登山でお酒(アルコール)を避けるべき理由とは
最近は登山ブームで多くの人が登山を楽しんでいますが、一方でゴミを持ち帰らないなど登山中のルールを守らないマナー違反が問題視されています。
ではなぜ登山での飲酒を避けるべきなのか、その理由について説明しましょう。
酔いやすい
山は、普通よりも酔いやすい状態になるといわれます。その理由は、飛行機の機内では酔いやすいといわれるように、気圧が低いと抹消血管が拡張するので血行がよくなり、アルコールがまわりやすくなるからです。
標高が高くなれば、低酸素の状態なので、アルコール代謝が悪く、酔いが覚めづらいといわれています。いつもならビール1本では酔わないという人でも、山では酔いやすい可能性があるわけです。
転落や滑落のリスク
山でお酒を飲むと、少量でも酔いやすく、そんな状態で、細くて険しい山道を歩いたら、転落や滑落のリスクが大きく危険です。
筆者もほかのパーティーの滑落現場に居合わせたことがあります。ビールを飲んでトイレにいったところ、足を踏み外して滑落したそうです。
幸い大事にはいたりませんでしたが、一歩間違えば大惨事だったと思うと、怖さがこみ上げてきます。アルコールは利尿作用があるのでトイレが近くなったりもしますし、トイレはどこでもあるわけではないということも、覚えておきましょう。
高山病になる可能性
お酒を飲むと呼吸が抑制されるため、酸素を取り込めなくなり高山病の要因になることもあります。症状としては、頭痛や吐き気、めまい、息切れなどがあり、ひどい場合は命にかかわるような重篤な症状になることも。
ほかにもアルコールの影響で、心拍数や血圧が上昇して脱水症状を起こしやすくなることもあります。
飲酒後の移動
自家用車で登山へきている場合、飲酒運転になってしまいます。また電車やバスなどの公共機関をつかっている場合でも、飲酒しながら反省会をしている人たちもいますが、マナーの面からはNG行為といえます。
周りに迷惑をかけてしまったら、登山者全体のイメージが悪くなってしまいますから、行き帰りにも気をつかいたいものです。
どうしてもお酒(アルコール)を飲みたいときは?
基本的には、日帰り登山の場合は、お酒は避けるべきでおすすめできませんが、泊まり登山のときに、疲れた体を癒やしリラックスさせるための目的で飲む場合は、少量飲む程度にしておきましょう。自分でいくつかルールを決めておいて、飲みすぎないようにすることが大切です。
泊まり登山で飲むときの注意点
- コップ半分や1杯までなど、いつもの量の5〜6割の量ぐらいまでにする
- 体調を見ながら飲む、飲み過ぎは厳禁
- 飲む時間・人数など周囲に気を配る
山小屋などほかにも泊まっている人がいる場合、お酒をすすめられることもありますが、体調を考えて無理に飲むことは避けましょう。
ノンアルコール飲料の選択肢
せっかくだから乾杯したいという人は、ノンアルコール飲料がおすすめです。今はノンアルコール飲料といっても、ビールやカクテルなどの種類も充実しています。
翌日もしっかりと登山を楽しみたいなら、みんなでノンアルコールで乾杯というのもいいものですよ。
飲酒のルールとマナーを守り登山を楽しもう
登山中は自然を満喫する
登山の醍醐味は、なんといっても美しい大自然を満喫すること。でも標高の高い山では、お酒は飲むのは少なからずリスクがあります。
登山中は飲まずに、終わって無事に家に帰ってから、ゆっくり飲んではどうでしょうか?山での出来事をふりかえったり、次はどこに行こうなんてあれこれと考えながら飲むお酒は格別ですよ。
最低限のマナーを守る
登山ではゴミを持ち帰ったり、ほかの人に迷惑をかけないというのは、最低限のマナー。ビールなどわざわざ持っていくわけですが、飲み終わったあともゴミは持ち帰らなくてはなりません。
また、酔いすぎて騒いでしまったりも、周りの人に迷惑になるので避けたい行動です。とくに富士山など、ご来光を見に行く人も多いような場所では、翌朝の出発が早いので、夜8時には消灯となるところもあります。
そんなところでは、お酒を飲んで普通の声で話しているだけで、迷惑になることも。山には山独自のルールがあるので、それを守ることが大切です。