「山の天気は変わりやすい」とよくいいます。しかし、急変する理由を知らない人は多いものです。登山中に撤退が遅れると、遭難のリスクが高まります。今回は、山の天気が変わりやすい理由や前兆を紹介します。登山前にぜひチェックしておきましょう。

山の天気が変わりやすい3つの理由

山の天気 変わりやすい理由

山の理由が変わりやすい理由は、おもに次の3つです。

  • 上昇気流と下降気流の発生によるもの
  • 気圧の変化によるもの
  • 地形の影響によるもの

①上昇気流と下降気流の発生によるもの

山は、平地に比べると上昇気流が発生しやすくなります。なぜなら、斜面が多い山では、ぶつかった風が上へ押し上げられるためです。押し上げられた風は、雨や雷などをもたらす積乱雲などを発生させます。

反対に、谷間や風下では下降気流が発生しやすいのが特徴です。雲ができにくく、青空が広がり、気温が暖かくなります。

②気圧の変化によるもの

気圧は、天気の変化に大きく左右されます。とくに、標高が高い場所は気圧が低く、曇りや雨が多くなるのが特徴です。

また、山は昼夜の寒暖差が激しく、水蒸気が多くつくられます。水分を多く含んだ雲は雨雲を発達させ、暴風雨になることがあるでしょう。山特有の天気の変動が、気圧の変化をもたらすといえます。

③地形の影響によるもの

山の地形は複雑で、天気の変化に影響します。標高が高く、谷間や尾根などのアップダウンがあるため、風の流れが変わりやすいためです。気温・湿度・気圧などが急に変化することで、天気が崩れ始めます。

とくに、海からの風が吹き込みやすい山域では、霧や雲が発生しやすく、悪天候となります。下山のタイミングを見失わないよう、小さな変化も見逃さないようにしてください。

 

山の天気が急変する前兆

山の天気 変わりやすい理由

山の天気の急変には前兆があります。覚えておくと重宝する前兆を4つ紹介します。

  • 暗い雲
  • 風の変化
  • 気温の急変

暗い雲

山の天気 変わりやすい理由

晴れていたはずの空に、低い位置にある暗い雲を見つけたら要注意です。天気が変わる前兆です。これらは、空気中の水蒸気を多く含む雲で、雨雲・雪雲と呼ばれています。とくに、地上付近で発達するのが特徴です。

また、上昇気流によって上空へと押し上げられると、積乱雲に発達する場合があります。そのような雲は、やがて豪雨や雷を引き起こすでしょう。

霧に覆われた登山道は、転倒や滑落、道迷いのリスクがあるため、早めに下山の準備を進めてください。

風の変化

冷たい風が急に吹き始めたり、突風・強風などに変わったりしたら、悪天候の前触れです。上昇気流・気圧変化の影響で、大気が不安定になることが考えられます。登山中は、風の変化にも敏感になりましょう。

強風のなかでの移動は、予想以上に体力を消耗し、さらには体温が奪われてしまいます。低体温症になると、歩行が難しくなります。スムーズに動けるうちに撤退するのがおすすめです。

気温の急変

気温が急に上昇したり、下降したりするのも天気が崩れる前兆です。寒冷前線や温暖前線の通過によって、雨雲が近くに迫っている可能性があるでしょう。

寒冷前線は、短時間で強い雨を降らせます。また、通過後は一気に気温が下がるため、装備不足の状態だと、低体温症のリスクが高まります。

遠くから雷鳴が聞こえたり、雷雨が確認できたりしたら、いち早く撤退しましょう。嵐が迫っており、避難が遅れると落雷の危険があります。

下山のタイミングを逃した場合は、近くの山小屋へと急ぎましょう。このとき、木・岩場・尾根・頂上から離れて移動するのがポイントです。

登山中に大気が不安定だと感じる場合は、お天気アプリを確認したり、撤退の判断をしたりする必要があるでしょう。

悪天候の登山で役立つ装備

山の天気 変わりやすい理由

悪天候に遭遇した際に役立つ装備を紹介します。ぜひ、参考にしてください。

レインウェア・速乾性インナー

レインウェア・速乾性インナーは、低体温症のリスクを減らすための大切な装備です。どのような効果があるのかをチェックしましょう。

レインウェア
  • 雨や雪で濡れるのを防ぐ
  • 暴風雨にさらされるのを防ぎ、体温を保つ
速乾性インナー
  • 素早く乾き、汗冷えを防ぐ
  • 吸汗性・通気性に優れ、体温の低下を防ぐ

小物類

天気が急変したときに、便利さを実感するのが小物類です。おもに、以下のようなシーンで役立ちます。

グローブ
  • 風・雨・雪などから手を守り、保温する
  • 足場の悪い岩場などで手を保護する
ゲイター
  • 悪路で泥や砂利が靴のなかに入るのを防ぐ
  • 防水性や保温性がある
ザックカバー
  • ザックのなかの衣類や、貴重な装備が濡れるのを防ぐ
ヘッドランプ
  • 薄暗い登山道を照らし、転倒・滑落・道迷いを防ぐ

登山中の撤退のタイミングについては、以下の記事を参考にしてください。

登山 撤退タイミング・ポイント
登山中の撤退タイミング!4つのポイントをおさえてリスクを回避しよう
登山中は、悪天候へ急変することがあります。山の天気が変わりやすい理由や前兆を知っておくと、撤退のタイミングに迷わないでしょう。また、雲の変化や風の流れに注意するのも大切です。積乱雲が迫っているときには、雷鳴が聞こえることがあります。なお、下山が遅れた場合は、急いで山小屋へ避難してください。今回の記事を参考にして、安全性をしっかりと考慮した登山を楽しみましょう。

ライター

Greenfield編集部

【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。