色鮮やかな生物ウミウシ
ウミウシは殻を持たない巻き貝の仲間で、ツノがあったり花びらのようなヒラヒラがあリます。
まるで宇宙生物のような見た目をした色鮮やかな小さな海の生物です。
そんな、不思議な生物に心惹かれるダイバーは多く、ウミウシだけを集めた写真集を出版している水中写真家もいるほどです。
また、ウミウシ好きのダイバーが集まった「NPO法人全日本ウミウシ連絡協議会」という団体もあり、ウミウシのことをあれこれ語り合ったり、新しい知識を共有し合ったりしています。
なぜ、これほど多くのダイバーがウミウシに魅せられるのか、その秘密に探ってみましょう。
ウミウシの魅力をご紹介
ウミウシの最大の魅力は、何といってもその多彩なテクスチャとアニメの世界から飛び出してきたような色やデザインではないでしょうか。
ダイビング中に初めてウミウシを見たダイバーは口を揃えてこういいます。
「何これ?」
「なぜ、こんな綺麗な色をしているの?」
「なぜ、こんな姿をしているの?」
そう、この驚きこそが、ウミウシがダイバーを魅了し続ける理由なのです。
広大な海の中で数ミリから数センチしかない小さなウミウシを見つけた瞬間は、まるで宝物を見つけたような感動があります。
ウミウシ探しのポイント
ウミウシを見つけるには、ウミウシがどんな環境にいるのか知っておく必要があります。
まず、最も多くのウミウシが見られるのは、固着生物に覆われた岩礁です。
そのため、ウミウシ探し初心者のダイバーは、まず固着生物に覆われた岩礁から探してみるのが良いでしょう。
とはいえ、海藻や海草を餌にするウミウシは砂地に広がる藻場や海草藻(アマモ)場、サンゴ礁の海では死んだサンゴ塊が集まる「ガレ場」にもウミウシが隠れています。
また、砂地を這い回るウミウシや、海底ではなく中層を漂って暮らすウミウシもいます。
このように、ウミウシは至るところに生息しているので、そのダイビングポイントを熟知した現地ガイトからウミウシのいそうな場所を聞いておくことが大切です。
ウミウシの探し3つのテクニック
ダイビングでウミウシを見つけるための3つのテクニックをご紹介します。
ただし、ウミウシは写真で見るよりはるかに小さく、しかも岩のくぼみや固着生物の中に隠れるように暮らしているため、探すのは想像以上に難しいかもしれません。
そのため、目を皿のようにして探してみることがポイントです。
壁に張り付いてみる
最も多くウミウシが見られるのは、固着生物に覆われた岩礁です。
カイメンやヒドロ虫、ホヤなどがみっしりと固着している岩礁をじっくり探せばウミウシが見つかる確率も高くなります。
コツは壁に張り付いて、水中ライトを当てながら固着生物に隠れているウミウシを探してみると良いでしょう。
ただし、固着生物も生き物なので、乱暴に触ったりすると死んでしまうこともあり、 なかには毒やトゲを持つ固着生物もいるので、むやみに触ることは控えましょう。
岩をめくってみる
海底にゴロタ石が転がっている場所では、岩や小石をひとつずつめくってみると、岩の裏側からコケムシやカイメンなどと一緒にウミウシが見つかるかもしれません。
大きく重い岩ではなく触ってみてグラグラ動く程度の石のほうが、ウミウシが見つかる確率が高くなります。
ただし、岩をめくったままにしていると、捕食者から隠れるように石の裏で暮らしている小さな動物たちの命を危険にさらすことになるので、めくった岩は必ず元に戻しておきましょう。
ガレ場であおってみる
ガレ場では手を左右に振ってガレ場の表面をあおってみましょう。
手で振ることで生じる水流で、海底の細かな砂粒と一緒にウミウシが巻き上げられてくるかもしれません。
指先でウミウシをキャッチしたら、水底に静かに下ろしてあげましょう。
ウミウシの探しにおすすめのアイテム
ウミウシ探しに役立つおすすめアイテムをご紹介します。
100円均一に売っているアイテムも、使い方次第でウミウシ探しの役に立つので、ぜひ活用してみましょう。
水中ライト
岩の奥など光が届かない場所が好きなウミウシ探しに、水中ライトは必須のアイテムです。
光をかざすことで水中では暗く沈みがちな赤色が鮮やかに見えて、ウミウシを見つけやすくなります。
BCDのポケットに入るコンパクトサイズのものが使い易く、写真を撮る場合などはピント合わせのため使えるため水中ライトだけは持っていくことをおすすめします。
水中ルーペ&シニアグラス
視力の良い人ならミリサイズのウミウシを苦もなく見つけられるかもしれませんが、スマホの文字が読みにくくなってきた人にはウミウシ探しは一苦労です。
そんな人におすすめしたいのが海の中でもつかえる「水中ルーペ」です。
いわゆる拡大鏡ですが、一般的なルーペは光の屈折の影響で水中では十分に拡大しないため、水中専用のルーペを使用したほうが良いでしょう。
また、ダイビングマスクのレンズの下半分を、貼り付けるだけでシニアグラス化してしまう「ハイドロタック」などもおすすめです。
筆
直接触りたくない刺胞動物(ガヤなど)の裏側や、目元などを探すときに効果を発揮するのが、100円均一で購入できるアクリル製の「筆」です。
綺麗な写真を撮るため、ウミウシの背景にあるカイメンやコケムシなどについた小さなゴミを取り除くときにも便利です。
習字用の筆やコスメ用の筆でも構いませんが、消耗品なので100円均一で購入できる安いもので十分です。