自然豊かな農村で、ゆったりと過ごせる「アグリツーリズム」をご存じですか。地域を元気にする方法としても、注目を集めている観光スタイルです。日本や海外の成功事例を紹介しながら、アグリツーリズムの特徴や魅力をお伝えします。
アグリツーリズムとは?
アグリツーリズムとは「アグリカルチャー(農業)」と「ツーリズム(旅行)」を組み合わせた言葉。農村に滞在し、農業体験や人々との交流を楽しむ観光スタイルのことを意味します。
もともとはヨーロッパが発祥の地ですが、現在は世界各地に広まっていますよ。農作物の収穫体験や郷土料理作り、農家でのホームステイなど、その地域でしか体験できないことを楽しめるのが魅力です。スローライフを楽しみたい人々や、外国人観光客からも、人気を集めています。
アグリツーリズムはなぜ注目されているの?
アグリツーリズムが、注目を集めている理由を紹介します。
地域の活性化につながる
アグリツーリズムを通して多くの観光客を呼び込むことで、地域の活性化が期待できます。また、実際に行われている農業を観光資源として利用することは、地元の農産物の知名度向上にもつながりますよね。
地域の資源や文化を自然な形で活用できることも、アグリツーリズムが広がり続けている理由といえます。
農林水産省が推奨している
アグリツーリズムの拡大には、農林水産省の積極的な推奨も関係しています。
1994年に制定された「農山漁村余暇法」によって、農家民宿やレストランなどの整備にかかる費用が援助されるようになりました。環境を整えやすくなったことで、アグリツーリズムは全国各地に広がりをみせています。
海外のアグリツーリズムの成功事例
ヨーロッパで生まれたアグリツーリズムですが、今では世界中に普及しています。海外のアグリツーリズムの成功事例を、ピックアップして紹介しましょう。
トスカーナ地方/イタリア
イタリアでは、1965年に「アグリツーリスト協会」が発足。「アグリツーリズモ」の名称で、広く親しまれてきました。
なかでも、オーガニックワインやオリーブオイルの生産地として知られるトスカーナ地方は、のんびりとした田舎体験が味わえることで有名です。
収穫体験や家庭料理作り、牧草地に暮らす動物とのふれあいなど、魅力的なアクティビティがそろっています。フィレンツェやシチリア観光とセットになったツアーも人気ですよ。
チェンマイ/タイ
タイ北部に位置するチェンマイへは、首都バンコクから飛行機で約1時間。都会の喧騒から離れ、大自然を満喫できる人気のエリアです。
チェンマイでは、オーガニックのお米やコーヒー豆、野菜が盛んに栽培されています。山岳地帯の農村で、農業体験や人々との交流を楽しむ貴重な体験ができますよ。
日本のアグリツーリズムの成功事例
日本でも、アグリツーリズムが行われている地域があります。ここでは、日本のアグリツーリズムの事例を3つ紹介しますね。
長沼町/北海道
北海道の中心部に位置する長沼町は、広大な田畑が広がる農業が盛んな地域です。札幌からでも、日帰りで気軽に農業体験が楽しめます。北海道の雄大な自然を眺めながら、ジンギスカンを味わえるファームレストランも人気です。
1泊2日のファームステイ(農家民宿)で、1万円以下のリーズナブルな料金になるのもうれしいところ。手軽に農家ステイを楽しみたい方におすすめですよ。
飯田市/長野県
長野県の北東部に位置する飯田市は、かつてスキー観光が盛んな地域でした。しかし、1990年代頃から、スキーブームが落ち着いたこともあって観光客は減少。新たな観光資源として、アグリツーリズムが取り入れられました。
現在では森林でのトレッキングやカヌー、蕎麦打ちやわら細工など、160以上のアクティビティが楽しめます。
飯田市では、豊かな自然環境と伝統文化を生かし、積極的な情報発信が進められてきました。日本の代表的なアグリツーリズムの成功事例といえます。
出典:南信州観光公社
星野リゾート・リゾナーレ那須/栃木県
最後にご紹介するのは、日本初のアグリツーリズムを楽しめるリゾート施設です。栃木県の北部、那須岳の麓に、東京ドーム3個分の広大な敷地が広がっています。
豊かな自然に囲まれたリゾナーレ那須では、農業体験やワークショップ、農園で取れた旬の野菜を使った料理が楽しめますよ。
ゆっくりと休日を過ごしたい方や、子どもの食育の一環として農業体験をしたい方など、幅広い層から人気を集めています。
ライター
AYA
静岡県出身。海と山に囲まれた自然豊かな環境で育ち、結婚後に、タイ・バンコクへ移住。病気がきっかけで、ヴィーガンのライフスタイルに目覚める。現在は、2児の母として子育てに奮闘しながら、人と環境にやさしいサステナブルな暮らしを実践中。自身の経験をもとに、ヴィーガン、環境問題、SDGsについて情報を発信している。