楽しいアウトドアに潜むキケン
キャンプやハイキングなど、誰でも気軽にアウトドアを楽しんでいる昨今。特に好奇心旺盛な子どもにとっては、すべてがワクワクする場所なので、大人の知らないところで、さまざまな植物にふれていることも珍しくありません。
特に肌の露出が増える春や夏といった季節は、半そでや短パン姿で森の中を探検したり、散歩したりすることも多く、さわったつもりがなくても植物にふれていることがあります。
植物かぶれってどんなもの?
アウトドア活動で起こりやすい植物かぶれというのは、特定の植物にふれたことが原因で起こる皮膚症状のことをいいます。たとえば、肌が赤くなったり、はれやかゆみが起こったりといった症状が起こります。
植物かぶれは強いかぶれ成分が原因で起こるので、誰でもかかるものですが、特定の植物にアレルギーを持っている人などは、ほかの人がかぶれをおこさない植物でもかぶれることがあるので注意が必要です。
また、植物かぶれは肌の弱い子どもや大人だと、植物に近づいただけで肌に症状が出ることもあるので厄介とされます。
植物かぶれの原因となる植物
ひとことで植物かぶれといっても、さまざまなパターンがあります。主なかぶれの原因は、「植物のトゲで痛みを感じる」「植物にふれてかぶれる」「植物の汁でかぶれる」などです。
植物かぶれは、植物の種類や肌の体質、アレルギーなどによって症状が出る人と出ない人もいますが、ここでは、代表的なかぶれの原因となる植物についてご紹介いたします。
ヤマウルシ
ヤマウルシは広く全国に生えている植物で、沖縄以外のほとんどの地域で見られます。ヤマウルシのかぶれ度数は低めですが、樹液に「ウルシオール」というかぶれ成分を含んでいるので、茎を折ったりしないようにしましょう。
ヤマウルシの特徴は、葉っぱがたくさんあって、茎が赤色になっていること。秋になると葉も真っ赤に染まって紅葉しますが、キレイだからといってさわらないように。
山や公園などで、ヤマウルシかどうかわからないけれども、茎の部分が赤くなっていたら、とりあえずさわらないでおくのがいいですね。
ツタウルシ
ツタウルシもほぼ全国どこにでも分布している植物で、ヤマウルシと同じかぶれ成分「ウルシオール」に加えて、「ラッコール」という成分も含んでいます。ツタウルシも樹液にふれるとかぶれることがあり、かぶれの強さはウルシ科の中でも高めです。
ツタウルシは、木に巻きついていたり、木のそばでひっそりと生えていたりすることが多い種類で、何気なくさわってしまいやすいので注意しましょう。ツタウルシも秋になるとキレイに紅葉します。
ヌルデ
ヌルデは全国に生息する植物で、茎の部分に羽のような葉がついているのが特徴。ほかのウルシ科の植物と比べ、ヌルデのかぶれ度数は低めですが、皮膚のうすい部分や樹液にふれるとかぶれることがあるので、さわらないことをおすすめします。
ヌルデは、慣れていないと見分けるのがむずかしいかもしれませんが、ポイントとして、ヤマウルシに近い形をしています。
イラクサ
イラクサは、沖縄以外の全国に分布している植物。かぶれる症状とは違って、葉についているトゲにさわると、肌に強烈な痛みを感じます。イラクサの葉は、ギザギザした見た目が特徴なので、慣れてくればすぐに見分けることができるようになりますよ。
イチョウ
公園や道路などによく植えられているイチョウは、かぶれの原因となることがあります。イチョウの実である銀杏は茶碗蒸しなどで食べることも多いですが、イチョウの実の外側にはウルシに近いかぶれ成分が含まれているのです。
そのため、さわり続けるとかぶれを引き起こす原因となることもあります。イチョウは正しくは植物ではなく、木の種類になりますが、日本各地で見ることができるので、知っておいて損はないでしょう。
ハゼノキ
ハゼノキもイチョウと同じく木の種類で、関東より西に分布しています。ウルシ科のハゼノキは、ツタウルシと同じくらいかぶれ度数が高いとされる樹木。
肌の弱い人が樹液にふれると高確率でかぶれるので、なるべく避けるようにするといいでしょう。ハゼノキの特徴は、一つ一つの葉が細くて、ヤマウルシやヌルデと似た形をしていることです。
植物かぶれの症状・対処法
アウトドアで起こる植物かぶれの症状は、顔、手、うで、首回り、胸などに出やすいとされます。
具体的なかぶれ症状としては、「肌が赤くなる」「ぶつぶつができる」「かゆみが出る」といったことがあり、場合によっては、ヒリヒリと痛んで、熱っぽくなることもあるようです。
植物かぶれの症状は、体内で化学反応が起こったときに引き起こされるので、2日くらい経ってから起こることもあります。また、かぶれがひどいと腫れることもあり、一度ウルシなどでかぶれを経験していると、2回目は重度の症状となることも。
そのため、かぶれの原因となる植物にふれてしまったときには、適切な対処が必要です。かぶれの原因となる植物にふれたときの対処法は、すぐに水で洗い流すことです。
氷や保冷剤などが近くにあれば、患部を冷やすことで、かゆみや熱をおさえられるでしょう。その後はできるだけ早く病院に行って、医師の診察を受けてください。
ほかに抗ヒスタミンを含むぬり薬もウルシなどの樹液に効果的ですが、心配な方は無理をせず、病院に行くことをおすすめします。