シーズン・インはバレンシア
毎年、2月第1週目に開催されるプロのロードバイクのレースが、このブエルタ・コムニタット・バレンシアーナ。
ヨーロッパでの自転車ロードレースのシーズンインを告げる大会です。
いつもは冷たくて強烈な北からの風に苦しむ選手の多いこのレースですが、今年はバレンシアの天候もレースをバックアップ。
連日の最高気温が20度近い中でのレース開催となりました。
初日のレースは10kmの個人タイムトライアル。
ゴールはオリウエラという街にある丘の上です。
今が2月であるということを忘れそうになるくらい、暖かく強い日差しが、ゴールする選手たちを照らします。
そして、このタイムトライアルは、現時点でのサイクリストの調子をはっきりと示してしまう効果も持っていました。
特にゴール直前に600m続く登りコースに選手たちが来ると、調子のよい選手はスピードを保ったまま坂を駆け上がってきます。
しかし、その一方で、あまり状態の良くない選手は、登るときに一気にスピードが減速するのがよくわかります。
この日のステージを制したのは、チーム・ディメンション・データーのエドアルド・ボアソン・ハーゲン選手。
彼はこの日から3日間、リーダージャージを着ることになりました。
スプリンターが有利のコース設定
第2ステージ以降は、通常のレース形式に戻ります。
この日はアリカンテ市内をスタート・ゴールとする166kmのコース。
若干の山岳はあるものの、基本的にはスプリンターのためのコースです。
この日も気温が高く、風もない絶好のレース日和。
朝10時半に、サイクリストたちはスタート地点に集合します。
この時点で半袖のジャージでスタート地点に現れたのは、若い選手の多いロシアのチーム。
「気温20度なんて、もう夏だもん」とのこと。
やはり、天候がよいせいか、選手の表情にも笑顔が見られます。
とはいえ、バレンシアの山岳は意外とハード。
特に今年の第4ステージは立派な山岳コースでした。
ジロ・デ・イタリアやツール・ド・フランスで総合上位を狙う選手たちが、レースを動かし始めます。
有力選手の調子は?
最終的に今年のブエルタ・コムニタット・バレンシアーナで総合優勝したのは、ヨン・イザギーレ選手(アスタナ)。
第2位はアレハンドロ・バルベルデ選手(モービースター)。
第3位はペリョ・ビルバオ選手(アスタナ)。
スペイン人選手が表彰台を占める結果となりました。
また、スプリンターの中で好調だったのは、ヨーロッパ・チャンピオンのマテオ・トレンティン選手(ミチェルトン・スコット)。
第2ステージで、フランス人スプリンターのナッセル・ボワンニ選手(コフィディス)を抑えて、ステージ優勝しました。
スプリンターや1DAYレースのスペシャリストたちは、すでに体調も万全な様子です。
一方、昨年のツールの優勝者であるゲライン・トーマス選手(スカイ)も出走していましたが、優勝者から4分以上離れた、第44位でゴール。
これから、ツールに向けて調子を上げていくことになるのでしょう。
「オレンジ」のレース
ここ数年ブエルタ・コムニタット・バレンシアーナの名物となっているのが、「オレンジ」色。
なぜか、このレースに出走するチームは、オレンジ色のジャージを着ているチームが多いのです。
今年は4チームがオレンジ色のサイクルジャージでレースに参戦しました。
まず、ポーランドからは、上記の写真のCCCチーム。
続いて、アメリカ代表、ラリー・レーシング。
地元スペインからはフンダシオン・エウスカディ。
そして、日本のニッポ・ビニ・ファンティー二。
「バレンシアではオレンジ色が大流行中だからね」と笑うのは、フンダシオン・エウスカディのとある選手。
来年のこのレースでも、オレンジ旋風が吹き荒れるのでしょうか。
ちなみに、「オレンジの産地のバレンシアだもの。オレンジのチームジャージは優遇されるんだよ」という冗談も、チーム関係者の間で今年は流行っていました。
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ライター
Greenfield編集部
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