(150cm)を使っています。
中央部分が三角に割れるので、その端の2か所から中央に二股ガイラインを張ってペグダウンします。メインポールをやや前に傾けてペグダウンすることで安定しますよ。
もしポールがあれば、後方側のはね上げも試してみてください。ポールが足りない場合でもゴムループにガイラインをたしてペグの位置を外に拡げれば、幕内の明るさをアップできます。
ゴムループはなるべくピンと張るほうが幕がきれいに展開しますが、強い張力がかかっていると、ペグがはねて思わぬケガにつながる可能性もあります。
まず、打つ場所をきめて、先にペグを頭を手前にななめに打ちこみましょう。ゴムループをかけて抜けないことを確認して、さらにしっかり打ち込んでください。
登山用テントをインナーとして設置
高原サイトの夜は夏でも冷えるので、今回は登山用の軽量テント「ファル Pro.air2」(スノーピーク)をインナーに使いました。芝生がフカフカで乾燥しているサイトであれば、グランドシートをひかずに設置しても大丈夫です。
ファル Pro.air2のインナーはランドステーションのサイド部分にすっぽり入りますが、設営に慣れないとスリーブグロメット(フレームを入れる穴)になかなかフレームの端が入りません。使用する前に練習をしておくのがよいと思います。
ランドステーションはタープ&テントやドームシェルターに比べ、設営も容易で、好みのバリエーションで遊べるシェルターです。とくに今回紹介したような芝生と青空が美しい環境では、そのフォルムが映えることは間違いありません。その構造と特徴をつかんで、きれいに安全に設営してみてください。設営に不安がある方は、スノーピークのスターターキャンプなどに参加すれば、設営のコツを丁寧に教えてもらえるのでおすすめです。
ライター
Maita
アウトドア大好きなフリーランスのフードコーディネーター(FCAJ認定/1級)&Webデザイナー。こだわって作った『つくりおき料理』で楽しいキャンプ飯を考案。また、日本各地の固定種・在来種の食材を使った料理を手掛け、地域の食文化の継承を模索している。一人でも家族でも仲間でも楽しめる、そして地球にやさしいレシピを提案していく。