日本で見られるウミガメの種類
ウミガメはオカザメ科とウミガメ科に分類され、オカザメ科はオカザメ1種、ウミガメ科は6種、全部で計7種のウミガメがいます。
このうち日本近海で見られるウミガメは5種類で、ダイビング中に出会える確率が高いのがアオウミガメ、アカウミガメ、タイマイの3種になります。
これら3種は主に頭の形と甲羅で見分けることができます。
- アオウミガメ: ダイビングでもっとも目撃する機会が多く、浅い場所にも生息しています。見た目の特徴は体に対して頭部が小さく、小型の個体には甲羅に朝日模様があります。
- アカウミガメ:沖合で見かけることが多い種類で、体に対して大きな頭部が特徴です。また、甲羅には藻が生えていたりフジツボが付着していたりすることが多く、ヨコエビやワレカラなども付着しています。
- タイマイ:サンゴ礁で多く見られ、尖ったくちばしでサンゴ礁の間のカイメンなどを食べています。甲羅は美しいモザイク模様で後部がキザギザしていることが多いのが特徴です。
ウミガメの産卵場所の違い
ダイビングで会える3種のウミガメは、日本の砂浜に上陸して産卵していますが、産卵する地域が少しずつ違っています。
本州から沖縄まで最も幅広いエリアに上陸するのはアカウミガメです。
なかでも屋久島はウミガメの一大産卵地となっています。
5~7月の産卵時期になるとダイビングでアオウミガメにも会えるし、夜には産卵シーンを観察することもできます。
アオウミガメが最も多く産卵するのは小笠原です。
そのほか屋久島より南の暖かいエリアが産卵場として知られていますが、最近では伊豆大島や薩摩半島でも産卵が確認されています。
タイマイの産卵地は生息域である奄美大島以南のサンゴ礁の海で、八重山諸島では毎年産卵が確認されています。
何の場所でも5~8月の夜から明け方にかけて産卵が行われるので、機会があればルールとマナーを守って観察してみましょう。
ウミガメの食べ物の違い
ダイビングで会える3種は食べ物がそれぞれ異なり、アオウミガメは海藻や海草など、アカウミガメは貝殻やヤドカリなどの底生生物、タイマイは海綿を主に食べています。
こうした食べ物の違いから、アオウミガメは海藻などを千切りとりやすいようにくちばしがギザギザしており、アカウミガメは硬い殻などを噛み砕けるように大きくて丈夫な顎を持っています。
タイマイのくちばしが尖っているのは、サンゴの間にある海綿を食べやすいためなのです。
ウミガメは絶滅危惧種
ダイバーの間では、ウミガメは比較的出会う確率が高い人気者ですが、 実はシロナガスクジラと同じくらいのレベルで絶滅の危機に瀕していると言われています。
国際自然保護連合(IUCN)レッドリストには、タイマイとオカザメが絶滅危惧ⅠA類に、アオウミガメ、アカウミガメ、ヒメウミガメが絶滅危惧ⅠB類に区分されています。
国際的にも、絶滅の危険性が高い生き物として広く認識されているのです。
ウミガメに会える日本国内のダイビングスポット
日本各地には、ウミガメと高確率で会えるダイビングスポットが多数あります。
おもなところでは、
- 奄美方面(屋久島、ヨロン島、奄美大島など)
- 沖縄方面(本島、ケラマ諸島、久米島、宮古諸島、石垣島、西表島など)
- 伊豆諸島方面(八丈島、式根島など)、伊豆半島(川奈)
- 小笠原諸島
などがあげられます。
遭遇率はほぼ100%のスポットもあれば、スポットによってアオウミガメだけでなく、珍しいアカウミガメやタイマイに入ることもあります。
その中からおすすめの5つのダイビングスポットをご紹介します。
遭遇率90%以上の「屋久島」
屋久島の各ポイントにはアオウミガメの若い個体が何匹も住み着いています。
遭遇率は90%以上と高く、静かに近づけば全く逃げないので、目の前で海藻を食べる様子も観察できます。
アカウミガメは産卵期の5~7月に見られ、どの個体も整体なのでかなり大きいそうです。
北半球一のアオウミガメの産卵地である屋久島は、ダイビングではもちろん産卵期には一晩に数十匹もの母ガメが上陸し産卵を観察することもできます。
ポイント | 島中どこでも |
種類 | アオウミガメ、アカウミガメ、タイマイ |
人懐っこいウミガメがいる「八丈島」
八丈島はとにかく個体数が多く、昼寝中、摂食時、クリーニング中のウミガメを観察できます。
とくにビーチポイントではエントリーエリアで見られることもあるため体験ダイビングなどでも簡単にウミガメに会うことができます。
甲羅に特徴があり個体識別できるウミガメも多く、自分だけのカメを覚えておけば再会を楽しむことも可能です。
ポイント | 島中どこでも |
種類 | 90%以上がアオウミガメで、まれにアカウミガメ、タイマイ |
海底温泉が目当てのウミガメがいる「式根島」
砂地や岩場などいたるところから温泉が湧き出ているポイントで、常に3匹以上、多いときには10匹ほどのウミガメが温泉に浸かっています。
温泉に入りに来ているウミガメは岩の隙間にはまっていたり、逆さまになっていたりと警戒心が薄くすぐ近くまで寄ることができます。
式根島の海中温泉はCO2シーブ(二酸化炭素が噴出している場所)と呼ばれ、 このような光景がダイビングで見られるのは非常に珍しいといえるでしょう。
ポイント | 御釜湾・海中温泉 |
種類 | アオウミガメ |
個体識別ができるウミガメが多い「久米島」
久米島は、ウミガメの数が多く外洋や湾内などいろんな場所で会えます。
なかでも「グランビュータートル」では、 多い時には1ダイブで30匹以上に会うこともあります。
また「ウーマガイ」などのポイントでは、ウミガメの方からよってきてくれる個体も数匹いて名前をつけて識別しているそうです。
1匹1匹に個性があるので、その点に注意をするとより愛着がわき、まるでペットのように接することもできます。
ポイント | グランビュータートル、ウーマガイなど |
種類 | 90%以上がアオウミガメで、まれにアカウミガメ、タイマイ |
伊豆半島でウミガメに会える「川奈」
伊豆半島でウミガメに会えるのは、川奈のメインスポットとなるピーチポイントです。
多い時には数個体現れることもあり、水深の浅いところや、体験ダイビングで会えることもあります。
個体にもよりますが、近づき方に気を付ければかなり近くまで寄ることもできます。
伊豆半島でウミガメが住みついているのは、川奈の環境がウミガメの生息に適しているのかもしれません。
ポイント | 川奈ビーチ |
種類 | アオウミガメ |