登山中に天候が急変して、下山しようか迷うこともあるでしょう。低体温症・ケガ・遭難のリスクを回避するには、早めの判断が大切です。今回は、撤退タイミングを決めるときに役立つ、4つのポイントを紹介します。登山計画と一緒にチェックしてみましょう。
撤退のタイミングを決めておくべき理由
登山へ出かける前に、撤退のタイミングを決めておきましょう。なぜなら、山で異変や身の危険を感じ始めると、冷静な判断ができなくなることがあるからです。
撤退のタイミングで大切なのは、余裕を残しておくこと。戻れる体力があるか、引き返せる距離かの判断力も必要です。このあと紹介する4つのポイントを参考に、自分のなかでルールを決めておくとよいでしょう。
判断に迫られたときは、「頂上まで辿り着きたい!」という気持ちをいったん抑えてよく検討しましょう。登頂を断念した場合でも、無事に下山できれば、また挑戦するチャンスが巡ってくるはずです。
登山で撤退を決める4つのポイント
登山中に撤退を判断するポイントは次の4つです。
- 天候の急変で決める
- 体調の変化で判断する
- 登山行程の遅れで判断する
- 登山道に異変を感じたら撤退する
ひとつずつ説明しますので、参考にしてみてください。
天候の急変で決める
登山中に天候の変化を感じたら、撤退を検討しましょう。なぜなら、天気が急変すると、霧やホワイトアウトが発生しやすく、数メートル先すら見えにくいことがあるから。暴風雪や雷に巻き込まれてしまう前に、早めに判断することが大切です。
視界不良のなかで無理に移動すると、転倒や遭難のリスクが高まります。また、下山のタイミングを見失って、雨に濡れたまま行動すると、低体温症を起こし歩行が難しくなることも。登山中は、お天気アプリなども活用して、天候の動向をこまめにチェックしましょう。
覚えておくと便利な天気図の読み方については、以下の記事もご覧ください。
体調の変化で判断する
山では、突然の体調不良に遭遇することがあります。アップダウンの激しい登山道では、睡眠不足や疲労から、急に具合が悪くなる人もいます。休憩をしても体調が回復しないときは、動ける体力があるうちに下山しましょう。
また、高山病や低体温症は、重篤になると自力での下山が難しくなります。留まる時間が長くなるほどリスクが大きいため、早めに撤退の判断をしてください。
行程時間の遅れで判断する
体調や登山道のコンディションにより、予定していた行程時間をオーバーすることもあるでしょう。時間が大幅に遅れているとき、無理に登頂を目指すと、日没までに下山できないかもしれません。
また、日が落ちると登山道が暗くなり、転倒や転落、道迷いなどのリスクにつながりやすくなります。残りの距離や日没時間を計算し、難しそうなら途中で引き返すことを検討しましょう。
登山道に異変を感じたら撤退する
登山道はいつも同じ状態ではありません。倒木があったり、沢や川が増水したりと、先に進むのが難しい場合は、諦めて撤退しましょう。また、新雪が降り積もった山では、強い日差しによって地盤がゆるみ、雪崩が発生するかもしれません。
リスクを回避するには、出かける数日前から、周辺の天気をチェックしておくのがおすすめです。少しでも不安を感じたときは、迷わず引き返す選択肢をもっておきましょう。
撤退の判断ミスで起こる危険性
危険が迫っているときに撤退の判断が遅くなると、さらに状態が悪化します。ここでは、想定できる3つのリスクを紹介します。
低体温症
雨に濡れたまま行動すると、体温が下がり低体温症になります。寒気や震えを感じたら、低体温症を疑いましょう。放置すると歩行できなくなったり、意識を失ってしまったりと最悪の事態に陥ります。
なお、低体温症は、標高が低い山や暑いシーズンでも起こるので油断できません。低体温症を防ぐ対策として、レインウェアなどの装備・速乾性インナーの着用・手軽にカロリー補給できる行動食などを準備しておきましょう。
遭難
撤退のタイミングを間違えると、遭難の確率が高まります。たとえば、無理なスケジュールを強行すると、日没までに下山できないかもしれません。暗闇の登山道を歩くと、道迷いや転倒、ケガの原因にもつながるでしょう。
万が一下山できなかった場合、山中で一夜を過ごすことになります。食料や水分を十分にもっていないと体力がもちません。低体温症になるリスクもありますので、無理な登山計画や行動は控えましょう。
行動不能
登山中に天候が崩れると、先に進めない場合があります。暴風雪のなかでは、下山のチャンスを逃してしまうことも。行動不能になる前に、いち早く撤退の判断をするのが賢明です。
天候の急変や体力不足など、予定通りにいかないことも想定して、余裕をもったスケジュールを立てましょう。エスケープルートを事前にチェックしておくのもおすすめです。
登山の装備や対策については、以下の記事を確認しましょう。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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