天体望遠鏡の性能を知るには?
まずは天体望遠鏡の性能をどこで判断するのか調べてみました。
F値と適性倍率を知る
天体望遠鏡は、光を集める能力【F値】と、星をどの程度まで拡大して観察できるのかを示す【適正倍率】の2つでおおよその性能を判断することができます。
光を集める能力【F値】
天体望遠鏡の光を集める能力(集光力)のことをF値で表します。F値が小さいほど、天体望遠鏡の光を集める能力が高く、暗い天体を観測しやすくなります。
対物レンズから入ってきた光が一カ所で収束する点が焦点で、対物レンズから焦点までの距離のことを焦点距離と言います。
焦点距離÷対物レンズの口径=F値です。たとえば、対物レンズの口径が100mmで焦点距離が1,000mmだとしたら1,000mm÷100mm=10mmなのでF値はF10となります。
星をどの程度拡大して観察できるか【適正倍率】
天体望遠鏡には適正倍率があります。目安としては対物レンズの口径の2倍までが適正倍率です。たとえば、口径100㎜のレンズだとしたら2倍の200倍まで星を拡大して観察することができます。
アポクロマートレンズとアクロマートレンズの違いを知る
天体望遠鏡のレンズには大きくわけてアポクロマートレンズとアクロマートレンズの2種類があります。
レンズを通した物体の色がズレて見える現象を専門用語で色収差といいますが、アポクロマートレンズの方が色収差が少なく性能がよいため、星がシャープに見えて色のにじみなども抑えることができます。
天体望遠鏡のタイプを知る
天体望遠鏡には大きくわけて
- 屈折式
- 反射式(ニュートン式)
- 屈折反射式(カタディオプトリック式)
の3つのタイプがあります。以下ではそれぞれの特徴について解説しましょう。
屈折式
屈折式天体望遠鏡は構造が単純でメンテナンスも不要なため、天体観測の初心者向けです。ちなみにアニメ「恋する惑星」に登場するビクセン(Vixen)A80Mfなども屈折式天体望遠鏡です。
デメリットとしては鏡筒を太くしにくいため、中に入ってくる光の量が少なく、暗い天体の観測が難しいところです。
反射式(ニュートン式)
反射式天体望遠鏡は、反射鏡を使って光を集めて接眼レンズで拡大する仕組みになっています。対物レンズの口径が大きいため、屈折式に比べて高倍率で星を観察することが可能です。
また、F値が低いため鏡筒に入ってくる光が多く、星雲や星団、暗い星の観察がしやすくなります。デメリットは、構造が複雑なため衝撃などに弱いことと、室内と屋外の温度差で鏡筒内に気流が発生しやすい点です。
屈折反射式(カタディオプトリック式)
屈折式と反射式のメリットを組み合わせたものが屈折反射式(カタディオプトリック式)天体望遠鏡です。鏡筒が短く軽量なため、持ち運びに便利というメリットがあります。
また、反射式(ニュートン式)に比べて色収差(紫や赤などの波長の異なる色が際立ってしまうこと)が小さいという長所があります。
ただし、屈折反射式も構造が複雑なため衝撃に弱く、取り扱いには注意が必要です。衝撃で光軸がずれると光軸調整は素人には難しいので修理に出さなくてはなりません。
天体望遠鏡の管理方法
天体望遠鏡を保管する際の注意点について紹介します。
天体望遠鏡の管理方法①保管方法
天体望遠鏡はレンズから入った光を焦点に集めることで星を観察します。この光の軸を光軸と言いますが、鏡筒を立てて保管することで光軸のくるいを防ぐことができます。
天体望遠鏡の管理方法②保管場所
保管場所は、涼しくて直射日光が入らない場所がおすすめです。また、湿気やほこりなども大敵なので、保管するときには収納袋に乾燥剤も一緒に入れておくと良いでしょう。
大人向け天体望遠鏡
上記の天体望遠鏡の性能をふまえながら、大人向けのおすすめを紹介します。
大人向け天体望遠鏡:Vixen 天体望遠鏡ビクセンED80sf
先ほど解説した屈折式天体望遠鏡です。ED80sfのEDとはEDアポクロマートレンズのこと。高いレベルで色収差が抑えられるため、シャープでハイコントラストな星空が観察できます。天体写真撮影をしたい方にもおすすめしたい天体望遠鏡です。
レンズ有効径 | 80mm |
焦点距離 | 600mm |
F値 | F 7.5 |
適正倍率 | 160倍 |
大人向け天体望遠鏡:skywatcher BKP130
こちらは、反射式(ニュートン式)天体望遠鏡です。ビクセンED80sfよりもさらにF値が低く、適正倍率が260倍もあるためコストパフォーマンスに優れた天体望遠鏡と言えるでしょう。
レンズ有効径 | 130mm |
焦点距離 | 650mm |
F値 | F5 |
適正倍率 | 260倍 |
大人向け天体望遠鏡:Kenko 天体望遠鏡 NEW Sky Explorer SE 250N CR
レンズ有効径254mmという大型のニュートン式反射望遠鏡です。F4.7と集光力が非常に高くなおかつ適正倍率が500倍以上もあります。しかも、ビクセンとはくらべものにならないくらいリーズナブルです。難点は約15㎏と非常に重いところ。
レンズ有効径 | 254mm |
焦点距離 | 1,200mm |
F値 | F4.7 |
適正倍率 | 500倍 |
大人向け天体望遠鏡:Vixen 天体望遠鏡 カタディオプトリック式鏡筒 VMC200L鏡筒
屈折式と反射式をあわせた屈折反射式(カタディオプトリック式)の天体望遠鏡です。大きな特徴はレンズ有効径が200 mmというところ。適正倍率は400倍になるので高倍率で星の観測ができます。光害の少ない星空観察スポットでの使用がおすすめです。
レンズ有効径 | 200 mm |
焦点距離 | 1,950mm |
F値 | F9.75 |
適正倍率 | 400倍 |
子ども向け天体望遠鏡
子ども向け天体望遠鏡:国立天文台望遠鏡キット
国立天文台が企画、設計、製造をプロデュースした天体望遠鏡のキットです。とにかく値段が安いところが最大の特徴で、組み立ての工程を省くことでコスト削減を実現しました。高性能のマルチコートレンズを採用しています。
レンズ有効径 | 50mm |
焦点距離 | 399mm |
F値 | F8 |
適正倍率 | 66倍 |
公式サイト:大学共同利用機関法人自然科学研究機構「国立天文台」
子ども向け天体望遠鏡:Vixen 天体望遠鏡 スペースアイ600 屈折式
天体観測の入門機です。組み立てや操作が簡単なため、初心者でも気軽に星空観察ができます。アクロマートレンズを採用で、月のクレーターや土星のリング、木星の衛星まで観察することが可能。
レンズ有効径 | 50mm |
焦点距離 | 600mm |
F値 | F12 |
適正倍率 | 100倍 |
子ども向け天体望遠鏡:Vixen 天体望遠鏡ビクセン(Vixen)A80Mf
「恋する小惑星」星咲高校地学部の機材として、アニメにしばしば登場する天体望遠鏡です。天文観察の入門機という位置づけですが、ベテラン天文学者からも定評のある天体望遠鏡です。
レンズ有効径 | 80 mm |
焦点距離 | 910mm |
F値 | F11.4 |
適正倍率 | 160倍 |
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。