ダイブマスターはダイビングプロフェッショナルへの第1歩
将来はインストラクターになって、1人でも多くの人にダイビングの素晴らしさを伝えたいという目標を持っているダイバーも少なくないはず。
そして、インストラクターになるためにはダイブマスターの資格を取得することが最初のステップです。ここからは「教える側」としてのトレーニングが始まります。
ダイブマスターはプロフェショナルメンバーとして認定され、ダイビングサービスやリゾートで「水中ガイド」などの仕事ができるほか、ダイビング講習の際にインストラクターの補佐として仕事に就くことができます。
ダイブマスターの難易度は?
ダイブマスターを目指すに至るまでに、オープンウォータ―ダイバー、アドバンスオープンウォーターダイバー、レスキューダイバー、各種スペシャルティコースと、これまで数多くの講習を受けてきたはず。
これらの講習は「経験を積む」ことに大きなウエイトを占めていましたが、ダイブマスターコースでは明確な合格ラインが設定されていることが大きな違いです。
たとえば、デモンストレーションレベルの水中スキル評価、筆記テストや立ち泳ぎや水泳などの体力テストなど、すべての課題に合格しなければいけません。
合格ラインに満たない場合は何度でもチャレンジすることができますが、人によっては合格までに数か月以上もかかってしまったという人も少なくありません。
そのためダイブマスターに認定されるまでの期間にも個人差があり、これまでの講習と比べると難易度は格段に高くなるでしょう。
ダイブマスターの参加資格と費用
ダイビング指導団体PADIのダイブマスターコースを例に、参加条件や費用について見てみましょう。
- 参加資格:PADIレスキューダイバーまたは相当する資格を有すること。24か月以内にEFR(エマージェンシーファーストレスポンス)を修了していること。年齢:18歳以上
- 経験本数:40ダイブ以上の経験が証明できること
- 病歴診断書:12か月以内の医師による病歴診断書
また、コース費用はダイビングショップによって異なりますが10~15万というのが相場です。
ただし、ほとんどの場合、コース受講に必要となる教材や宿泊費や交通費などの費用モロモロが別途必要になるため、費用に何が含まれているのか事前に確認しておくことが大切です。
個人差もありますが、ダイブマスター認定までに最低でも30~50万円以上の費用がかかると考えておいた方が良いでしょう。
ダイブマスターの講習内容
ダイブマスターの講習は大きく分けて「知識開発」「水中スキル開発」「実践応用」の3つのパートから構成されています。
講習スケジュールは担当するインストラクターの判断となりますが、課題が非常に多いため「知識開発」と「水中スキル開発」を並行して行い、最後にダイビング現場でのインターンシップを含む「実践応用」となるでしょう。
それぞれのパートで学ぶポイントを見てみましょう。
ダイブマスター講習:知識開発
知識開発では、PADIプロフェッショナルメンバーとして必要になる、認定ダイバーの監督や生徒ダイバーのアシスト方法、ダイブマスターが実施できるプログラムなど全部で9つのトピックを学び、これまで習ってきたダイビングの物理や生理などの復習します。
基本的には教材を使っての自習がメインとなり、インストラクターと各トピックのナレッジリビュー(問題集)の答え合わせをしていきます。
すべてのトピックが修了したらファイナルエグザムという筆記テストがあります。全部で120問の問題があり75%以上の正解で合格になります。
また、事故が起きた場合、迅速に対応するために連絡先等をまとめた「緊急時事故対応フローチャート」を制作し提出します。
ダイブマスター講習:水中スキル開発
水中スキル開発には「水中スキル実習」「ダイバーレスキュー」「ダイブスキル」の3つのパートがあります。
水中スキル実習
次の5つの泳力を評価する実習で各5点満点でトータル15点で合格となります。
- 400m水泳:水着のみで400mを足をつかずに泳ぎます。泳ぎ方は自由です。
- 15分間立ち泳ぎ:水着のみで15分間立ち泳ぎをします。最後の2分間は両手を水面から出さなくてはいけません。
- 800mスノーケルスイム:マスク、シュノーケル、フィンの3点だけで足をつかずに800mを泳ぎます。
- 100m疲労ダイバー曳行:フル装備のダイバーを水面で100m止まらずに曳行します。
- 器材交換:バディ同士でバディブリージングを行いながら身につけている器材をすべて交換します。
ダイバーレスキュー
「レスキューダイバーコース」で学んだレスキューテクニックを評価します。
水底に沈んでいるダイバーを浮上、 水面でレスキュー呼吸を行いながら浜まで曳行、お互いの器材を外して陸上に引き上げ、CPRや医療機関等への連絡といった一連のシュミレーションを行います。
ダイブスキル
「オープンウォーターダイバーコース」で学んだマスククリアやホバリングなど、24のスキルを練習します。
最終的には24のスキルをインストラクターと同じルベルまでブラッシュアップし、デモンストレーションレベルを評価します。
ダイブマスター講習:実践応用
実践応用では、実際のダイビングの現場に出て、ゲストダイバーがスムーズにダイビングを行えるための準備や管理アシスト方法を学び、水中マップの作成やブリーフィングの練習を行います。
ほかにも、ダイブマスターが実施できるダイビングプログラム、水中ガイドなどのワークショップを行います。
さらに、実際のオープンウォーターコースや水中ツアーにアシスタントとして付き添って実践的な対応を評価します。
最終的にはPADIプロフェッショナルメンバーとして相応しいかどうかを担当インストラクターが判断し、晴れて念願のダイブマスターに認められます。