ダイビング中に起こるパニックとは?
1度でもパニックになりそうになったダイバー、あるいはパニックになってしまった経験のあるダイバーは、パニックへの不安が残り、ダイビングそのものが怖くなってしまうことも少なくありません。
パニックになったダイバーは、サインや呼びかけにも反応せずに、完全に我を忘れて自分自身をコントロールできなくなっている状態です。
一般的な水面でのパニックダイバーの症状といえば、呼吸が速く、顔を少しでも高くあげるように手足をバタバタさせ、一見すれば溺れているようにも見えます。
また、水中でパニックになると、呼吸が異常に速くなりレギュレーターを外して急浮上しようとします。
いずれの場合も、ダイビング中のパニックは、重大事故につながる可能性が非常に高く、とても危険です。
しかし、パニックには必ず原因と前兆があります!
それを見逃さずに適切な対応をすることで、パニックは克服することが可能です。
そこでまずは、ダイビング中にパニックになる原因を考えてみましょう。
ストレスや不安
何かしらのストレスを抱えていると、ダイビング中に漠然とした不安や恐怖が襲ってくることがあります。
実は、こうしたストレスは自分でも気づかない場合が多く、ある程度の経験を積んでいるダイバーでさえ、突然ダイビング中に息苦しさを感じるケースも少なくありません。
心当たりがなくても、ダイビング中に心臓がバクバクして呼吸が速くなってきたら、バディやインストラクターにその旨を伝え、すべての行動をストップし、深呼吸をして呼吸を整えることが大切です。
経験不足やスキル不足
初心者ダイバーに多いのが、「マスクに水が入ってきた」「レギュレーターが口から外れた」「サメが現われた」などのスキル不足や経験不足からパニックになるケースです。
また、初心者がドリフトダイビングなどの上級者向けスポットに潜った結果、その環境の違いからパニックを引き起こすケースも少なくありません。
海という大自然のなかで行うスキューバダイビングでは、自分のスキルを過信せず、つねに謙虚な態度を忘れずに、安易な判断を避けることも大切です。
体調不良や病気
過労や睡眠不足などの状態でダイビングをすると、「窒素酔い」を起こしやすく、それがパニックにもつながる可能性があります。
また、パニック障害や不安障害なの精神疾患の傾向のある人は、ダイビング中にパニックを引き起こす可能性があるため、必ず病気を治してからダイビングを行いましょう。
自分の体調管理をしっかり行い、体調が優れないときはダイビングをお休みすることも大切です。
ダイビング中のパニック対処法
パニックに陥ったダイバーを落ち着かせることは非常に難しく、訓練を受けたダイバーですら慎重で的確な行動が求められます。
パニックは本人だけではなく、バディやグループにも危険が及ぶ可能性があるため、適切な行動を取ることがとても重要になります。
それでは、ダイビング中のパニック対処法を見てみましょう。
自分がパニックになりそうなとき
ダイビング中、自分が「パニックになりそう」と感じたら次の手順を踏んで、まずは呼吸を整えて落ち着くことが大切です。
- ロープや岩などにつかまるか水底に着底してすべての動きを止める。
- ガイドやバディに「何か変だ」のサインを出して知らせる。
- 残圧と水深を確認する。
- 何回か深呼吸をする。
何より落ち着くのは信頼できるガイドやバディとのコンタクトです。
何だか「ヤバそうだな」と感じたら、ひとりで抱え込まず必ずバディにその旨を伝えましょう。
たったそれだけでも気持ちが楽になって、パニックを回避できる場合もあります。
バディがパニックになりそうな時
ダイビング中、バディの呼吸が異常に速くなるなど「何かおかしいいぞ」と感じたら、状況に応じて次の手順を踏んで対処しましょう。
- バディにサインまたは呼びかけて状態を確認する。
- バディがサインや呼びかけに反応するようなら、一旦停止してバディの呼吸を落ち付かせます。
- バディがサインや呼びかけに反応しない時は、ガイドやインストラクターを呼んで訓練をしたダイバーに対応してもらいます(※絶対に自分で対応しない)。
- その後はガイドやインストラクターの指示に従う。