大自然が広がるニュージーランドをキャンピングカーで巡る旅。シャワー問題や長距離運転の苦労はあったものの、自然のなかで会話が増え、家族の絆を深める貴重な体験となりました。今回は、ニュージーランド南島を2週間旅した記録とともに、キャンピングカー旅の魅力をお届けします。

キャンピングカーで旅に出た理由

キャンピングカーで巡る家族旅行体験記

今回、スイス在住の私が長期休暇を利用してニュージーランド旅行を計画するにあたり、まず考えたのが「どんな移動手段がベストか?」ということ。レンタカー&ホテル泊、ツアー参加など、さまざまな選択肢があるなかで、最終的にキャンピングカーを選択した理由は3つあります。

①雄大な景色をドライブしたい

ニュージーランドの美しい海岸線や雄大な自然のなかを自分のペースでドライブしたいという思いがありました。

ウエストコーストを眺めながらドライブだなんて、なんだか映画に出てきそうです。移動時間をも楽しめるのが、キャンピングカーの最大の魅力だと感じました。

②自由に寄り道したい

ツアーでは味わえない、自由気ままな旅を求めていました。キャンピングカーなら予定に縛られず、その日の気分で旅程を決められるのも魅力です。

映画のワンシーンのような海岸や湖畔でティータイムを楽しむなど、贅沢な時間を過ごせるのはキャンピングカーの旅ならではです。

③天候にあわせて行動したい

ニュージーランドの天気は、場所によって変わりやすく、悪天候を考慮する必要があります。キャンピングカーなら、天候に合わせて宿泊場所や観光ルートを柔軟に変更可能。

今回レンタルした車は、トヨタ・ハイエースをベースとしたキャンピングカー。家族3人でも十分なスペースがあり、悪天候でも車内で快適に過ごせるので安心です。

キャンピングカーで満喫!ニュージーランド南島

キャンピングカーで巡る家族旅行体験記

各観光スポットには、1〜2日ずつ滞在。できるだけ多くの場所を訪れられるよう、1か所での滞在日数を抑えて旅のプランを調整しました。ここからは、2週間のニュージーランド南島巡りで、とくに印象に残った3つのスポットをご紹介します。

映画気分の道程が楽しい!パンケーキ・ロックス

キャンピングカーで巡る家族旅行体験記

ニュージーランドの南島、ウェストコーストに位置する「パンケーキ・ロックス」は、長年の風と波の浸食により作り出されたユニークな地形が特徴です。何層にも重なったパンケーキのような岩々が連なるこの景観は、まさに自然のアート!

満潮時には、海水が岩の間から勢いよく吹き上がる「ブローホール」が見られ、その迫力には圧倒されます。地平線まで続く青い海とのコントラストがとても美しく、そのなかをキャンプングカーで走るのは、まるでロードムービーの主人公になったような気分でした。

ツアーでは出合えない?ジャイアント・トタラ・ツリー

キャンピングカーで巡る家族旅行体験記

この旅で、夫がどうしても行きたかったのは、駐車場もないようなトレッキングコース。「こんな場所に何があるのだろう?」と坂道を登っていくと、巨大なトタラの木が出現しました。

モントゴメリー保護区には、樹齢1,000年以上といわれるトタラがそびえ立っています。その壮大な姿を前にすると、自然の力強さを感じずにはいられません。

トタラの木を眺めたあとは、神秘的な森のなかをゆっくりと散策しながら、澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込みました。束の間の休息で旅の疲れもリフレッシュできました。

子どもと晴天ハイク!マウント・クック国立公園

キャンピングカーで巡る家族旅行体験記

ニュージーランド最高峰・マウントクックがそびえる「マウント・クック国立公園」には、子ども連れでも歩きやすいハイキングコースがあります。

ケア・ポイントまでのコースは片道30分ほど。比較的平坦で歩きやすく、幼い子ども連れのハイカーも多く見かけました。

帰り道では、小さなリスが目の前を横切るなど、小動物との出会いも楽しい思い出に。また青空の下、雪をかぶったマウント・クックを眺めながら歩く時間は、忘れられない思い出になりました。

キャンピングカーで家族に変化が!?

キャンピングカーで巡る家族旅行体験記

キャンピングカー旅は、家族の絆をより強く感じられる時間になりました。ひとつの空間で寝泊まりし、大自然のなかで過ごすことで、普段とは違う距離感で過ごせたのがよかったです。

自然に会話が増えた

ニュージーランドの大自然のなかで過ごしているうちに、自然と家族の会話が増えました。最初は「24時間ずっと一緒にいると、ストレスにならないかな」と心配もありましたが、実際に過ごしてみると、一緒にいる時間の大切さを改めて実感できました。

観光地を巡るだけの旅とは異なり、キャンピングカーの旅は日常生活の延長のような感覚もあります。食事や就寝前のひとときにゆっくりと会話を楽しめたのが、とても有意義でした。

スマホを手放して時間を共有できた

旅の途中、インターネットはどこでも繋がっていたものの、写真を撮ること以外は、スマホをほとんど使いませんでした。

夜になれば、満天の星を見上げながら過ごしたり、澄んだ空気のなかでのんびりとコーヒーを楽しんだり、風の音や鳥のさえずりに耳を傾けたり。そんなシンプルな時間が、思いのほか心に残る贅沢なひとときになりました。

チームワークが強くなった

キャンピングカーの旅では、キャンプサイトでの作業も欠かせません。毎晩、車内のソファーをベッドに代える寝床の準備は、最初のうちは慣れずに手こずりました。

でも、少しずつコツをつかむうち、息子も自主的に手伝ってくれるように。家族で協力し合うことで、自然とチームワークが強まりました。旅を続けるなかで、小学生の息子に責任感が芽生えたのもうれしい変化です。

メンタルが鍛えられた

私たちのキャンピングカーには、コンパクトながら簡易キッチンや収納スペースが備わり、軽食程度なら調理も可能です。

ただし、シャワーやトイレは備わっていないため、シャワーのないキャンプサイトに宿泊したときは「1日くらいシャワーしなくても大丈夫」と割り切る精神力が鍛えられました。

キャンピングカーでの旅は、家族の絆を深める貴重な時間となりました。観光だけでなく、日常の延長のようにゆったりと流れる時間も、忘れられない素敵な思い出です。便利な生活から少し離れ、シンプルな喜びを体験するキャンピングカーの旅に、みなさんも出かけてみてはいかがでしょうか。

アルパガウス 真樹

ライター

アルパガウス 真樹

スイス在住の40代主婦。息子とスイスの自然を楽しみながら、さまざまなアクティビティに挑戦。夏は森の中でのBBQやハイキング。海のないスイスでは、湖水浴が定番なので、夏季は湖沿いで過ごしたりSUPを楽しんだりしています。現地からスイスの自然との触れ合いをお届けします。