スキューバダイビングの事故は、交通事故ほど数は多くありませんが、水中という環境のもとでは、ほんの少しのミスでも命にかかわる大事故に繋がりかねません。ダイビング事故を起こさないために決して怠ってはいけないことを、初心に戻って考えてみましょう。
危険なスポーツとは?
あなたは「危険なスポーツ」と聞いて、どんなスポーツ競技を思い出しますか?モータースポーツ、登山、サッカー、スキー、ボクシング…などなど、数えればキリがありません。
ニューヨークに本社があるWEBメディア「BuzzFeed」は、Youtubeで「危険なスポーツ」として、ケーブダイビング、ベースジャンプ、チアリーディング、乗馬、トレインサーフィン、ヘリスキーなどを挙げています。
ある意味「リスクのないスポーツはひとつも無い」と言っても過言ではありませんし、とくに海や山といった大自然の中で行うレジャースポーツは、気象変化など想定外のトラブルに巻き込まれる可能性も高くなります。
いかなるスポーツでも、一人ひとりが安全管理の必要性を考えなくてはいけませんね。
スキューバダイビングの危険度は?
では、スキューバダイビングは、どれくらい危険なスポーツなのでしょうか?
現在、国内においてスキューバダイビングは1年間に100万回以上も行われており、大小様々なダイビング関連事故が最低でも年100件以上は起きていると推測されています。
このうち、直接または間接的に死亡に至ったダイビング事故は毎年10~20件程度が報告されています。
また、海外へのダイブトリップ中に事故に逢うケースもあり、2014年にバリ島沖で日本人の女性ダイバー7人が遭難し、5人が救助されたものの1人が死亡、1人が行方不明という痛ましい事故がありました。
ダイビング事故の原因をひとつひとつ究明していくと、ほとんどがヒューマンエラーから生じたケースが多く、安全管理が徹底していれば「防げた事故」であることを知っておく必要があるでしょう。
ダイビング事故から身を守る7か条
ダイビング事故をダイバーのスキル不足と決めつけてしまうのは軽はずみな判断であり、ベテランのダイバーであっても、ほんの少しの気のゆるみや些細な判断ミスが重大なダイビング事故につながることも少なくありません。
ダイビング事故から身を守るため、7つの安全管理について考えてみましょう。
1.バディシステムの厳守
安全管理において第一に考えなくてはならないのが「バディシステム」ですが、実はダイビング事故に至るまで、バディシステムがまったく機能していなかったケースが非常に多いのです。
「エア残量の不足」「バディの体調変化」など、バディのトラブルが見過ごされてしまった結果、ダイビング事故に繋がることがあるので、お互いがバディに対して責任があるということを常に忘れないようにすることが大切です。
小さな不安や疑問であっても、水中という特別な環境下では、そのストレスが次第に大きくなっていきパニックを引き起こすこともあります。
何かしらのストレスを感じているときは、バディやインストラクターにその旨をしっかりと伝え、ダイビング前に解決しておくようにしましょう。
2.体調の管理
体調が悪い状態でダイビングを行うと、耳抜きができないことによる鼓膜損傷、水中での嘔吐、過呼吸によるパニックや意識損失といったトラブルを引き起こすことがあります。
ダイビング前のセルフチェックを怠らず、体調が悪い時やダイビング中に体調が悪化したときはダイビングを中止する勇気も必要です。「これくらいなら大丈夫だろう…」と安易に判断せず、決して無理をしないようにしましょう。
3.スキルアップの必要性
ダイバーのスキル不足がダイビング事故に繋がることも少なくありません。
「マスクに水が入った…」「レギュレーターが外れた…」「海水を飲んでしまった…」など、本来であればダイバーが最初にマスターしているはずトラブル対処スキルが不足しているのです。
スキューバダイビング中のトラブルはすべて自己責任です。
インストラクターと一緒に潜れば大丈夫と考える方がいるかもしれませんが、自分の命を守るのは最終的に自分自身であるということを自覚してください。スキルアッププログラムに参加するなど、自らのスキルを磨いていくことが大切です。
4.プレダイブの実施
最後のダイビングから長い期間が空いてしまうことがあるかもしれません。久しぶりのダイビングの時は、プールや足のつく浅い水域でプレダイブを実施し、ダイビングスキルのリフレッシュを心がけましょう。
インストラクターや水中ガイドに期間が空いている旨を伝え、1本目は流れのない穏やかな環境でダイビングの感覚を思い出すのもひとつの方法です。
5.ダイビング器材の管理
ダイビング器材のメンテナンス不良によって、レギュレーターのオーバーフローやホース破裂といった器材トラブルがダイビング事故に繋がることがあります。
メンテナンスの行き届いた、使い慣れたダイビング器材を使用することがダイビング事故のリスクを減らします。また、環境に適した保温スーツの着用やダイビング器材の装備も忘れずに行いましょう。
6.セーフティグッズの装備
ダイビング中は、オクトパスやゲージ、水中カメラなどのアクセサリー類はホルダーやフック類を使ってしっかりと保持するようにしましょう。器材をぶらぶらさせていると、岩などに引っかかり水中拘束状態となってパニックを引き起こしかねません。
また、ボートダイビングでは強い潮の流れでボートから離れてしまうケースに備え、シグナルフロートやホイッスルなどのセーフティグッズを必ず携行するようにしましょう。
7.十分な潜水計画
スキューバダイビングは海という大自然のなかで行うレジャースポーツです。
天候、気温、水温、透明度、風、潮流…などなど、ダイビング計画では自然がもらたす要因を考慮する必要があり、その判断ミスが重大なダイビング事故に繋がることがあります。
ダイビング前にバディと一緒に十分な潜水計画を立て、安全ダイビングを心がけることが大切です。大自然に対して「大丈夫だろう」といった過信は絶対に禁物です。
まとめ