雪国を中心に人気のファットバイクとは
ファットバイクとは、ビーチクルーザーをベースに、太いタイヤを装備したオフロードバイクのことです。
多くのモデルではサスペンションこそ装備していませんが、自転車のジャンルとしてはマウンテンバイクに含まれ、主にマウンテンバイクに精通するメーカーが開発を進めています。
もともとは、雪国のサイクリストが冬季も乗れる自転車を目指して、ビーチクルーザーのフレームを改造し、いくつかのタイヤを貼り合わせて自作した太いタイヤを装備した自作自転車が起源と言われています。
2005年に世界初の市販ファットバイクであるSURLY社の「Pugsley」が登場してから、オフロードバイクが盛んなアメリカやカナダなど北米を中心に人気沸騰中で、第二のオフロードバイクとして確立されつつあります。
近年、そのブームが最近日本にも流れてきています。
日本では、これまでの自転車になかった独特なルックスから人気がありますが、ファットバイクのスタイルは高い走破性を備えた機能美が魅力なのです。
太いタイヤによるサスペンション効果
通常のマウンテンバイクは、フロントフォークやテール部分に装備したサスペンションによって衝撃を吸収し、オフロード走行を可能にしています。
一方、ファットバイクの場合、太さのあるタイヤを装備することでタイヤの中の空気がクッションとなって衝撃を吸収し、サスペンションの代わりになっています。
通常のマウンテンバイクでは、太さ1.95~2.25インチが主流ですが、ファットバイクではタイヤ径こそ小さいものの、太さ3.7インチ以上、太いもので4.8インチとかなり太いタイヤを装備しています。
マウンテンバイクレースの醍醐味でもあるジャンプや、高い段差のあるダウンヒルこそ苦手なものの、砂利道など細かな凹凸のある路面への順応性では、サスペンションより高い効果を発揮します。
また、エアボリュームの多いタイヤはパンクの可能性が下がるため、普段の足として使用する場合のメリットもあります。
タイヤのエアボリュームによるサスペンション効果は非常に高く、最近マウンテンバイクにも逆輸入されています。
27.5+規格のように、通常のマウンテンバイクより太いタイヤを装備した「セミファット」と呼ばれるモデルが登場し、クロスカントリーなどマウンテンバイク競技でもよく見られるようになりました。
また、近年ロードバイクにおいても、クッション性はもちろん、耐パンク性能やスリップ性能から、太い25c以上のタイヤを標準装備する風潮が広まっています。
ファットバイクほど太いタイヤだとスピードこそ出ませんが、このようにエアボリュームによるサスペンション効果は自転車業界全体から注目を集めています。
路面状況を選ばない順応性
マウンテンバイクも悪路への順応性は高いですが、競技用自転車としての性能を重視して設計・開発されているので、レースで想定される路面状況を速く走る前提とした走行性能を求められています。
ファットバイクはタイヤが太く、かつ径が小さいためマウンテンバイクのようにスピードを出して走るのは苦手ですが、悪路の走破性においてはどんなマウンテンバイクにも負けない性能を有しています。
- 砂地
- 緩いぬかるみ
- 雪道
これらの路面状況ではマウンテンバイクはスタックしてしまい、ペダルを漕いで走ることは困難です。
ファットバイクは接地面積が広いため、こういった柔らかい路面でもタイヤが埋まりにくく走行が可能です。
タイヤパターンもそれぞれに適合するものが発売されているので、カスタマイズによりさらに走行性能を上げることもできます。
トップスピードを犠牲にしているため競技は不向きですが、このメリットを生かして海外ではアウトドアの足としても活用されています。
日本では神奈川県大和市消防本部に、災害時の足としてファットバイクが配備されるなど、今後ファットバイクは幅広い分野で活躍することが期待されています。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。