経済産業省の後押しによる宅配の実証実験など状況が大きく変わりつつあるドローン。登山のときにドローンで広大な風景を撮影してみたいと思ったかたも多いのではないでしょうか?今回は山でドローンを飛ばす際の法規制や選びかたなどについて徹底解説します。
登山でドローン撮影する魅力について
登山でドローン撮影する魅力①上空から山を俯瞰的・立体的に撮影することができる
木々に視界が遮られている場所も、空から見たら思いがけない壮大な景観がひろがっていることがあります。
上空から俯瞰的・立体的に撮影できるので、普段は見られないさまざまな発見があり、山に対してさらに興味がわいてくることでしょう。
登山でドローン撮影する魅力②映画のような大迫力の映像が撮影できる
NHKの「グレートトラバース」などでもドローンで撮影された映像が随所に登場します。鳥の目線から稜線や岩峰を間近に大迫力の映像を撮影することが可能。
YouTube動画サイトなどにアップロードしても、視聴者の反応や反響が大きく変わってきます。
登山でドローン撮影する魅力③思った以上にドローン撮影は簡単
素晴らしい映像を撮影するためには技術が必要では?とお思いになることでしょう。
しかし、最近のドローンは、登山者を特定して自動に追尾したり、登山者を中心にして背景の景色を映し出しながらターンしたりと、これまではプロカメラマンでなくては撮影できなかった映像が気軽に撮れるようになっています。
ドローンの免許や許可・禁止区域について
ドローンを飛ばすには、許可申請や禁止区域などがあって、大変なのでは?とだれもがお思いのことでしょう。ここでは、どうしたら山でドローン撮影がおこなえるのかわかりやすく解説していきます。
ドローンの免許
ドローンを飛ばすための免許のようなものは存在しません。とはいえ、高価なメカを壊してしまってはいけないので、広い場所でしっかり練習してから撮影に備えるようにしましょう。
山で飛ばすための許可申請
山でドローンを飛ばすためには、国土交通省と土地の管理者への許可申請が必要です。
国土交通省への許可申請
国土交通省への許可申請にはDIPS(ドローン情報基盤システム)とFISS(飛行情報共有システム)の2つあります。
山奥の誰もいないような場所でのドローン飛行に許可申請はいらないという意見もありますが、さまざまなトラブルを予防するためにも許可申請しておくことをおすすめします。
DIPS (ドローン情報基盤システム) |
ドローンを飛ばしてはいけないエリアはたくさんあります。そのエリア内での飛行を許可してもらうのがDIPS(ドローン情報基盤システム)です。DIPSへ申請をすることで、許可が必要な場所や許可が必要な飛行方法でドローンを飛ばすことができます。 |
FISS (飛行情報共有システム) |
FISS(飛行情報共有システム)は、航空機の運行に支障をきたさないために最近設けられた許可申請です。指定した日時にどこそこでドローンを飛ばします。許可してくださいね。という申請許可内容になります。 |
土地の管理者への許可申請
国土交通省への許可申請は事務的な手続きで淡々とおこなえますが、こちらの土地管理者への許可申請は、さまざまな管理者がいるので、臨機応変に許可申請手続きをおこなう必要があります。
山の管理は、おもに林野庁の森林管理署がおこなっています(たまに個人所有のケースもある)。
地域ごとに管理する森林管理署がことなるため、林野庁のホームページで調べて、山を管理する森林管理署でドローン撮影の許可申請をおこないましょう。
直接電話で問い合わせたほうが早く手続きができます。電話口では、国土交通省への許可申請を終えていることや、安全対策も万全であることなどを伝え、スムーズに許可が得られるようにしてください。
登山用ドローンの選びかた
登山用ドローンを選ぶポイントを紹介します。
ドローンを選ぶポイント①通信距離
通信距離とは、ドローンを操縦するための電波が届く距離のことです。通信距離が長ければ長いほど広いエリアの景色を空撮することができます。
ドローンを選ぶポイント②自動帰還機能
自動帰還機能つきのドローンは、通信距離の範囲外へでたときや、バッテリー切れのときに自分で判断して離陸した地点へ帰って来ることができます。
自動帰還機能つきを選ぶことで、なんらかのトラブルで操縦できなくなるという危険を回避できます。
ドローンを選ぶポイント③カメラの性能
ドローンに搭載されているカメラでどの程度の映像が撮影できるのかも、大きなポイントです。HD画質以上、できれば4K動画の撮影ができるカメラがおすすめ。
ドローンを選ぶポイント④ジンバル機能
ジンバルというのは、手振れ補正をおこなう機能のことで、小さい振動を補正してより滑らかな映像を撮影することができます。
おすすめのドローンを紹介
上記の選ぶポイントをふまえながらおすすめを紹介します。
Mavic Air2
プロカメラマンの多くが使用する本格的な映像撮影が可能なプロ仕様のドローンです。
4800万画素のカメラを搭載しており、4K/60fps動画、8Kハイパーラプスの映像が撮影可能。自動帰還機能・ジンバル機能あり。
Mavic mini
さまざまな法規制をうけない200g以下の199gを実現したスマホ並みの大きさのドローンです。
しかし、フルHD画質の映像撮影が可能でジンバル機能を搭載しており、ブレのない美しい映像を撮影することができます。値段も5万円以下とお求めやすい価格です。自動帰還機能あり。
Mavic pro
Mavic proは重さが734gあり、風の強い山での撮影におすすめのドローンです。通信距離が4㎞もあるため、広いエリアの景色を大迫力で撮影することができます。
4K動画の撮影が可能なカメラとジンバル機能を搭載しています。自動帰還機能あり。
ドローンを飛ばす際の注意点
山での撮影は風に注意
山では強い風が吹きやすいため、事前に天気予報などでどの程度の風が吹いているのか調べておくことが大切です。
ドローン撮影がおこなえる風の強さは風速7mが限度だといわれています。それ以上になると風に流されてドローンが戻ってこられなくなるおそれがあります。
登山者の多い場所から離れて飛ばす
山頂付近などには登山者がおおく集まるため、そこから離れた場所からドローンを離着陸させて撮影するようにしましょう。
登山者の近くで飛ばすときには、その場にいる人にひと声かけて撮影するようにしてください。
野生動物を間近で撮影しない
野生動物、鹿やイノシシ、熊などを間近で撮影して威嚇しないようにしましょう。
登山者がドローンで熊を追い立てながら撮影するなどして問題になっています。熊が登山道に近づき、ほかの登山者に害を及ぼす危険があります。
規制高度150mを守る
高度150m以上の飛行は国土交通省によって規制されています。谷間に向かって飛ばす場合は、すぐ150m以上になるので注意が必要です。