ヒルクライムは、ロードバイクをはじめとする自転車で、坂を登ったり峠を越えたりして楽しむライドスタイルです。筆者が主に楽しんでいるのもヒルクライム。そこで今回は、つらさのなかに楽しみが隠れているヒルクライムの魅力を紹介します。後半はイベントやレースもまとめているので、興味のある人はぜひ参考にしてください。

自転車のヒルクライムとは?

ヒルクライムとは、峠や山道を自転車で登る自転車の楽しみ方です。

レースであってもスピードが出にくいため、ロードレースなどと比較して対人事故やスピードの出しすぎによる落車が少なく、比較的安全な競技といえます。

さまざまな距離や傾斜の坂へ挑戦するごとに達成感が味わえるヒルクライムは、ロードバイクの基礎が身についた中級者、速さを求める上級者、トレーニングを重ねたい初心者と、幅広い層におすすめなライドスタイルです。

筆者が感じるヒルクライムの醍醐味

「坂を登るなんて苦行じゃないか」との声も多く聞きます。そこでヒルクライムを楽しむサイクリストのひとりである筆者は、苦しいなかにも実は奥が深い、ヒルクライムの魅力を考えてみました。

同じ峠でも毎回違う景色が楽しめる

ヒルクライムを楽しもうとする場合、自然の多いエリアにたどり着くことでしょう。ライドの季節や天候、時間帯によって見える景色が変わるのは、ヒルクライムの楽しさです。

傾斜のない道を高速域で走るときとは異なり、春の新緑や秋の紅葉など、自然の移ろいを体いっぱいに感じられますよ。

登る苦しみが楽しさに変わる

坂道の苦しさを乗り越えた先にある達成感は格別!ゴールに着いた瞬間の爽快感は、何度味わってもクセになります。

また、峠を走ったタイムや順位が表示される自転車のアプリケーションを活用すれば、よりモチベーションアップに繋がります。同じ峠に挑む場合は、以前の自分のタイムと比較するのも楽しみのひとつになるでしょう。

苦しいはずの登りに何度でも挑戦したくなる不思議な感覚が味わえます。

非日常が味わえる

静かな山道や車の少ない峠道は、街なかとは違う特別な時間を与えてくれます

日常を離れて、自分だけのペースで登る時間はまさにリフレッシュタイム。音の少ない空間が、日常のストレスやイライラを飛ばしてくれますよ。

高い山を登る際の空気の移り変わりも日常では味わえない魅力的な経験です。

つらいだけじゃない!坂を楽しむコツとは

坂を登るにはパワーが必要であり、誰もがつらく感じるものです。そこで、坂が苦手なひとこそ知ってもらいたい「坂を楽しむコツ」をお教えします。

ペース配分を考える

とくに長い距離のヒルクライムでは、最初に飛ばしすぎると後半でバテてしまうケースが多くみられます。緊張や苦手意識からついつい飛ばしてしまうことも。

勾配や距離に応じて自分のペースを守れると、苦しくなりすぎずに最後まで登りきれる可能性が高くなります。目標の坂や峠を登りきれれば達成感が得られ、もっと登ってみたいと思えるかもしれませんよ。

自分に併せて補給食を変えてみる

自転車での坂道走行は、想像以上にエネルギーを消費します。エネルギー切れにならないためには、ゼリーやドリンクなど、すぐに摂取できる補給食を自分の体調やタイミングに合わせて取り入れるのがコツです。

一般的にヒルクライムレースの食事は3時間前までに済ませたほうがよいとされています。筆者もレースや強度の高いトレーニングの日には、3時間前までに効率的にエネルギーに変わる炭水化物中心の食事をするようにしています。

そのあとは、調子に併せてエネルギーのあるドリンクやジェルを活用するのがおすすめです。

機材にこだわってみる

重力を全身で感じるヒルクライムは、軽いほうが楽に登れるといわれています。軽量なホイールやコンパクトなギアなど、ヒルクライム向け機材への変更で、苦手な勾配も克服できる可能性がありますよ。

また、機材の工夫も楽しみのひとつです。有名なクライマーの機材紹介動画などもあげられているので、参考にするのも楽しいですね。

人気なレース・イベントまとめ

ヒルクライムは怪我のリスクが少ないのもあり、幅広い年代のサイクリストに人気があります。日本国内でも毎年多くのイベントやレースが開催されているため、興味のある人はぜひ挑戦してみましょう。

レースといっても、順位を競う人や自己ベストの更新を狙う人など参加目的はさまざまです。イベントに参加すると気の会う人と仲間になれるチャンスもあるので、サイクリストの仲間が欲しい人は積極的に参加するのがおすすめですよ。

Mt.富士ヒルクライム

距離:24km/標高差:1,255m/平均勾配:5.2%
開催予定日:2025年6月1日(日)

ツール・ド・美ヶ原高原自転車レース

距離:21.6km/標高差:1,270m/平均勾配:5.9%
開催予定日:2025年6月28・29日(土日)

乗鞍ヒルクライム

距離:20.5km/標高差:1,260m/平均勾配:6.1%
開催予定日:2025年8月31日(日)

まえばし赤城山ヒルクライム大会

距離:18.6km/標高差:1,238m/平均勾配:6.6%
開催予定日:2025年9月29日(日)

磐梯吾妻スカイライン・ヒルクライム

距離:14km/標高差800m/平均勾配:6.1%
距離:27km/標高差:1,100m/平均勾配:4.3%
開催予定日:2025年7月5・6日(土日)

グランフォンドきよさと

ロードバイクで参加できる3つのコースが用意されています。
距離:150km,90km,50km/標高差:1,200m,730m,390m
開催予定日:2025年7月6日(日)

国内最大級といわれている「富士ヒルクライム」については以下の記事にまとめています。

【第21回Mt.富士ヒルクライム】人気の理由やエントリー方法を紹介
【第21回Mt.富士ヒルクライム】人気の理由やエントリー方法を紹介
ロードバイクでのヒルクライムは「ただ登るだけ」と思われがちですが、実は奥が深く何度でも楽しめる魅力があります。自身の脚で登ったからこそ体験できる達成感は、なににも変え難い経験になりますよ。ヒルクライムに興味があれば、ぜひ挑戦して非日常感を体感してください。

yomec(よめしー)

ライター

yomec(よめしー)

自然豊かな新潟県在住、夫婦でロードバイクを楽しんでいる自転車ライター。子育てしながらトレーニングする方法を日々模索中です。今ではヒルクライムを中心としたレースが家族旅行に。愛車はSPECIALIZEDとBROMPTON。夫婦での所有スポーツバイクはなんと8台。ファミリーでも楽しめる自転車の魅力を発信します。