ダイビングは思った以上に複雑な用語が多い世界。英語や略語が多く、ダイビングでしか使用しないため、ブランクがあると忘れてしまうことが多いです。ここで問題なのが、わからない言葉が出ても周りの目が気になり質問できないということ。わからずに説明をスルーしてしまうことは危険行為です。知ったかぶりしてるなと感じた人は、ぜひこの記事をブックマークして、ダイビング用語に慣れましょう。
わかったふりは危険
突然ですが、今あなたはダイビングボートの上です。これからダイビングをするにあたり、あなたのグループを担当するインストラクターが、以下のように案内をしました。
「ここのポイントはアンカリングしないため、フリー潜降です。バックロールでエントリー後、船首へ向かい、水深10m集合。ダイブタイムは30分。残圧100になったらガイドに知らせてください。」
すぐに理解できましたか?この案内は頻繁に出てくるダイビング用語しか使用していません。少しでも考えたという人は、ダイビング用語に不慣れと考えられます。
ちなみに、今回例であげたインストラクターの説明をよく理解していないとなると、集合地点に到着できずにグループからはぐれてしまう可能性があります。
以下では、シチュエーション毎で、スタッフや上級者ダイバーが頻繁に使用するダイビング用語を、例と共に説明します。あなたがなんとなくスルーしてしまっている用語があれば、ぜひ解消し今後のダイビングライフに役立ててくださいね。
ブリーフィングによく出るダイビング用語
アベレージ | 1ダイブの平均水深。 「アベレージは10m以内なのでゆっくり水中撮影が楽しめます」 |
エグジット(エキジット) | ダイビング後にボートや陸へ上がること。 「エグジット後は速やかに船首へ移動してください」 |
NDL(減圧不要限界) | 減圧症の危険性がない安全な範囲。 「今回NDL内でも安全停止を3分間おこなって浮上します」 |
エントリー | 海の中に入ること。 「エントリー後は、一旦水面集合してから潜降します」 |
残圧 | シリンダー(タンク)の中に残っている空気の量。 「残圧200あるかを確認してエントリーしてください」 |
安全停止(減圧) | 減圧症を避けるために、エグジット前に6〜3mの水深に留まり、体内にある窒素を排出する行為。 「私が合図をしたら減圧開始です。ロープはないので、推水深や流れに気をつけてください」 |
窒素酔い | 窒素には麻酔のような作用があり、お酒に酔ったような状態になる。症状が出るのは水深30m以深といわれているが、人によってさまざま。 「このポイントは最大深度が40mと深場です。窒素酔いやデコには十分気をつけましょう」 |
チャネル(パス) | 天然の水路。マンタや魚が集まりやすいが流れもある。 「5分ほど泳いだら大きなチャネルがあります。マンタが通る可能性が高いので周りに注意しながら進みましょう」 |
デコ(Deco) | ダイブコンピューターの減圧停止表示。 「今回のポイントは深場なのでデコに注意してください」 |
ドリフト | 潮の流れにのって楽しむダイビングスタイル。 「ドリフト経験がない方は別チームになります」 |
ドロップオフ | 崖のように海に落ち込んだ地形。 「ドロップオフが続きます。流れが変わる場合があるので、ガイドと水深を合わせて一列に泳いでいきましょう」 |
バディ | ダイビングを共にする相棒のこと。全く知らない人と組むこともある。バディはガイドが決めることがほとんど。 「今回は〇〇さんと〇〇さんがバディを組んでください」 |
根 | 海中の大きな岩やサンゴでできた小さな山。 「根の近くにはたくさんのウミウシやエビ、チョウチョウウオの群れが見られます。ゆっくりと水中撮影を楽しんでください」 |
ブリーフィング | ダイビング前の事前説明。水中での見どころや注意事項が伝えられる。 「ポイントに到着したらブリーフィングをはじめます」 |
フロート | 自分の位置を知らせるための風船のようなもの。ダイビングスポットによっては携行が必須な場合もあり。 「安全停止後に私がフロートを上げたら、集まってきてください。合図とともに全員で浮上します」 |
巻き上げ | フィンで砂を周りに広げてしまうこと。巻き上げると煙幕のように砂が広がり、水中がクリアになるまで時間がかかる。 「チンアナゴのポイントです。巻き上げには十分注意してください」 |
マクロ/ワイド | 小さい生物をマクロ、ドロップオフや洞窟、回遊魚をワイドとよぶ。好みでガイドの進行が変わる。 「マクロ派ですか?ワイド派ですか?」 |
耳抜き | 水中潜降時に感じる痛みや不快感を取り除くための作業。鼻をつまんだり、唾を飲んだりして耳管に空気を送り込む。 「無理せずこまめな耳抜きをおこないましょう」 |
ラダー | ボートでエントリーやエグジット時に使用するはしご。 「エグジットの際はラダーで膝を立てて待っていてください。私がフィンを外します」 |
緊急時によく出るダイビング用語
エア漏れ | シリンダー内の空気が漏れていること。 「エア漏れしているのでホースを交換しましょう」 |
エア持ち | ダイビング中に消費する空気の量を指す。 「エア持ちが良くないようなので、次は12Lのシリンダーに変えましょう」 |
塩抜き | 器材についた塩を落とす作業。 「カメラは右側のボックスで塩抜きしてください」 |
スクイズ | 水中を深く進むと感じる痛みや不快感。 「スクイズが出る場合、水深を浅くしましょ。う」 |
バディーブリージング | バディのどちらかがエア切れを起こした場合、残っているエアーを互いに交換しながら浮上すること。 「バディーブリージングを実践したことはありますか?」 |
パージ | レギュレーターのセカンドステージにある強制排気ボタン。 「レギュクリアの際は、パージボタンの押しすぎに気をつけましょう」 |
フリーフロー | セカンドステージから空気が出続けること。 「フリーフローの原因は塩かみが原因でした」 |
レギュクリア | 水中でレギュレーターが外れた場合、中に入った水を排除して呼吸ができる状態にすること。 「流れが強い場所なので、レギュが外れた場合でも落ち着いてクリアしましょう」 |
器材購入時によく出るダイビング用語
LPホース | ロープレッシャー/中圧のホース。レギュレーター、オクトパス、インフレーターが該当する。 「BCDにLPホースが付属しています」 |
エンリッチ | エンリッチド・エア・ナイトロックスのこと。酸素濃度が21〜40%の混合ガス。 「エンリッチは使用しますか?」 |
HPホース | ハイプレッシャー/高圧のホース。ゲージが該当する。 「HPホースは比較的細いです」 |
サイドマウント | シリンダーを背中ではなく両脇に装着して行うダイビング。 「このBCDはサイドマウント用です」 |
スキン | 2つの意味がある。 ①スーツに使用されている生地(ツルツルしたゴム生地) 「スキンなので爪を立てずに脱着してください」 ②スキンダイビング(素潜り) 「スキンのCカードも持っています」 |
ジャージ | 生地の種類。表面が布。 「ジャージ素材はスキンより保温性は下がりますが、裏を起毛にすると保温性は上がります」 |
ダストキャップ | ファーストステージに水やホコリ・異物が入らないようにするキャップ。 「ダストキャップは必ずエアーをかけて装着してください」 |
バックマウント | シリンダー1本を背負って行う、一般的なダイビングスタイル。 「バックマウント用のBCDを選んでください。」 |
ピストン式/ダイヤフラム式 | セカンドステージの内部構造。メーカーが採用する構造はほぼ半々。大手メーカーはダイヤフラムがやや優勢。 「以前よりオーバーホール代が高いのは、ダイヤフラム式のレギュレーターだからです」 |
ファースト/セカンド | レギュレーターやオクトパスの各名称。 ファーストステージ:タンクに直接繋いでいる箇所(レギュレーターの根元) セカンドステージ:口に加える方 |
フル/シーガル/ロクハン/ツーピ | ウェットスーツの種類 フル:フルスーツのこと。首からつま先まで全て繋がっている シーガル:フルの半袖 ロクハン:生地の厚さが6.5mm ツーピ:ツーピースのこと。上下分けて着用する。 |
フルフット | フルフットフィン。サイズの調整ができないフィン。 「レンタルはフルフットとストラップがあります」 |
ベテランもあいまいになりがちなダイビング用語
SP | 指導団体PADIのスペシャルティ・ダイバー・コースの略称。SP所持者は該当の講習を海代のみで受講できる。 「ドリフトSPは取得してますか?」 |
ガイド | 水中を案内する人。インストラクターでなくとも可能。船上でリーダーをとっている人がガイドとは限らない。 「ガイドと同じ水深を守ってください」 |
クロスオーバー | 保持しているCカードと異なる団体でステップアップすること。 「クロスオーバーしてPADIで受講可能です」 |
Cカード | ライセンスではなく認定証。資格ではない。 「Cカードの提示をお願いします」 |
指導団体 | Cカードを発行する団体。日本国内だけでも30以上の団体があるとされている。知名度の低い団体のCカードだと、体験ダイビングのスポットに案内される可能性が高い。 「団体とランクを教えてください」 |
シリンダー/タンク | ダイビング中に使用する空気の入ったボンベ。国際的には”シリンダー”と表現されているが、日本では”タンク”がという表現が多い。 |
スチール/アルミ | シリンダーの材質。スチールは重く、日本国内で多く使用されている。アルミは軽く、海外で主流。 「弊社のシリンダーはアルミです。ウエイトは何kgにしますか?」 |
チェックダイブ | 参加者のスキルをチェックするための1本。 「午前中はチェックダイブのため、近場のポイントへ向います」 |
透視度・透明度 | 水中で見える距離。透明度が使用されやすいが意味は異なる。 透視度:水中で水平方向に見える距離 透明度:水中で垂直方向に見える距離 |
トリム | 水平姿勢でバランスが取れている状態。サイドマウント時に必要なスキル。 「砂地エリアでトリムの練習をしましょう」 |
ブランク | 前回のダイビングから6か月以上空いていること。 「ブランクはありますか?」 |
リバースブロック | 浮上時に感じる痛みや不快感。痛みが生じる場合は浮上せずに、痛みが和らぐ水深まで落とす。 「リバースブロックはよくありますか?」 |
リブリーザー | 吸った空気を水中に排出せずに、循環させて再呼吸する器材を使用するダイビング。一般的な器材と異なるため、専用の知識とスキルが必要になる。 |
レスキュー | ダイビング中に起こるトラブル処置や予防、救命方法を学ぶコースを取得したダイバー。人助けのイメージが強いが、メインは自分を守る処置。 「レスキュー以上の上級ポイントになります」 |
<参考資料>
*PADIオープン・ウォーター・ダイバー・マニュアル
*アドヴァンスド・オープン・ウォーター・ダイバー・マニュアル
*マリンダイビング ダイビングを始めるための超キホン用語辞典
*Diver Online 用語集
*evis ダイビング用語集
ライター
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マリンスポーツのジャンルを得意としたwebライター。海遊びの楽しみ方やコツを初心者にも伝わるよう日々執筆活動中。スキューバダイビング歴約20年、マリンスポーツ専門量販店にて約13年勤務。海とお酒と九州を愛する博多女です。