波が立つ場所の海底の地形と波の特徴
波・うねりの最終段階である海岸に打ち寄せる波。その大きさや形などの特徴を生みだす要素に、海底の地形が大きく関係していることは今までに触れてきました。
おさらいすると、水深が浅くなると波は海底との摩擦によってブレーキがかかり、進む速度が遅くなります。
遅くなると波の高さは1度低くなりますが、その後すぐに上昇に転じて、沖合のうねりの時より高くなり、最後は水が波頭から前に飛び出してブレイクを生みだすという仕組みです。
サーフィンは波の崩れ方にこだわる
この波の崩れ方=ブレイクにこだわる波乗りの世界では、リーフブレイク/ポイントブレイク、ビーチブレイク、リバーマウスという、地形とブレイクを関連させた言葉があります。
これらの言葉の意味には、波がブレイクする地形はもとより、そこに立つ波の特徴が含まれているため、知っていればこのひと言でどんな波が立つのかもだいたいわかるため、覚えておくと便利な言葉です。
リーフブレイク/ポイントブレイク
リーフとは海底にある岩礁やサンゴ礁のこと。それらによって水深は浅くなってうねりは波となり、最後にブレイクを起こします。
リーフは切り立ったものも多く、基本的に水深を急激に浅くするため、水は大きく盛り上がってエネルギーも蓄積されます。
このため、リーフブレイクの特徴は波のサイズが大きくなりやすく、蓄積されたエネルギーが瞬間的にリリースされるため、波はパワフルになります。また、整った形のきれいなブレイクとなることも多いという特徴があります。
危険と背中合わせのリーフブレイク
海底にあるリーフは、余程の大きな衝撃が加わらない限り、存在する場所は変わらず形も変化しにくいため、ブレイクする場所が一定という特徴があります。
そのため、リーフブレイクのことをポイントブレイクということも一般的となっています。
このようにリーフブレイクの波は、サイズ、パワー、形など、波乗りを楽しむエキスパート以上のレベルの人が満足する種類の波となっています。
逆にそれは、エキスパート以外の人にとっては危険な波なのです。さらに海底が岩礁やサンゴ礁なので、波に巻かれた時の危険性も高くなります。エキスパートレベル以外の場合は、リーフブレイクの波は回避しましょう。
ビーチブレイク
私たちにとって、いちばん身近な波がこのビーチブレイクです。ビーチブレイクは砂浜にブレイクする波のこと。
海底まで砂が堆積している海岸で、水深が浅くなるに従い海底との摩擦によって波の速度が減少し、波頭が盛り上がって砕けるというリーフブレイクと同様のメカニズムで発生します。
リーフブレイクとの違い
リーフブレイクとビーチブレイクとの違いは、海底が堅牢で動かないリーフではなく、流動的なサンドバー(砂だまり)ということです。
砂浜は毎日波に洗われ、砂が沖に運ばれてしまうことも、沖から砂が運ばれることもあり、その地形は常に少しずつ変化しています。
それにあわせて波の立ち方や崩れ方も変わるため、昨日はきれいなブレイクを見せていても、今日はもう違っているということも起こります。
身近な波のビーチブレイク
さらに台風のような大きなエネルギーにさらされたときは、波が立つ場所さえも移動してしまうなど変化も大きくなるため、リーフブレイクほど安定したブレイクではありません。
また、ブレイクそのものもダンパーの傾向が強いことがビーチブレイクの特徴です。しかし、ビーチブレイクならではの長所も多くあります。
ブレイクが安定しないということは、逆にさまざまなサイズ、パワー、形の波を選ぶこと、バリエーションを楽しむことができるという点です。
さらに砂浜は遠浅の場合が多いため、海へのエントリーがしやすく、海底が砂なのでリーフに比べると安全です。海水浴場が砂浜なのもこの理由です。
さまざまなウォーターアクティビティを楽しむ場合も砂浜がほとんどですので、そこに立つ波=ビーチブレイクは、最も身近な波と言えるでしょう。
リバーマウス
リバーマウスとは河口のことです。河口は海岸線のなかでもほんの一部の、特殊と言える場所ですが、この河口付近に立つ波のことを、波にこだわるサーファーたちは、あえてリバーマウスと特定して呼んでいます。
河口で波が立つメカニズムとは
河口には海からだけではなく、川からも運ばれるので、多くの砂が集まります。そのため、河口は海岸線のほかの場所よりも浅くなるため、波が立ちやすい場所になります。
そのうえ、河口付近では川と海の水がぶつかります。これも波を生む原因になり、ほかの場所では波がなくても、河口付近だけは波がある、あるいはきれいに崩れるブレイクになるのです。
リバーマウスの特徴
これ以外のリバーマウスの特徴としては、ブレイクよりも周辺のカレントが複雑であることが挙げられます。
海には海流や潮流、波が引いていく時の流れなど多くの流れがありますが、さらに川からの水が海に広がっていく流れや、水温差や塩水・真水の比重差による上下方向の流れも加わって、リバーマウスのカレントは非常に複雑になります。
河口での事故は、意外に多いため、安全対策として覚えておきましょう。