栗駒はどんな山?
雪解け時期に駒(馬)の雪形がよく見られることと、栗原(宮城の地名)から「栗駒山」と呼ばれています。登山道や高層湿原では多種多様な高山植物が見られ、「花の百名山」の一つに数えられています。
夏季にはミヤマキンバイや高嶺桜、雛桜の群生など、見所がたくさん。秋にはナナカマドやブナ、カエデ類の色鮮やかな紅葉が楽しめます。
山頂は360°の展望。月山鳥海山、蔵王連峰などの東北の山々が一望できます。
山名 | 栗駒山 |
標高 | 1,626m |
場所 | 宮城・岩手・秋田県にまたがる |
登山ルート | 9ルート |
栗駒山の登山コース
栗駒山への登山ルートは9つ。初心者から上級者まで、幅広く楽しめるルートがあります。
宮城県側
①東栗駒コース
②中央コース
③表掛(御沢)コース
④裏掛(新湯)コース
⑤湯浜コース
⑥大地森コース
岩手県側
⑦須川温泉コース
※火山ガス発生のため、令和4年5月現在通行禁止
⑧自然観察路(産沼コース)
秋田県側
⑨天馬尾根コース
以下に登山ルートの概要を記します。
①東栗駒コース
コース名 | 東栗駒コース |
登山口 | いわかがみ平 |
登山口の標高 | 約1,113m |
標高差 | 約513m |
累積標高差 | 約536m |
歩行距離 | 約3.7km |
歩行時間 | 約120分(下り90分) |
備考 | 初心者~中級者向け 徒渉あり |
東栗駒コースの見どころは新湯沢の徒渉と東栗駒からの稜線歩き。沢のせせらぎを間近で聴きながら新湯沢を100mほど登っていきます。
そして東栗駒山に着くと、視界がひらけ展望のよい稜線歩きが楽しめます。徒渉点(川などを歩いて渡るところ)があるので、雨天の次の日は沢の増水に注意が必要です。
②中央コース
コース名 | 中央コース |
登山口 | いわかがみ平 |
登山口の標高 | 約1,113m |
標高差 | 約513m |
累積標高差 | 約517m |
歩行距離 | 約2.9km |
歩行時間 | 約90分(下り70分) |
備考 | 初心者向け |
中央コースは石畳や丸太などが登山道に敷いてあり、整備されているコースです。危険箇所も少ないので、初めて登る方は中央コースを利用するとよいでしょう。
また頂上から下りの展望もよいため、下山ルートとして使うのもおすすめです。
③表掛(御沢)コース
コース名 | 表掛(御沢)コース |
登山口 | 旧いこいの村跡地 |
登山口の標高 | 約800m |
標高差 | 約826m |
累積標高差 | 約870m |
歩行距離 | 約7.3km |
歩行時間 | 約315分(下り275分) |
備考 | 中~上級者向け 沢登り箇所あり 下山ルートとしては適さない |
表掛コースは約1.5キロの沢登り、広大なお花畑、そして盛夏まで残る雪渓と変化に富んだコースです。
まさに栗駒山の魅力を凝縮したコースと言えるでしょう。沢登りや雪渓歩きの登山技術が必要になるので、中~上級者向けのコースです。
④裏掛(新湯)コース
コース名 | 裏掛(新湯)コース |
登山口 | 旧いこいの村跡地 |
登山口の標高 | 約820m |
標高差 | 約806m |
累積標高差 | 約850m |
歩行距離 | 約5.4km |
歩行時間 | 約240分(下り160分) |
備考 | 中級者向け 9月ごろまで雪渓が残る 徒渉あり |
栗駒山でもっとも遅くまで雪が残り、原始性にあふれた静かな山歩きが楽しめるコース。
夏でも雪が多く残り、山頂前では雪渓歩きが必要になります。雪解け後は湿性の花が多く咲き、磐井川源流付近では雛桜の群生が見られます。
コースの中間あたりには、地震の影響で起きた土石流の爪あとがある。
⑤湯浜コース
コース名 | 湯浜コース |
登山口 | 国道398号湯浜温泉入口 |
登山口の標高 | 約670m |
標高差 | 約956m |
累積標高差 | 約1,081m |
歩行距離 | 約8.8km |
歩行時間 | 約250分(下り210分) |
備考 | 中級者向け 徒渉あり |
美しい渓流と南奥羽の展望を楽しめる穴場コース。
一迫川や湯浜の上滝など、渓流を楽しみながら歩けます。またコース後半では展望がひらけ、蔵王連峰・朝日連峰・月山・鳥海山など南奥羽の山々を見渡せます。
難所はありませんが、歩行距離・時間が少し長いので体力が必要になります。
⑥大地森コース
コース名 | 大地森コース |
登山口 | 世界谷地駐車場 |
登山口の標高 | 約650m |
標高差 | 約976m |
累積標高差 | 約1,000m |
歩行距離 | 約9.0km |
歩行時間 | 約260分(下り205分) |
備考 | 中級者向け 大地森付近のクマに注意 |
花の名所をめぐるコース。登山口付近の世界谷地は、6月ごろに咲くニッコウキスゲの大群生が有名。
表掛分岐付近の御室も高山植物の宝庫。イワカガミやミズバショウ、コバイケイソウなど春~秋の花が同時に見られます。
大地森付近ではよくクマのこんせきが見つかるので、クマの遭遇に注意しましょう。
⑦須川温泉コース
コース名 | 須川温泉コース |
登山口 | 須川高原温泉 |
登山口の標高 | 約1,120m |
標高差 | 約506m |
累積標高差 | 約562m |
歩行距離 | 約3.7km |
歩行時間 | 約90分(下り70分) |
備考 | 初心者向け 徒渉あり 通行禁止エリアあり |
名残ヶ原の花畑と、神秘的な湖面を映す昭和湖が魅力のコース。
名残ヶ原にはコイワカガミやキンコウカの群生が見られます。昭和湖には剣岳が映り、神秘的な湖面が見られます。
昭和湖付近で高濃度の火山ガスが検出されたため、令和4年5月現在では一部通行禁止になっています。
岩手県 – 栗駒山須川コースの一部立入禁止のお知らせ(継続) (pref.iwate.jp)
⑧自然観察路(産沼コース)
コース名 | 自然観察路(産沼コース) |
登山口 | 須川高原温泉 |
登山口の標高 | 約1,120m |
標高差 | 約506m |
累積標高差 | 約530m |
歩行距離 | 約4.1km |
歩行時間 | 約120分(下り105分) |
備考 | 初心者向け |
須川温泉登山口から名残ヶ原へ進み、産沼方面から栗駒山山頂を目指すコース。
名残ヶ原分岐~産沼まではゴツゴツした岩場が多いですが、産沼~栗駒山山頂までは比較的ゆるやかな道が続きます。
⑨天馬尾根コース
コース名 | 天馬尾根コース |
登山口 | 秋田県道282号天馬尾根登山口 |
登山口の標高 | 約1,020m |
標高差 | 約606m |
累積標高差 | 約783m |
歩行距離 | 約5.8km |
歩行時間 | 約185分(下り150分) |
備考 | 初心者~中級者向け |
須川湖付近の登山口から秣岳(まぐさだけ)を駆ける縦走コース。
しろがね草原の雄大な景色と、草原に咲き誇る高山植物が魅力。新緑の草原、秋の黄金色に染まった草原、どちらも幻想的な景色を楽しめます。
人気のある定番のコース【東栗駒~中央周回コース】
9つある登山コースのなかでも、人気のある「東栗駒~中央周回コース」をご紹介します。
コース名 | 行:東栗駒コース 帰:中央コース |
登山口 | いわかがみ平 |
登山口の標高 | 約1,113m |
標高差 | 約506m |
累積標高差 | 約536m |
歩行距離 | 約6.6km |
歩行時間 | 約190分 |
備考 | 初心者向け |
いわかがみ平
いわかがみ平からスタート。
駐車場からレストハウスの横を通り、東栗駒コースへ進んでいきます。
※紅葉シーズン時はいこいの村栗駒跡地臨時駐車場~いわかがみ平までシャトルバスが運行しています。
東栗駒コース
東栗駒コースのはじめは岩場が多く、雨でぬかるんでいることがあります。転倒に注意して登っていきましょう。
東栗駒コースを進んでいくと徒渉点に着きます。沢の脇を通って登っていきます。増水時は通れなくなるので注意しましょう。
東栗駒山 山頂
徒渉を終えて、さらに登っていくと東栗駒山へ着きます。東栗駒山から、栗駒山の稜線がキレイに見えます。
栗駒山頂前までは比較的なだらかな道。景色を楽しみながら稜線歩きをします。
栗駒山 山頂
山頂前は傾斜のある階段道が続きます。
きつい階段を登りきると山頂に到着。
山頂は360°の展望。月山や鳥海山、岩手山などの東北の山々が見渡せます。
中央コース
頂上の景色を楽しんだら、下山は中央コースを使います。来た道の階段を下り、東栗駒への分岐をまっすぐ進みます。
階段を降りて振り返ると、栗駒山の山容がキレイに見えます。
さらに下っていくと、石畳の登山道にでます。中央コースはとても整備されているので歩きやすいです。
まっすぐ下っていくと、いわかがみ平の登山口に着きます。
おすすめの登山時期
おすすめの登山時期を紹介します。
①5月下旬~7月上旬
雛桜やミヤマキンバイなどの高山植物が見られます。
※残雪があるので、軽アイゼンを携帯しましょう。
②9月下旬~10月上旬
紅葉シーズン。
栗駒山の紅葉は「神の絨毯」と呼ばれるほど美しい光景が見られます。
いわかがみ平登山口へのアクセス方法
- 車
最寄りIC:若柳金成IC
若柳金成IC~いわかがみ平ICまでは約40キロ、車で約1時間。 - 電車、バス
最寄り駅:東北新幹線栗駒高原駅
栗駒高原駅からいわかがみ平まで、バスで約70分。
バス料金(片道):1,600円
※バスは期間限定の運行
ニッコウキスゲの見頃時期や、紅葉時期に期間限定で運行されるようです。
2022年度の運行はまだ未定。
宮城交通 (miyakou.co.jp)
※この記事の情報は内容が変更する場合もありますので、最新の情報はリンク先のHPで確認してください。
栗駒山の登山情報を解説しました。栗駒山の登山ルートは9つありますが、人気のある定番のコースは「東栗駒~中央周回コース」です。登山時期は紅葉が見れる秋がおすすめです。「神の絨毯」と呼ばれる栗駒山の紅葉を見に、ぜひ一度訪れてみてくださいね。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。